鯨の入り江(39)
前にはもっと明るい、華やかな女だったはずだ。
その記憶との落差に綾は軽いとまどいを覚えた。
久子の晴れない表情とはうらはらに、鉄男は上機嫌で綾にビールをすすめる。
飲めないからと断わると、
「だから夫が外をうろつく、そうじゃないか」
ふと探りを入れるような目つきになった。
「ちがうの、単純じゃないのよ、うちの人」
綾が言うのへ、
「俺、単純そのもので、嫌われている」
ポツリとつぶやいた。
池には水草が一面にはびこっていた。
夜目にもそれが見てとれる。
庭の木々は伸び放題。苔むした石は雑草に半ば埋もれかけていた。
今日も、沖縄地方は天気よさそうです。
おひさまがまぶしく照らして、一日の始まりを告げています。
始動します!!