C社の始めての社員旅行が、
ハウステンボスに決まった。

そこでの、
夜の会食パーティーで、

風船マジシャン

(長細い風船を
 クルクルまわして
 犬とか作る人)

の退屈な時間を過ごした後、
カラオケ大会が行われた。

流石に社員全員が
歌ったのでは、
朝までかかっちゃうし、

歌いたくない人もいるだろう。

ということで、
歌うのは一テーブル
(5~6人掛け)から

一人づつ選出して
代表で歌うことに。

で、誰が一番巧く歌うかを
テーブルごとで予想させ、

歌い初めとなる。

 

実は僕はC社に
入るまではカラオケは

一回一曲しか
歌った事が無くて、

コンパイルに入社
してから社長に
ほぼ強引に誘われて、

カラオケに行くようになった。

僕はクリスチャン
でもあるので、

聖歌を歌う事が
多かったので、
音感は有ったらしい。

社長からも
お褒めの言葉を頂いた。

そんなこんながあって、
僕のテーブルは

そのことを知っている
面子が座っていたので、

歌うのは僕と相成った。

 

カラオケを
フルコーラス歌うのも

それなりに時間が
かかるということで、

ワンコーラスのみ
というルールもできた。

 

あんまり巧くない人、

そこそこ巧い人と
何人かが歌ったあと、

僕の番となったわけだが、

僕のいたテーブル以外、
誰も僕を推すテーブルは

無かったのだが、

僕の歌う歌が、
KATSUMIの
「危険な女神」と知れて、

会場がどよめいたさ。

だって難しい歌だもの。

歌い始めこそ
シーンとしていた会場が、

歌が進んで行くうちに、
満場の手拍子に変わり、

ワンコーラスのみだった
はずのルールが吹っ飛んで、

フルコーラス歌うことに。

 

歌い終わったら、
盛大な拍手が沸き起こった。

僕の後にも二人歌うのだが、
とても嫌そうだった。

大会が終わり優勝は
僕のいたテーブルのみとなり、

景品を貰うことに。

「そんな巧いとは
 思わんかった~」とか

「絶対、音痴だと思ってた」とか

「卑怯すぎる」とか賞賛された。

その後は、
それまでカラオケに
誘ってくれなかった方々も

僕を誘ってくれるようになり、

六日間で七回カラオケに
行くこともあった。