さて、前編では黒エナメルPチームが26エリア、takoちゃんPチームが21エリアと、黒エナメルPが僅かにリードを見せている状況だ。しかしながら、どちらのチームのコメントからも午後からが本気と言わんばかりの不敵な態度を見て取ることができる。以下からは再度、闘いの全記録を見ていこう。
【takoちゃんPチーム】
時間勝負というところもあり、昼食を手早く終わらせ、総武線に乗り両国駅へ向かった。道中で錦糸町/曳舟エリア、両国エリアをゲット(12:43)。その後大江戸線に乗り換え森下駅、都営新宿線に乗り換え馬喰横町駅、そこから徒歩で東日本橋駅まで行き都営浅草線で浅草駅、さらに銀座線に乗り換え上野駅へ向かった。道中では森下エリア、人形町/浜松エリア、上野/御徒町エリアをゲット(13:24)。
ひとつのエリアを終わらせるごとに貴音が何か話しかけてくれるが、電車内で音声を流した日には社会的に死んでしまうため表情の変化を楽しむしかなかった。ついでに最初は機嫌の悪かった貴音もこのころになるとパイタッチを許してくれるようになった。やったぜ。
上野駅から京浜東北線に乗り赤羽駅を目指した。途中日暮里エリア、田端/駒込/巣鴨エリア、上中里エリア、王子エリア、東十条エリア、赤羽エリアをゲット(13:44)。
10分ほど電車に乗っていただけで6エリアも手に入れることができるのは東京エリアの醍醐味ではないだろうか。
アイマスの聖地赤羽を軽くスルーし埼京線で池袋に向かい丸ノ内線に乗り換え、お茶の水を目指した。道中池袋エリア、大塚/目白エリア、白山/小石川エリア、後楽園/水道橋エリア、本郷エリア、御茶ノ水/神保町エリアをゲット(14:14)。
ここにきて東京の観光スポットを巡っているのにどこにもよらずひたすらスマホの画面とにらめっこという状況と、朝からひたすら電車移動の疲れが出始めた。takoチームも若くはなかったのである。
御茶ノ水駅から秋葉原駅を経由し東京駅、その後東西線で飯田橋駅、総武線に乗り換え信濃町駅で下車し、二度目の休憩をとった。道中では秋葉原エリア、神田エリア、東京周辺エリア、飯田橋/神楽坂エリア、麹町/市ヶ谷エリア、四谷エリア、青山/信濃町エリアをゲット(15:01)。
特に用もないのにオタクを引き寄せてしまう秋葉原駅でも当サークルが普段活動しているキャンパスがある飯田橋駅でも下車しなかった自身の鋼の心を崇め奉りたい。
休憩後歩いて赤坂エリアを取り再び総武線で新宿駅、乗り換えで高田馬場駅へと向かった。途中では新宿南口/代々木エリア、新宿東口エリア、西新宿エリア、新宿歌舞伎町エリア、高田馬場/早稲田エリアをゲット(15:54)。
休憩したはずなのに疲れが抜けず、2人とも口々に帰りたいと呟くようになっていた。もちろんそんな要望が通るわけもなく、ゆらゆらと次のエリアへと向かっていた。レオンとレベッカがいたら多分撃たれてた。
そんなゾンビ状態な2人は高田馬場から東西線で中野駅まで行った後、本来であれば新宿駅に向かうはずだったのだが、エリア数を稼げるという理由となんだかおもしろそうだからという理由にならない理由で、反対方向の電車に乗り日野駅へと進路を変更した。多摩方面に行ってしまうと途中で違う路線に乗り換えたりすることはできず、最終的にUターンすることで大幅に時間を食われるというのにである。脳内では迷走Mindがかかっていた気がする。そんなこんなで中野エリア、高円寺/阿佐ヶ谷エリア、荻窪/西荻窪エリア、吉祥寺/三鷹エリア、国分寺/国立エリア、府中/調布エリア、多摩エリアをゲット(16:47)。
日野駅で折り返し新宿駅へ向かった後、丸ノ内線に乗り換え四ツ谷駅、南北線に乗り換え目黒駅へ。途中本駒込駅で降り、徒歩圏内にある根津/千駄木エリアに立ち寄った。結果、新宿1~2丁目エリア、根津/千駄木エリア、六本木エリア、広尾/白金エリア、麻布十番エリア、目黒エリアをゲット(18:55)。
いよいよ旅の終わりが見えてきたが、この段階で全エリア踏破は絶望的となった。しかし、それでも黒エナチームとの勝負が残っているため次のエリアへと足を進めた。片手には一日でボロボロになったエリア一覧の紙、もう片方の手には翼を授けてくれる系のエナジードリンク。ゾンビから社会に疲れたサラリーマンにランクアップ(?)である。小梅ちゃんはガッカリだ。
目黒駅から山手線で渋谷駅まで行き、バスを使い六本木ヒルズへ。EX THEATER ROPPONGIしか知らないオタクなので、ナウでヤングなイケイケチャン二ーチャンネーばかりな夜のギロッポン空間は辛すぎた。やっぱりシースーとか食べちゃうんですか。
六本木駅から大江戸線で青山一丁目駅、半蔵門線に乗り換え二子玉川駅へ。そして最後に大井町線で自由が丘駅、東横線に乗り換え田園調布駅に着いたところでタイムアップ。
時間が多少余っていたのでフリーパス対象外の路線に乗り、取っていないエリアを回収していたところで時間になってしまった。終わってしまえばあっという間の事のようで、駅のホームでお互いの健闘を労い二人の旅に幕を閉じた。
【黒エナメルPチーム】
昼食後、我々は都心方面を手中に収めるべく山手線内回りに乗車した。13:56に表参道/原宿、14:04に広尾/白金、14:06に大崎/五反田、14:11に品川、14:14に田町をゲットした我々は、田町駅で京浜東北線に乗り換えて14:25に大井町、14:28に大森、14:32に蒲田/羽田をクリア。それからは大井町駅へと戻って下車し、徒歩で天王州を獲得後すぐに大井町駅へと引き返すと、山手線で渋谷へと向かった。このとき猛烈な睡魔に襲われる筆者を尻目に、黒エナメルPとナイヤPはひたすらルートに関しての会話を交わしていた。まったく見上げたプロデューサー根性である。というか昼食からはルートどりの話以外まったく口にしていないことに感銘すら覚えた。
午後3時を過ぎ、太陽が傾き始めた。
渋谷駅で銀座線に乗り換えると、次に我々は都心中央部へと向かった。まず表参道駅を下車し15:39に西麻布エリアを、そのまま徒歩で移動し15:45に青山/信濃町エリアを獲得する。表参道駅から再び銀座線に乗ると青山一丁目駅で都営大江戸線に乗り換え、六本木駅を下車して16:08に六本木エリアを獲得した。我々は度重なる疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突…ではなく、あまりにも感情を失いかけてきたために途中でレッドブルとかいうスタドリと明治の板チョコでスタミナ値を30%ほど回復させ、老体に鞭打って16:25に赤坂エリアをクリアした。そして休む間もなく再び六本木駅から都営大江戸線に乗り込み、16:37麻布十番エリアを獲得、麻布十番駅ですぐさま南北線に乗り換えて16:55に有楽町/日比谷、17:01に新橋エリアを獲得した。
ふと気が付けば空はもうやみのま、闇に呑まれていた。しかし我々は響のため、そして自身に宿るプロデューサー魂のためにその足を動かさざるを得ない。つくづく悲しい性(さが)である。

[腕組みでTwilight Skyを望む黒エナメルPとナイヤPの背中。東京駅にて]
東京駅以東のエリアの取得を目指す我々。新橋駅では山手線に乗り換え東京駅で17:08に東京駅周辺エリアを、丸ノ内線と徒歩移動により17:20に銀座、17:31に築地、17:34に日本橋を、新富町駅から日比谷線で豊洲駅を降り17:48月島/晴海/豊洲エリアを、豊洲駅から有楽町線・京葉線を利用して17:55辰巳/新木場、18:00に葛西臨海公園エリアを獲得。タイムリミットはあと3時間である。
すっかり日は落ち、電車は学校・会社帰りの人々で電車が混雑してきた。今や我々3人に会話などない。頭に浮かぶのは「どのルートを通れば効率的にエリア数を稼げるか」、この一点のみである。

[肉体的疲労、精神的焦燥。葛西臨海公園に光る観覧車のイルミネーションと視点の定まらない無表情の二人がじつに対称的で、絵画的な美しさすら感じる]
さらに新木場から月島へ移動し、都営大江戸線で門前仲町駅を下車。18:31に深川エリアを獲得すると、以降は目的駅で下車し改札までダッシュ、GPS機能が有効となる地上でエリアを獲得したら再び電車に乗り込むことの繰り返しであった。18:41木場。18:51森下。19:01人形町/浜町。19:08両国。19:19砂町。19:36錦糸町。19:40亀戸エリアをそれぞれ獲得。これらの最中に電光掲示板を見てナイヤPがキレながら発した「(次の電車まで) 4分も待たせんのかよ」はあまりに常軌を逸した一言として他の二人をドン引きさせた。さすがに怖いッスよ、先輩。
亀戸駅からは総武線に乗車し、19:47秋葉原、19:51御茶ノ水/神保町、19:54後楽園/水道橋、19:56飯田橋/神楽坂、19:58麹町/市ヶ谷、20:00四谷、20:02千駄ヶ谷/信濃町と中央線エリアを制覇。新宿駅では我々むさ苦しいソレイユによるアイカツダッシュ!でギリギリ埼京線に滑り込み、20:14目白、20:16池袋、20:20王子、20:23東十条、20:24赤羽をゲット。赤羽駅で京浜東北線に乗り換え、20:35に上中里、20:36に田端(この時ファン獲得数7万人を突破)、20:38に日暮里、20:43に上野/御徒町、20:48に神田を獲得し、神田駅での中央線乗り換えを経て御茶ノ水駅で下車すると20:59に本郷エリアをギリギリ獲得して、御茶ノ水駅聖橋口にてタイムリミットとなる21時を迎えたのである。まさに激動、激闘の午後であった。(ちなみに終了後は3人で銭湯に行き風呂に入ってビン牛乳で乾杯して別れた)
------
両チームとも終了時間となった。この時点ではいずれのチームも相手が獲得したエリア数を知ってはおらず、結果は二週間後の打ち上げでの発表となる。とにかく、ようやくアイモババトルの12時間が終了した後、美樹さやかのソウルジェムと見まごうほど濁った瞳の二人はこう語った。
「とても疲れました。当たり前ですが12時間も路線図とにらめっこしながら東京を駆け回ることなんて経験がないもので、特にお昼すぎたあたりからまだ半分もあるのか…と絶望した記憶があります。ただ、一緒に回ってくれる人がいたことがとても心の支えになり、なんとか最後まで走り切れました。黒エナチームの先輩方は私の持っていないようなアイモバ知識をお持ちなので、勝てるか怪しいところですがやれることはやりましたのでひょっとするかもしれませんね…。」(takoちゃんP)
「なにも喋りたくないくらいには疲れた…最後めっちゃ走ったもんなぁ こんだけエリアとれば勝てるっしょ、みんなそう思ってる」(黒エナメルP)
------
─ そして二週間後、新宿の某居酒屋にて再び5人が集まった。
乾杯の音頭を取って1分とせずに、誰からともなく、じゃあ発表しましょうか、の声が上がる。
白か黒か。決着の瞬間である。ごくり、と誰かが大きなつばを嚥んだ。
まずは黒エナメルPが意気揚々と、勝利を確信したかのように自チームの成績を高らかに発表する。
黒エナメルPチームのエリア獲得数、実に75!!
takoPチームが天を仰ぐのを見て、黒エナチームの3人がにやりと笑う。雌雄が決したかのように思われたその時、takoちゃんPがおもむろに立ち上がり発表した。
takoちゃんPチームのエリア獲得数、実に80!!
…takoちゃんPチームの勝利である。
2つのチームの勝敗を隔てたのは戦略の差だった。黒エナチームが電車での移動を基本としていたのに対し、takoPチームは電車だけでなくバスも存分に活用したのである。
勝敗が決したのち、勝者のtakoちゃんPは笑顔でこう語る。
「当然の結果です(ドヤ顔)。いや、正直勝てるとは思っていませんでしたのでとてもうれしいです。相手チームの動向がロケ中全く分からなかったので常に、ひやひやしながらエリアを回っていたのですが、最後にフリー切符対象外の路線から離れてエリアを取りに行ったことは無駄ではなかったようで満足です。」
一方の黒エナメルPも、敗北したのにも関わらずにこやかにコメントした。
「まさか負けるとは思ってもみなかったけどやるだけやったから仕方ないかなって気がするよ これもいい思い出になるだろうね」
結果発表後の5人の表情は、バトル当日の朝とはうってかわって晴れやかだった。みながお互いのチームの健闘を讃え合ってハイボールを酌み交わし、盛大に労をねぎらった。寂れた路地裏にて敗者の三人でアカペラの「i」を泣きながら歌ったことも忘れがたい想い出のひとつだ。かくしてチームの区別はあれど、5人の心は熱い友情で結ばれたのである。それは他でもない、アイモバの力だ。
アイモバは単にアイドルと写真を撮り、ボイスを聴き、πタッチをするゲームだけではない。アイモバがあったからこそ我々は何にも代えがたい、大きな想い出と尊敬すべき偉大な戦友(とも)たちを手に入れたのだ。ありがとう、ありがとうアイモバ。
-------
アイモバiのサービス終了が告知されたのは、奇しくも打ち上げの2日後であった。
その一報を知った二人はこうコメントする。
「とてもショックでした。特にこの企画自体やっていてとても面白かったので、次回作も考えようとみんなで話していた矢先のことでしたので余計衝撃が強かったです。アイドルと写真を撮る機能は特にお気に入りで旅行の際に観光スポットと写真を撮ったり、年越しの際に一緒に写真を撮ってみたりととても楽しませてもらっていたので残念で仕方がないです。ですので、最後の時までアイモバを遊び倒して悔いの残らないようにしたいと思います。」(takoちゃんP)
「ぜってぇリベンジしてやっからな!と息巻いたはいいものの、まさかリベンジの機会がこんな形でなくなるとは思いませんでした サービスが終了してしまうのはただただ残念ですが、最後にこうして仲間といい思い出を作ることができたことは幸福だったと思います」(黒エナメルP)
2012年3月のサービス開始から約4年。iPhoneユーザー向けとして独自の立ち位置の中でその魅力を全国のプロデューサーに振りまいてきたアイモバiも、とうとうその幕を下ろす日が来てしまった。
この企画も単にアイモバで獲得エリアを競う記事から追悼記事へと趣旨が替わってしまったことが残念でならない。
しかし、たとえアイモバが終了しても、我々があの日流した汗と涙を、仲間と交わした握手と熱い抱擁を、そしてπタッチを一生涯忘れることはないだろう。それは、全国の同僚においても同様だ。アイドルとの写真、仲間との旅、離島への出張…。どれも皆のプロデュース活動の中の、きらきら輝く想い出の1ページだ。そんなかけがえのない大切な財産はいつも、アイモバと共にあったのである。
我々はアイドルマスター モバイルiというサービスが存在したことを決して忘れないだろう。
ありがとう、そしてさようなら、アイモバi。いつかまた逢う日まで。
(文章:takoちゃんP、かぶきあげP)
【takoちゃんPチーム】
時間勝負というところもあり、昼食を手早く終わらせ、総武線に乗り両国駅へ向かった。道中で錦糸町/曳舟エリア、両国エリアをゲット(12:43)。その後大江戸線に乗り換え森下駅、都営新宿線に乗り換え馬喰横町駅、そこから徒歩で東日本橋駅まで行き都営浅草線で浅草駅、さらに銀座線に乗り換え上野駅へ向かった。道中では森下エリア、人形町/浜松エリア、上野/御徒町エリアをゲット(13:24)。
ひとつのエリアを終わらせるごとに貴音が何か話しかけてくれるが、電車内で音声を流した日には社会的に死んでしまうため表情の変化を楽しむしかなかった。ついでに最初は機嫌の悪かった貴音もこのころになるとパイタッチを許してくれるようになった。やったぜ。
上野駅から京浜東北線に乗り赤羽駅を目指した。途中日暮里エリア、田端/駒込/巣鴨エリア、上中里エリア、王子エリア、東十条エリア、赤羽エリアをゲット(13:44)。
10分ほど電車に乗っていただけで6エリアも手に入れることができるのは東京エリアの醍醐味ではないだろうか。
アイマスの聖地赤羽を軽くスルーし埼京線で池袋に向かい丸ノ内線に乗り換え、お茶の水を目指した。道中池袋エリア、大塚/目白エリア、白山/小石川エリア、後楽園/水道橋エリア、本郷エリア、御茶ノ水/神保町エリアをゲット(14:14)。
ここにきて東京の観光スポットを巡っているのにどこにもよらずひたすらスマホの画面とにらめっこという状況と、朝からひたすら電車移動の疲れが出始めた。takoチームも若くはなかったのである。
御茶ノ水駅から秋葉原駅を経由し東京駅、その後東西線で飯田橋駅、総武線に乗り換え信濃町駅で下車し、二度目の休憩をとった。道中では秋葉原エリア、神田エリア、東京周辺エリア、飯田橋/神楽坂エリア、麹町/市ヶ谷エリア、四谷エリア、青山/信濃町エリアをゲット(15:01)。
特に用もないのにオタクを引き寄せてしまう秋葉原駅でも当サークルが普段活動しているキャンパスがある飯田橋駅でも下車しなかった自身の鋼の心を崇め奉りたい。
休憩後歩いて赤坂エリアを取り再び総武線で新宿駅、乗り換えで高田馬場駅へと向かった。途中では新宿南口/代々木エリア、新宿東口エリア、西新宿エリア、新宿歌舞伎町エリア、高田馬場/早稲田エリアをゲット(15:54)。
休憩したはずなのに疲れが抜けず、2人とも口々に帰りたいと呟くようになっていた。もちろんそんな要望が通るわけもなく、ゆらゆらと次のエリアへと向かっていた。レオンとレベッカがいたら多分撃たれてた。
そんなゾンビ状態な2人は高田馬場から東西線で中野駅まで行った後、本来であれば新宿駅に向かうはずだったのだが、エリア数を稼げるという理由となんだかおもしろそうだからという理由にならない理由で、反対方向の電車に乗り日野駅へと進路を変更した。多摩方面に行ってしまうと途中で違う路線に乗り換えたりすることはできず、最終的にUターンすることで大幅に時間を食われるというのにである。脳内では迷走Mindがかかっていた気がする。そんなこんなで中野エリア、高円寺/阿佐ヶ谷エリア、荻窪/西荻窪エリア、吉祥寺/三鷹エリア、国分寺/国立エリア、府中/調布エリア、多摩エリアをゲット(16:47)。
日野駅で折り返し新宿駅へ向かった後、丸ノ内線に乗り換え四ツ谷駅、南北線に乗り換え目黒駅へ。途中本駒込駅で降り、徒歩圏内にある根津/千駄木エリアに立ち寄った。結果、新宿1~2丁目エリア、根津/千駄木エリア、六本木エリア、広尾/白金エリア、麻布十番エリア、目黒エリアをゲット(18:55)。
いよいよ旅の終わりが見えてきたが、この段階で全エリア踏破は絶望的となった。しかし、それでも黒エナチームとの勝負が残っているため次のエリアへと足を進めた。片手には一日でボロボロになったエリア一覧の紙、もう片方の手には翼を授けてくれる系のエナジードリンク。ゾンビから社会に疲れたサラリーマンにランクアップ(?)である。小梅ちゃんはガッカリだ。
目黒駅から山手線で渋谷駅まで行き、バスを使い六本木ヒルズへ。EX THEATER ROPPONGIしか知らないオタクなので、ナウでヤングなイケイケチャン二ーチャンネーばかりな夜のギロッポン空間は辛すぎた。やっぱりシースーとか食べちゃうんですか。
六本木駅から大江戸線で青山一丁目駅、半蔵門線に乗り換え二子玉川駅へ。そして最後に大井町線で自由が丘駅、東横線に乗り換え田園調布駅に着いたところでタイムアップ。
時間が多少余っていたのでフリーパス対象外の路線に乗り、取っていないエリアを回収していたところで時間になってしまった。終わってしまえばあっという間の事のようで、駅のホームでお互いの健闘を労い二人の旅に幕を閉じた。
【黒エナメルPチーム】
昼食後、我々は都心方面を手中に収めるべく山手線内回りに乗車した。13:56に表参道/原宿、14:04に広尾/白金、14:06に大崎/五反田、14:11に品川、14:14に田町をゲットした我々は、田町駅で京浜東北線に乗り換えて14:25に大井町、14:28に大森、14:32に蒲田/羽田をクリア。それからは大井町駅へと戻って下車し、徒歩で天王州を獲得後すぐに大井町駅へと引き返すと、山手線で渋谷へと向かった。このとき猛烈な睡魔に襲われる筆者を尻目に、黒エナメルPとナイヤPはひたすらルートに関しての会話を交わしていた。まったく見上げたプロデューサー根性である。というか昼食からはルートどりの話以外まったく口にしていないことに感銘すら覚えた。
午後3時を過ぎ、太陽が傾き始めた。
渋谷駅で銀座線に乗り換えると、次に我々は都心中央部へと向かった。まず表参道駅を下車し15:39に西麻布エリアを、そのまま徒歩で移動し15:45に青山/信濃町エリアを獲得する。表参道駅から再び銀座線に乗ると青山一丁目駅で都営大江戸線に乗り換え、六本木駅を下車して16:08に六本木エリアを獲得した。我々は度重なる疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突…ではなく、あまりにも感情を失いかけてきたために途中でレッドブルとかいうスタドリと明治の板チョコでスタミナ値を30%ほど回復させ、老体に鞭打って16:25に赤坂エリアをクリアした。そして休む間もなく再び六本木駅から都営大江戸線に乗り込み、16:37麻布十番エリアを獲得、麻布十番駅ですぐさま南北線に乗り換えて16:55に有楽町/日比谷、17:01に新橋エリアを獲得した。
ふと気が付けば空はもうやみのま、闇に呑まれていた。しかし我々は響のため、そして自身に宿るプロデューサー魂のためにその足を動かさざるを得ない。つくづく悲しい性(さが)である。

[腕組みでTwilight Skyを望む黒エナメルPとナイヤPの背中。東京駅にて]
東京駅以東のエリアの取得を目指す我々。新橋駅では山手線に乗り換え東京駅で17:08に東京駅周辺エリアを、丸ノ内線と徒歩移動により17:20に銀座、17:31に築地、17:34に日本橋を、新富町駅から日比谷線で豊洲駅を降り17:48月島/晴海/豊洲エリアを、豊洲駅から有楽町線・京葉線を利用して17:55辰巳/新木場、18:00に葛西臨海公園エリアを獲得。タイムリミットはあと3時間である。
すっかり日は落ち、電車は学校・会社帰りの人々で電車が混雑してきた。今や我々3人に会話などない。頭に浮かぶのは「どのルートを通れば効率的にエリア数を稼げるか」、この一点のみである。

[肉体的疲労、精神的焦燥。葛西臨海公園に光る観覧車のイルミネーションと視点の定まらない無表情の二人がじつに対称的で、絵画的な美しさすら感じる]
さらに新木場から月島へ移動し、都営大江戸線で門前仲町駅を下車。18:31に深川エリアを獲得すると、以降は目的駅で下車し改札までダッシュ、GPS機能が有効となる地上でエリアを獲得したら再び電車に乗り込むことの繰り返しであった。18:41木場。18:51森下。19:01人形町/浜町。19:08両国。19:19砂町。19:36錦糸町。19:40亀戸エリアをそれぞれ獲得。これらの最中に電光掲示板を見てナイヤPがキレながら発した「(次の電車まで) 4分も待たせんのかよ」はあまりに常軌を逸した一言として他の二人をドン引きさせた。さすがに怖いッスよ、先輩。
亀戸駅からは総武線に乗車し、19:47秋葉原、19:51御茶ノ水/神保町、19:54後楽園/水道橋、19:56飯田橋/神楽坂、19:58麹町/市ヶ谷、20:00四谷、20:02千駄ヶ谷/信濃町と中央線エリアを制覇。新宿駅では我々むさ苦しいソレイユによるアイカツダッシュ!でギリギリ埼京線に滑り込み、20:14目白、20:16池袋、20:20王子、20:23東十条、20:24赤羽をゲット。赤羽駅で京浜東北線に乗り換え、20:35に上中里、20:36に田端(この時ファン獲得数7万人を突破)、20:38に日暮里、20:43に上野/御徒町、20:48に神田を獲得し、神田駅での中央線乗り換えを経て御茶ノ水駅で下車すると20:59に本郷エリアをギリギリ獲得して、御茶ノ水駅聖橋口にてタイムリミットとなる21時を迎えたのである。まさに激動、激闘の午後であった。(ちなみに終了後は3人で銭湯に行き風呂に入ってビン牛乳で乾杯して別れた)
------
両チームとも終了時間となった。この時点ではいずれのチームも相手が獲得したエリア数を知ってはおらず、結果は二週間後の打ち上げでの発表となる。とにかく、ようやくアイモババトルの12時間が終了した後、美樹さやかのソウルジェムと見まごうほど濁った瞳の二人はこう語った。
「とても疲れました。当たり前ですが12時間も路線図とにらめっこしながら東京を駆け回ることなんて経験がないもので、特にお昼すぎたあたりからまだ半分もあるのか…と絶望した記憶があります。ただ、一緒に回ってくれる人がいたことがとても心の支えになり、なんとか最後まで走り切れました。黒エナチームの先輩方は私の持っていないようなアイモバ知識をお持ちなので、勝てるか怪しいところですがやれることはやりましたのでひょっとするかもしれませんね…。」(takoちゃんP)
「なにも喋りたくないくらいには疲れた…最後めっちゃ走ったもんなぁ こんだけエリアとれば勝てるっしょ、みんなそう思ってる」(黒エナメルP)
------
─ そして二週間後、新宿の某居酒屋にて再び5人が集まった。
乾杯の音頭を取って1分とせずに、誰からともなく、じゃあ発表しましょうか、の声が上がる。
白か黒か。決着の瞬間である。ごくり、と誰かが大きなつばを嚥んだ。
まずは黒エナメルPが意気揚々と、勝利を確信したかのように自チームの成績を高らかに発表する。
黒エナメルPチームのエリア獲得数、実に75!!
takoPチームが天を仰ぐのを見て、黒エナチームの3人がにやりと笑う。雌雄が決したかのように思われたその時、takoちゃんPがおもむろに立ち上がり発表した。
takoちゃんPチームのエリア獲得数、実に80!!
…takoちゃんPチームの勝利である。
2つのチームの勝敗を隔てたのは戦略の差だった。黒エナチームが電車での移動を基本としていたのに対し、takoPチームは電車だけでなくバスも存分に活用したのである。
勝敗が決したのち、勝者のtakoちゃんPは笑顔でこう語る。
「当然の結果です(ドヤ顔)。いや、正直勝てるとは思っていませんでしたのでとてもうれしいです。相手チームの動向がロケ中全く分からなかったので常に、ひやひやしながらエリアを回っていたのですが、最後にフリー切符対象外の路線から離れてエリアを取りに行ったことは無駄ではなかったようで満足です。」
一方の黒エナメルPも、敗北したのにも関わらずにこやかにコメントした。
「まさか負けるとは思ってもみなかったけどやるだけやったから仕方ないかなって気がするよ これもいい思い出になるだろうね」
結果発表後の5人の表情は、バトル当日の朝とはうってかわって晴れやかだった。みながお互いのチームの健闘を讃え合ってハイボールを酌み交わし、盛大に労をねぎらった。寂れた路地裏にて敗者の三人でアカペラの「i」を泣きながら歌ったことも忘れがたい想い出のひとつだ。かくしてチームの区別はあれど、5人の心は熱い友情で結ばれたのである。それは他でもない、アイモバの力だ。
アイモバは単にアイドルと写真を撮り、ボイスを聴き、πタッチをするゲームだけではない。アイモバがあったからこそ我々は何にも代えがたい、大きな想い出と尊敬すべき偉大な戦友(とも)たちを手に入れたのだ。ありがとう、ありがとうアイモバ。
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アイモバiのサービス終了が告知されたのは、奇しくも打ち上げの2日後であった。
その一報を知った二人はこうコメントする。
「とてもショックでした。特にこの企画自体やっていてとても面白かったので、次回作も考えようとみんなで話していた矢先のことでしたので余計衝撃が強かったです。アイドルと写真を撮る機能は特にお気に入りで旅行の際に観光スポットと写真を撮ったり、年越しの際に一緒に写真を撮ってみたりととても楽しませてもらっていたので残念で仕方がないです。ですので、最後の時までアイモバを遊び倒して悔いの残らないようにしたいと思います。」(takoちゃんP)
「ぜってぇリベンジしてやっからな!と息巻いたはいいものの、まさかリベンジの機会がこんな形でなくなるとは思いませんでした サービスが終了してしまうのはただただ残念ですが、最後にこうして仲間といい思い出を作ることができたことは幸福だったと思います」(黒エナメルP)
2012年3月のサービス開始から約4年。iPhoneユーザー向けとして独自の立ち位置の中でその魅力を全国のプロデューサーに振りまいてきたアイモバiも、とうとうその幕を下ろす日が来てしまった。
この企画も単にアイモバで獲得エリアを競う記事から追悼記事へと趣旨が替わってしまったことが残念でならない。
しかし、たとえアイモバが終了しても、我々があの日流した汗と涙を、仲間と交わした握手と熱い抱擁を、そしてπタッチを一生涯忘れることはないだろう。それは、全国の同僚においても同様だ。アイドルとの写真、仲間との旅、離島への出張…。どれも皆のプロデュース活動の中の、きらきら輝く想い出の1ページだ。そんなかけがえのない大切な財産はいつも、アイモバと共にあったのである。
我々はアイドルマスター モバイルiというサービスが存在したことを決して忘れないだろう。
ありがとう、そしてさようなら、アイモバi。いつかまた逢う日まで。
(文章:takoちゃんP、かぶきあげP)