「カレーの匂い」第145回「カレーの匂い」第145回 助けは欲しいけど、家の事情は覗かれ たくないという複雑さの表われだろう。 暗い外で背の低い影が動いた。 それも一人じゃなかった。 「耳の遠い年寄りだけんど、 ガタンゴトンするのが聴こえるもんでな。 こんな夜中に何ごとかいな、 うちの婆さんが行って見ようやいて、 うるさく言うもんでな」 金壺まなこの顎の尖った 爺さんの顔が星也には最初、誰なのか わからなかった。 母親の横顔に安堵の表情が ホッと浮かんだ。