上級者向け…超灘過去問解説(平成27年【問7】)
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上級者向け…超灘過去問解説(権利関係編①)
□□□ 宅建過去問(平成27年【問7】)□□□
重要度★
債務者Aが所有する甲土地には,債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円),債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円),債権者Dが三番抵当権(債権額4,000万円)をそれぞれ有しており,Aにはその他に担保権を有しない債権者E(債権額2,000万円)がいる。甲土地の競売に基づく売却代金5,400万円を配当する場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)BがEの利益のため,抵当権を譲渡した場合,Bの受ける配当は0円である。
(2)BがDの利益のため,抵当権の順位を譲渡した場合,Bの受ける配当は800万円である。
(3)BがEの利益のため,抵当権を放棄した場合,Bの受ける配当は1,000万円である。
(4)BがDの利益のため,抵当権の順位を放棄した場合,Bの受ける配当は1,000万円である。
(解説はこちら ^o^)
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●●●(かる~く確認したい人は…)あっさり解説 ●●●
(1)○
Cが2400万円・Dが1000万円・Eが2000万円で…⇒Bは0円となるョ。
(2)×
Bが受ける配当は800万円じゃないのよ…⇒0円なのよォ~。
(3)○
Bの配当金をEと分けっこするから…⇒Bは1,000万円でOKだョ。
(4)○
BとDの配当金合計を1:2で分けっこし…⇒Bは1,000万円となるョ。
正解(2)
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●●●(ふか~く確認したい人は…)しっかり解説 ●●●
《本問の総評》
かれこれ“20数年前”のことだ。
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本問の内容について,そのうち試験に出るのでは…と考えて,勤務していた某予備校の上司である当時の課長と相談し,無料でその予備校の受講生向けに講習会を開いたことがある。
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たしか,100名近くは集まっただろうか!?
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何枚ものレジュメを用意して,3時間以上かけて,とても丁寧に説明をしたものだ。
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ところが,講習終了時に参加者にアンケートをとったところ「今日の講習会の内容は,難しすぎてよくわからない…ということが,よくわかりました。」みたいな意見が多発した(笑)。
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講習会は,その1回だけで,2度と開催されることはなかったのは,言うまでもない。
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平成27年の本試験直後,本問をはじめて見たときに,ようやくこれが丸々1問で出たか…と懐かしく思ったものだ。
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上記の講習会は,ちょっと時代の先を行き過ぎてしまっていたようである。
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…で,実際にこのような形で出題されたのだから,あらためて同様の講習会を開催すべきか?…と訊かれれば,私は迷わず“いらない”と答える。
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宅建試験の受験生には,あまりにも内容が難しすぎる。これをクリアするための学習時間があれば,宅建業法の学習に回した方が,よっぽどマシだ。
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だから,重要度は“★1つ”。
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相当学習がすすんだ上級者以外,深入りは絶対厳禁だ!
(1)正しい
“抵当権の譲渡”とは,抵当権者が“無担保の債権者”に対して,自己の有する抵当権を譲渡することをいう。
(なお… 譲渡の相手方は,同一の債務者に対する債権者に限定される!)
↓
この譲渡がない場合,甲土地の競売に基づく売却代金5,400万円なので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金2,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
ところが,本肢では,BがEの利益のため,抵当権を譲渡しているので…
● B (無担保債権者)→ 配当金0円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (一番抵当権者)→ 配当金2,000万円
↓
要するに,抵当権を譲り受けたEが一番抵当権者となり,抵当権を譲り渡したBが無担保債権者となる。
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ただし,Eの優先権の範囲は,“Bの配当金額(2,000万円)を限度”とするため,他の抵当権者であるCとDには影響がない。
(だから… Eの配当が“2,000万円”となり,Bは“0円”となってしまう!)
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よって,本肢は正しい。
《50日でうかる宅建士:未掲載》
(2)誤り
“抵当権の順位の譲渡”とは,先順位の抵当権者が“後順位の抵当権者”に対して,自己の有する抵当権の順位を譲渡することをいう。
↓
この順位の譲渡がない場合,甲土地の競売に基づく売却代金5,400万円なので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金2,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
ところが,本肢では,BがDの利益のため,抵当権の順位を譲渡しているので…
● B (三番抵当権者)→ 配当金0円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (一番抵当権者)→ 配当金3,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
どういうことかというと,BとDの本来の配当金を合計(つまり… 3,000万円)し,その中から,抵当権の順位を譲り受けたDが先ず目一杯の弁済を受け,残った金額を,BがDの後順位抵当権者として弁済を受ける形となる。
(このように… Cに何らの影響も及ぼさないところが,宅建受験生にはお馴染みの“順位の変更”とは異なる!)
《50日でうかる宅建士:上巻102ページ参照》
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したがって,本肢も肢(1)と同様,Bの受ける配当は「800万円」ではなく“0円”となるわけだ。
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よって,本肢は誤り。
《50日でうかる宅建士:未掲載》
(3)正しい
“抵当権の放棄”とは,抵当権者が“無担保の債権者”に対して,自己の有する抵当権を放棄することをいう。
(なお… 放棄の相手方は,同一の債務者に対する債権者に限定される!)
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この放棄がない場合,甲土地の競売に基づく売却代金5,400万円なので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金2,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
ところが,本肢では,BがEの利益のため,抵当権を放棄しているので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金1,000万円
↓
本肢のような抵当権の放棄があると,Bは,CとDに対しては優先権をもつが,放棄したEに対しては優先権をもたなくなる。
↓
そこで,Bの配当金(2,000万円)を,BとEの債権金額でそれぞれ“按分”することになる。
(BとEとの間では,“債権者平等の原則”によって,配分が行われることになるからだ!)
↓
BもEも,債権金額は“2,000万円で同じ”であるため,その比率は“1:1”となり,各自の配当は,“2,000万円の2分の1”の金額となる。
(つまり… BもEも,配当は“1,000万円”)
↓
よって,本肢は正しい。
《50日でうかる宅建士:未掲載》
(4)正しい
“抵当権の順位の放棄”とは,先順位の抵当権者が“後順位の抵当権者”に対して,自己の有する抵当権の順位を放棄することをいう。
↓
この順位の放棄がない場合,甲土地の競売に基づく売却代金5,400万円なので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金2,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
ところが,本肢では,BがDの利益のため,抵当権の順位を放棄しているので…
● B (一番抵当権者)→ 配当金1,000万円
● C (二番抵当権者)→ 配当金2,400万円
● D (三番抵当権者)→ 配当金2,000万円
● E (無担保債権者)→ 配当金0円
↓
本肢のような抵当権の順位の放棄があっても,Bは,Cに対しては優先権をもつが,放棄したDに対しては優先権をもたなくなる。
↓
そこで,BとDの本来の配当金を合計(つまり… 3,000万円)し,それを,BとDの債権金額で“按分”するわけだ。
(やはり… Cに何らの影響も及ぼさないところが,肢(2)と同様,“順位の変更”とは異なる!)
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Bの債権金額は“2,000万円”で,Dは“4,000万円”である。
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ということは,Bが“1”で,Dが“2”の比率(1:2)となるため,Bの配当は“1,000万円”で,Dは“2,000万円”となる。
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よって,本肢は正しい。
《50日でうかる宅建士:未掲載》
正解(2)
【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ
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