「カレーの匂い」第150回「カレーの匂い」第150回 その頭を撫でてやりながら、 「おまえは何の心配もなくて良かったなあ、 ユキジ。 今頃、フクシマの原発周辺じゃあ、 何百匹、何千匹かも知れない 犬や猫が薄情な人間に 置いてけぼり喰って、 えさも飲み水も無くてさ。 飢え死にしかかってるんだぞ」 ユキジは返事のように鼻を グスグス鳴らした。 星也は床に長々と横たわった いつもの姿勢で頬杖ついた。