1992~1996年のサザンとユーミン② ~1993年『真夏の夜の夢』と『誰にも言えない』~ | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~

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少々マニアックな事なども書くと思いますが、お暇な方は読んでやって下さい。

私が、10代の学生時代を過ごした「1990年代」は、当時、既に「大御所」的存在だった、サザンオールスターズ松任谷由実(ユーミン)が、テレビドラマとのタイアップで、大ヒット曲を連発していた時代でもあり、サザンとユーミンのキャリアの中でも、特に華やかな時期である。

そして、私は特にサザンとユーミンが大活躍していた、1992(平成4)~1996(平成8)年という時期にスポットを当て、

「1992~1996年のサザンとユーミン」

という記事を書いている。

そして、まずは「第1回」として、「『涙のキッス』と『ずっとあなたが好きだった」』という記事を書いた。

 

 

1992(平成4)年に放送された、TBSのドラマ『ずっとあなたが好きだった』は、

「冬彦さんブーム」を巻き起こした作品であり、「冬彦さん」こと桂田冬彦を演じた佐野史郎「怪演」が話題を呼び、大ヒットを記録した。

そして、このドラマの主題歌だった、サザンオールスターズ『涙のキッス』も大ヒットしたが、異様な人物だった「冬彦さん」に振り回される賀来千香子も、非常にインパクトが強かった。

そして、今回、「1992~1996年のサザンとユーミン」の「第2回」として取り上げるのが、

前述の『ずっとあなたが好きだった』の翌年、1993(平成5)年にTBSで放送されたドラマ『誰にも言えない』と、そのドラマの主題歌として大ヒットを記録した、ユーミン(松任谷由実)『真夏の夜の夢』である。

 

 

1993(平成5)年に放送された『誰にも言えない』は、『ずっとあなたが好きだった』に続き、佐野史郎・賀来千香子が再びコンビを組んだ作品であるが、ハッキリ言って、『ずっとあなたが好きだった』が可愛く見えてしまうほど(?)の、物凄く恐ろしい作品である。

当時、私も『誰にも言えない』には、「怖い物見たさ」もあって、釘付けになってしまい、夢中で見ていた。

個人的には、『誰にも言えない』の方が、『ずっとあなたが好きだった』の何倍も不気味で恐ろしく、そして衝撃的な作品であった。

なので、もしも『誰にも言えない』が未見で、これから何かの時に見る機会を得た人は、是非とも、心して見て頂きたい。

それでは、前置きはそれぐらいにして、「1992~1996年のサザンとユーミン」の「第2回」、「『真夏の夜の夢』と『誰にも言えない』」を、ご覧頂こう。

 

<1993(平成5)年7月~9月…『ずっとあなたが好きだった』の製作陣が再集結し、『誰にも言えない』が製作される~プロデューサー:貴島誠一郎と、佐野史郎&賀来千香子&野際陽子が再登板~松任谷由実(ユーミン)の『真夏の夜の夢』が主題歌として起用される>

 

 

1992(平成4)年7月~9月に放送され、「冬彦さんブーム」を巻き起こし、大ヒットを記録した、

『ずっとあなたが好きだった』は、まさに社会現象となったが、

その1年後、『ずっとあなたが好きだった』の製作陣が、再び集まった。

プロデューサー:貴島誠一郎と、佐野史郎・賀来千香子・野際陽子という主役の3人が、再び集まり、TBSで新作ドラマが作られる事となった。

それが、1993(平成5)年7月~9月にかけて放送された、

『誰にも言えない』

という作品である。

なお、佐野史郎・賀来千香子・野際陽子は、『ずっとあなたが好きだった』とは、全く別人を演じている。

従って、『誰にも言えない』は、『ずっとあなたが好きだった』とは、全く別の作品である。

しかし、この面々が集まって作られたドラマなので、『ずっとあなたが好きだった』のテイストを引き継ぎ、『誰にも言えない』も、終始、何とも言えない緊張感と不気味さが漂っており、視聴者は釘付けになった。

そして、私も『誰にも言えない』に、まんまとハマってしまった視聴者の1人である。

 

 

なお、『誰にも言えない』の主題歌として起用されたのが、

松任谷由実(ユーミン)の新曲、

『真夏の夜の夢』

という楽曲であるが、この曲の妖しくも情熱的な雰囲気は、『誰にも言えない』の「世界観」にもピッタリであった。

私は、今もなお、『真夏の夜の夢』を聴くと、条件反射的に『誰にも言えない』を思い出してしまう。

それは、当時『誰にも言えない』を見ていた人であれば皆、同じではないかと思われる。

 

<1993(平成5)年7月~9月放送…『誰にも言えない』の主な登場人物と、大まかな「あらすじ」>

 

 

では、ここで『誰にも言えない』の、主な登場人物を、ご紹介させて頂く。

『誰にも言えない』の登場人物は、下記の通りである。

 

松永(北沢)加奈子…賀来千香子

高木(山田)麻利夫…佐野史郎

松永伸吾…羽場裕一

山田美雪…山咲千里

山田愛子…野際陽子

 

 

では、『誰にも言えない』とは、どんなストーリーなのか、まずは、かいつまんでご紹介させて頂く。

ヒロインの北沢加奈子(賀来千香子)は、百貨店で働いている時、高木麻利夫(佐野史郎)という弁護士と知り合い、2人は恋人同士になる。

しかし、その後、麻利夫は、大金持ちの娘だった山田美雪(山咲千里)と出逢った事により、加奈子が邪魔になった。

そして、麻利夫は加奈子を一方的に捨ててしまい、美雪と結婚してしまった。

ちなみに、その山田美雪の母親が、山田愛子(野際陽子)である。

深く傷付いた加奈子は、その時、実は麻利夫の子供を妊娠していたが、麻利夫に捨てられてしまった事もあり、子供を人工妊娠中絶してしまった。

その後、加奈子は松永伸吾(羽場裕一)という青年と知り合い、結婚したが、加奈子が自分の子供を中絶した事を知った麻利夫は、急に加奈子が惜しくなった。

そして、伸吾加奈子の住所を突き止めた麻利夫は、美雪と結婚していたにも関わらず、強引に加奈子たちが暮らすマンションの、すぐ隣の部屋に引っ越して来る。

そして、麻利夫は執拗に加奈子に付きまとい始める…。

 

 

…という事であるが、今回の佐野史郎の役名は、

「麻利夫さん」

であるが、この麻利夫さんという男は、ハッキリ言って物凄いクズである。

それこそ、冬彦さんが可愛く見えるほど(?)の、麻利夫自分本位でどうしようもないクズ男だが、

ヒロインの加奈子は、その麻利夫に、しつこく付きまとわれながらも、かつて麻利夫と恋人同士であり、麻利夫の子供を中絶してしまったという重い過去が有った…。

そんな「過去」の事など、当然ながら、加奈子は誰にも打ち明ける事が出来ない。

つまり、加奈子は、

「誰にも言えない」

という、八方塞がりの状態で、終始、偏執狂的で異常な男・麻利夫に苦しめられる。

そんな加奈子に、視聴者は物凄く感情移入して、終始ハラハラドキドキしながら、このドラマを見守っていた。

私も、今思い返してみても、これほど夢中になって見た(見させられた)ドラマは、あまり記憶に無い。

それぐらい、当時の私は、『誰にも言えない』に釘付けになっていた。

 

<『誰にも言えない』の、オープニング~ユーミン(松任谷由実)の『真夏の夜の夢』をバックに、誰かから必死に逃げ惑う加奈子(賀来千香子)…>

 

 

では、『誰にも言えない』の、オープニング映像を、ご紹介させて頂く。

1993(平成5)年7月9日、『誰にも言えない』の第1話が放送開始されたが、

「金曜ドラマ『誰にも言えない』」

というタイトルバックが表示されると同時に、パーカッションと共に、ユーミン(松任谷由実)の新曲、

『真夏の夜の夢』

のイントロが流れ始まる。

何とも妖しい雰囲気であり、

「これから、何かが起こるぞ!!」

という、不気味な予感に満ち満ちている。

 

 

 

そして、このドラマのヒロイン・加奈子(賀来千香子)が、荒い息遣いで、「誰か」から必死に逃げ惑う姿が映し出される。

『誰にも言えない』のオープニングで、ユーミンの『真夏の夜の夢』が流れ、キャストとスタッフの名前が表示される中、

加奈子は、何処までも追いかけてくる、姿の見えない「誰か」から、とにかく必死で逃げ回っている。

それは、加奈子の心象風景なのか、それとも…。

ともかく、加奈子は常に「何か」から怯え、ひと時も心が休まらない。

そんな物語を象徴するかのような、何とも印象深いオープニングである。

という事で、

『真夏の夜の夢』

を聴くと、

「賀来千香子が、必死に逃げ回っている映像」

を、条件反射的に思い出す人も、非常に多い筈である。

 

<『誰にも言えない』の「あらすじ」①~加奈子(賀来千香子)と麻利夫(佐野史郎)の「出逢い」と「別れ」~紆余曲折を経た後の、衝撃的な「再会」~「クズ男」麻利夫の行状とは!?>

 

 

 

では、『誰にも言えない』の「あらすじ」を、ご紹介させて頂こう。

北沢加奈子(賀来千香子)は、東京・新宿の百貨店で働く、OLである。

そして、加奈子は、その百貨店の「常連客」だった、高木麻利夫(佐野史郎)という男と知り合った。

麻利夫は、いつも「ひまわり」のバッジを付けており、百貨店の売場の人達から、

「ひまわり君」

という「あだ名」で呼ばれていたが、実はそれは、弁護士バッジであった。

そう、麻利夫は弁護士だったのである。

その後、加奈子が麻利夫の接客をした事をキッカケに、2人は親しくなった。

 

 

そして、その後、麻利夫と加奈子は「恋人同士」となった。

2人は、結婚を意識するようになっていたが、麻利夫は「照れ屋」なのか、

「愛してる」

というような言葉は口にしなかった。

しかし、麻利夫は、自分の鼻を引っかくような仕草をして、加奈子に対し、「愛情」を表現していた。

それは、2人だけにわかる「愛のサイン」だと、加奈子は解釈していた。

 

 

 

ところがである。

ここから、事態は急変して行く。

麻利夫は、加奈子と交際していながら、山田美雪(山咲千里)という女性とも付き合ってしまった。

所謂「二股」であるが、美雪の母親は、「山田書房」という出版社を経営する山田愛子(野際陽子)という「実業家」であった。

麻利夫は、あるパーティーで、この山田親子と知り合ったが、美雪は、麻利夫にゾッコン惚れ込んでしまった。

そして、美雪に、

「結婚を前提で付き合って欲しい」

と言われると、麻利夫は、加奈子という人が有りながら、その存在を美雪に隠し、その申し出を承諾してしまう。

 

 

一方、加奈子は、

「そろそろ、麻利夫さんにプロポーズされるかも…」

と、密かに期待していた。

だが、麻利夫は俄かに加奈子に冷たくなった。

前述の通り、麻利夫は「お金持ち」の山田親子に気に入られていたため、上手く行けば、その山田家の「婿養子」の座も狙えるようになっていた。

従って、麻利夫は、加奈子の存在が邪魔になったのである。

「今後、君とは付き合うつもりは無い」

ある雨の日、麻利夫は一方的に加奈子に別れを告げた。

加奈子は、あまりの事に激しいショックを受けた。

実は、加奈子はこの時、麻利夫の子供を身籠っていた。

だが、麻利夫に一方的に捨てられた事で、激しく取り乱した加奈子は、その子供を中絶してしまった。

「貴方の子供、堕しました…」

加奈子は、その事を麻利夫の留守番電話に吹き込んだ。

「僕の子供だって…?」

それを聞いて、麻利夫の顔色が変わった。

 

 

実は、加奈子が人工妊娠中絶をしたのは、その時が初めてではなかった。

そのせいか、加奈子の身体は変調を来し、医者から、

「貴方が、今後、妊娠する可能性は殆んど有りません」

と、告げられてしまう。

こうして、加奈子は幸せの絶頂から、一気に奈落の底に突き落とされてしまった。

「私はもう、誰とも結婚したくない…」

加奈子は男性不信になり、その後は男性を拒絶するようになった。

そんな時、加奈子は、松永伸吾(羽場裕一)という男性と知り合った。

伸吾は、とても優しい人であり、加奈子も伸吾に惹かれて行った。

伸吾は加奈子との結婚を望んでいたが、前述の通り、加奈子は妊娠の可能性が非常に低いと、医者に言われていた。

そのため、加奈子はなかなか結婚に踏み切れない。

「私、貴方が好きだけど…。でも、子供は欲しくないの…」

加奈子は、自分の過去の事や、妊娠の可能性が低いという事は、伸吾に言えなかったが、

「子供は欲しくない」

と、やっとの思いで、伸吾に告げた。

「それでもいい。君が好きなんだ。結婚しよう」

伸吾は、加奈子にそう言ってくれた。

加奈子は、それほどまでに自分の事を思ってくれる、伸吾の気持ちが嬉しかった。

こうして、加奈子は伸吾との結婚を決意した。

 

 

こうして、伸吾加奈子は結婚し、とあるマンションで「新婚生活」を始めた。

しかし、その直後、思いがけない事態が起こった。

何と、そのマンションの隣の部屋に、「あの男」が引っ越して来た。

それは、以前、加奈子を一方的捨てた、あの男…麻利夫であった。

麻利夫は、その時、山田美雪と結婚し、山田家の「婿養子」となり、山田麻利夫と名乗っていた。

いきなり現れた麻利夫を見て、加奈子は仰天し、顔を引きつらせた。

「今度、引っ越して来ました、山田です。宜しくお願いします…」

何も知らない、麻利夫の妻・美雪は、ニコニコしていたが、

同じく、何も知らない加奈子の夫・伸吾も穏やかな笑顔であった。

美雪の傍らには、彼女の母親・愛子も居たが、この2人は、どうやら「お金持ち」であり、本来であれば、こんな庶民が暮らすようなマンションに引っ越して来るような人達ではない。

「麻利夫さんが、どうしても、こういう普通のマンションに住みたいっていうものだから…」

美雪の母・愛子はそう言っていた。

だが、それは麻利夫の「建前」であった。

麻利夫は、わざわざ加奈子達の居場所を突き止め、ここに引っ越して来たのである。

何とも身勝手な「クズ男」としか言いようが無い。

そして、麻利夫は意味ありげに加奈子に「目配せ」をすると、自らの鼻を引っかいた。

そう、それは「愛情表現」のつもりなのか…。

「あの人、一体どういうつもり…?」

加奈子は、得体の知れない恐怖に襲われていた…。

 

<『誰にも言えない』の「あらすじ」②~「クズ男」麻利夫と、麻利夫に付きまとわれる加奈子~そして、麻利夫の罠に嵌って行く伸吾…「誰にも言えない」無間地獄に落ちてしまった加奈子>

「貴方、一体どういうつもりなの?一方的に私を捨てたくせに…」

加奈子は、誰も見ていない時を見計らって、麻利夫に詰め寄った。

「あの時、君が僕の子供を身籠ってるって知ってたら、君と別れたりしなかったさ…」

麻利夫は、そんな事を平然と言った。

「貴方、勝手な事を言わないでよ…!!」

加奈子は、麻利夫の身勝手な言い分に、激怒した。

そもそも、加奈子も麻利夫も、それぞれ別の配偶者が居るではないか。

それなのに、わざわざ隣に引っ越して来た、麻利夫の事が、とても不気味であった。

 

 

 

その後の、麻利夫の行動も、異常だった。

麻利夫は、再び加奈子を手に入れるために、手段を選ばなかった。

山田家の婿養子となり、「山田書房」の経営に携わっていた麻利夫は、何も知らない伸吾「ヘッドハンティング」したが、それは、伸吾を自分の監視下に置き、伸吾に対し、加奈子への不信感を増幅させるような、あらゆる細工を施すためであった。

一方、これまた何も知らない美雪は、伸吾・加奈子の夫婦と仲良くなり、

「どちらの夫婦が先に子供を産むか、競争しましょう」

などと、無邪気に言っていた。

伸吾も、「そうしましょう」などと言っていたが、加奈子が「子供が欲しくない」と言っていた事を、伸吾も軽く考えていたようだ。

 

 

…という事で、この後の詳細は省くが、麻利夫は、加奈子が

「誰にも言えない」

のを良い事に、伸吾と加奈子の夫婦に亀裂を走らせようと、延々と策略を巡らし、加奈子も精神的に追い詰めて行く。

それは、まさに加奈子にとっては、出口が全く見えない「無間地獄」であった。

それにしても、麻利夫とは本当に酷い男であり、終始、怯え切っている加奈子は、誠に哀れであった。

 

<『誰にも言えない』の「あらすじ」③~麻利夫と加奈子の「過去」が、山田親子にバレる~そして、麻利夫が取った異常な行動とは…?>

 

 

だが、そんな麻利夫の「悪事」も、とうとう露見する時が来た。

麻利夫と加奈子の「過去」が、山田親子にバレてしまったのである。

山田夫妻と松永夫妻が、キャンプに行った時、物陰で麻利夫が加奈子を無理矢理に抱き寄せている所を、美雪が目撃してしまったのである。

麻利夫と加奈子の関係を、薄々、疑っていた美雪であるが、これには激しいショックを受けた。

なお、加奈子は麻利夫の事を憎んではいたが、心の底では、どうしても嫌いになれないようであった。

その証拠に、麻利夫に無理矢理に抱き寄せられた時も、嫌がって逃れようとはしたが、突き飛ばそうとはしなかった。

そんな様子を、バッチリと美雪に目撃されていたのである。

ともかく、加奈子の麻利夫に対する思いは、

「愛憎半ば」

といった所だったかもしれない。

 

 

 

愛子と美雪の親子は、「一心同体」というぐらい、仲が良かった。

そして、美雪は、麻利夫と加奈子の「浮気」を、母・愛子に告げ口した。

実業家である愛子は、その力を使って、麻利夫の過去を全て調べ上げた。

「貴方の正体は、全てわかったわ。今すぐ、山田家から出て行きなさい」

愛子にそう告げられ、窮地に陥った麻利夫は、一体どうしたのか…。

何と、麻利夫は、いきなり愛子にキスをして、

「実は、お義母(かあ)さんの事が、好きだったんです…」

などと言って、誘惑(?)した。

とにかく、麻利夫は、自分の保身のためなら、手段を選ばない男なのである。

こうして、山田家を追い出される寸前で、麻利夫は首の皮一枚、繋がった。

 

 

 

だが、そんな麻利夫の「悪あがき」も、長くは続かない。

加奈子は、とうとう全ての「過去」を、夫・伸吾に打ち明けた。

伸吾も、今まで自分が麻利夫に良いように利用されていた事を、ようやく知った。

「あんたの悪事を、洗いざらい、ぶちまけてやる」

伸吾にそう言われ、いよいよ窮地に陥った麻利夫は、何と、加奈子を自宅の「地下室」に監禁してしまった。

加奈子は必死に逃げようとしたが、麻利夫は自宅に火を放ち、加奈子を道連れに死のうとした。

だが、加奈子は必死で麻利夫の手から逃れようとして、思わず刃物で麻利夫を刺した…。

何とも衝撃的な展開であった。

なお、加奈子は逮捕されたが、後に「正当防衛」で釈放された。

一方、拉致監禁などの容疑で、麻利夫が逮捕された。

 

<『誰にも言えない』の「あらすじ」④~『ずっとあなたが好きだった』から続いた、壮大な物語の「大団円」>

 

 

この記事の冒頭で、私は『ずっとあなたが好きだった』『誰にも言えない』は、全く別の物語であると述べた。

しかし、『誰にも言えない』の終盤、実は、加奈子とは、『ずっとあなたが好きだった』美和洋介の夫婦の間に生まれた娘であり、麻利夫は、冬彦と、冬彦の再婚相手との間に生まれた息子である事が判明する。

それは、最初からそういう設定だったのか、或いは、『ずっとあなたが好きだった』の「続編」であるという設定に途中から変更したのかは、わからないが、ともかく、そういう関係だった事を知り、私もビックリ仰天であった。

 

 

 

 

…という事で、いよいよ物語はクライマックスを迎える。

衝撃の事件から数年後、伸吾・加奈子の夫婦の間に、双子の女の子が生まれていた。

そして、何と、麻利夫美雪の夫婦の間にも、男の子が生まれていたのである。

麻利夫に騙され、酷い仕打ちを受けた美雪であるが、結局、それでも麻利夫の事を愛していた美雪は麻利夫の事を許し、2人の間にも子供が生まれた。

だが、麻利夫と美雪の夫婦の間に生まれた男には、障害が有り、なかなか歩く事が出来ずにいた。

 

 

 

 

 

そして、麻利夫・美雪の夫婦と、伸吾・加奈子の夫婦も、久し振りに「再会」を果たす。

麻利夫は、刑務所に服役後、出所し、今では心を入れ替えたのか、憑き物が落ちたように、穏やかな顔をしていた。

だが、生まれた男の子に障害が有ったので、麻利夫はとても悩んでいた。

「これは、散々、僕が酷い事をやって来た、報いなんじゃないかな…」

麻利夫が自嘲気味に言うと、加奈子は、

「駄目よ、そんな風に考えちゃ…」

と言って、麻利夫を窘めた。

「有り難う。優しいな、君は…」

麻利夫は、加奈子に感謝の気持ちを伝えた。

だが、その後、「奇跡」が起きた。

麻利夫・美雪夫妻の間に生まれた男の子は、伸吾・加奈子夫婦の間に生まれた、あの双子の女の子を、必死で追い掛けている内に、初めて自分の足で立ち上がる事が出来た。

それを見て、美雪は我が子を強く抱きしめ、感激の涙を流して、麻利夫も涙を拭った。

そんな親子の様子を見て、加奈子も穏やかな笑顔を見せていた。

こうして、波乱万丈の物語は「大団円」を迎えた…。

 

<1993(平成5)年7月26日リリース…松任谷由実(ユーミン)の『真夏の夜の夢』>

 

 

 

 

…という事で、視聴者を夢中にさせた『誰にも言えない』は、平均視聴率23.8%、最高視聴率33.7%という大ヒットを記録したが、

『誰にも言えない』の主題歌として、1993(平成5)年7月26日リリースの、松任谷由実(ユーミン)の通算24枚目のシングル『真夏の夜の夢』も、ミリオンセラーの大ヒットとなった。

私も、『真夏の夜の夢』は、数多あるユーミンの楽曲の中でも、特に大好きな曲であるが、とにかく、この曲は徹頭徹尾、妖しい雰囲気かつ、カッコいい楽曲であり、何度聴いても飽きない、素晴らしい曲である。

個人的には、間奏のエレキギターのサウンドが、物凄くカッコイイので、その箇所が大好きである。

という事で、『真夏の夜の夢』の歌詞を、ご紹介させて頂き、今回の記事の締めくくりとさせて頂きたい。

 

 

『真夏の夜の夢』

作詞・作曲/松任谷由実

編曲/松任谷正隆

唄:松任谷由実

 

骨まで溶けるような

テキーラみたいなキスをして

夜空もむせかえる

激しいダンスを踊りましょう

 

私 遠い夢は待てなかった

 

最後はもっと私を見て

燃えつくすように

さよなら ずっと忘れないわ

今夜の二人のこと

 

花火は舞い上がり

スコールみたいに降りそそぐ

きらきら思い出が

いつしか終って消えるまで

 

あなたの影 私だけのものよ

 

最後は もっと抱いて抱いて

息もできぬほど

さよなら ずっとアモーレ・アモーレ

この世であなたひとり

 

踊るライト まわるダンスフロア

 

カリビアン・ナイト もっと私を見て

燃えつくすように

さよなら ずっと忘れないわ

今夜の二人のこと

 

最後は もっと抱いて抱いて

息もできぬほど

さよなら ずっとアモーレ・アモーレ

この世であなたひとり

 

カリビアン・ナイト ああ ふけてゆくわ

もり上がるリズム

さよなら ずっと忘れないわ

今夜の二人のこと