近年の重要な改正点④(H2民法大改正-前編) | 保坂つとむの宅建合格塾

近年の重要な改正点④(H2民法大改正-前編)



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みなさん,こんばんは(^o^)。

今回&次回は,令和2年度の宅建試験から出題されることになった民法の大改正のうち,主なものを紹介します。



35年以上の講師経験のある私でも,宅建試験の出題範囲中,過去おそらくもっとも大きな改正となったのが,この民法大改正!

全ての改正点を網羅するのはとても無理なので,保坂つとむセレクト!という形で,とくに重要なものを私がチョイスしました(#^.^#)。



ところで,民法の改正は,次の3つに大別できます。
 ↓
● 新設規定
● 内容変更
● 明文化


このうち「明文化」は,単に条文に明記された…だけなので,今回&次回は,他の2つの改正論点(新設規定・内容変更)の中からセレクトしたものを取り上げました。




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●●● H2民法大改正-前編 ●●●

宅地建物取引士試験の対象となる範囲についての令和2年度「民法」の主な改正点について,下記でご案内します。

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【民法大改正(保坂つとむセレクト!)前編】
(重要度 ★★★★★)

(意思表示)
● 詐欺
取消しを対抗できない相手方や第三者の要件が、従来の「善意」から「善意無過失」に変更されました。
 ↓
● 錯誤
「無効となる」から「取消しできる」に変更され、例外規定の新設(共通錯誤など)や、第三者保護規定の新設(善意無過失の第三者に対抗できない!)などが行われました。


(代理)
● 制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人として行った代理行為は、取消しできることになりました。
 ↓
● 復代理人がミスった場合の任意代理人の責任が、「選任・監督責任」から「債務不履行責任」に変更されました。
 ↓
● 代理権の濫用があった場合には、無権代理行為とみなされることになりました。
 ↓
● 相手方が善意有過失であっても、無権代理人が悪意であれば、相手方から無権代理人に責任追及(履行・損害賠償)ができるようになりました。


(時効)
● 短期消滅時効(例:飲み屋のツケは1年)が廃止されました。
 ↓
● 債権の消滅時効期間が、知った時から5年 or 行使できる時から10年(人の生命・身体の侵害…20年)に整理されました。
(不法行為の損害賠償請求権の場合は、知った時から3年(人の生命・身体の侵害…5年) or 不法行為の時から20年…となる!)
 ↓
● 時効の完成猶予と時効の更新という用語が新設され、仮差押・催告・協議を行う旨の合意などは「完成猶予」の対象に、承認は「更新」の対象に、裁判上の請求や強制執行などは「完成猶予→手続終了後は更新」の対象に…と定められました。


(弁済)
● 債務者の意思に反する第三者弁済
正当な利益を有しない第三者の弁済であっても、債務者の意思に反することを、債権者が知らなければ、有効となります。
 ↓
● 債権者の意思に反する第三者弁済
債務者の委託による弁済であることを、債権者が知っていれば、有効となります。
 ↓
● 法令利率
「年5%」から「年3%」に変更され、3年ごとに見直す「変動制」も導入されました。


(相殺)
● 不法行為がらみの相殺は、従来、加害者からの相殺が一律NGでしたが、「悪意」や「人の生命・身体の侵害」の場合のみ、加害者からの相殺はNG…と変更されました。
 ↓
● したがって、例えば「ついうっかり他人の物を壊した」みたいなケースであれば、加害者からの相殺もOKとなります。


(契約の解除)
● 債務者の帰責事由は不要となりました。
 ↓
● 軽微な債務不履行の場合は、解除できません。
 ↓
● 履行不能や債権者の履行拒絶などのケースでは、催告なしに解除できる「無催告解除」の規定が整備されました。


(危険負担)
● 特定物売買の場合、従来は買主負担(代金全額を支払う!)だったものが、売主負担(買主は代金支払を拒絶できる!)に変更されました。
 ↓
● ただし、買主の帰責事由が原因の場合は、買主は代金支払を拒絶できません。

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今回の記事は…以上です。






【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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