【オールドクルスペのエッセンス –1- 】 | たのしいホルン

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楽器のおたく話(Kruspe)や日常のことを綴っているブログです。
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初心者だけどホルンが吹いてみたい!・・・このブログを通してそういったこともお伝え出来ればと思っています。

ホルンという楽器作りの「エッセンス」

(「要」「肝」「核」とでも言いましょうか)

これこそが各々の工房(メーカー)の音色や吹き心地を

決めるものであると言えるのではないでしょうか。

 

私が長い間使用し、吹いてきたクルスペという工房の楽器は、

初代から現在まで約180年も続くドイツの老舗工房で作られ、古い代の楽器を「オールド」と呼んできました。

 

私の学生時代には、まだ先々代のルディ・シュナイダー氏が

ご存命でしたので、当時は、シュナイダー氏の作るクルスペを「ニュークルスペ」と呼び、戦前のものを「戦前のオールド」、戦後しばらくのものを「戦後のオールド」と呼んで

区別していました。この呼び方は日本だけのものかと思います。

 

シュナイダー氏が工房主になったのが戦後(1956年頃)

でしたので、当時、シュナイダー氏の作は、

その1956年以降だと思われてきました。

そのため シュナイダー=ニュークルスペ、

と思われてきたのです。

ところが、シュナイダー氏は1936年から

すでに工房で働き始めていて、戦前の楽器も、

かなりの数、シュナイダー氏が作っていたようです。

 

シュナイダー氏の後、クルスペ工房を継いだヘルドマン氏も

ホルン、トロンボーンの製作を引き継ぎました。

 

こうして年月を経て、現在では、そのシュナイダー氏の作も「オールド」と呼ばれるようになってきました。

シュナイダー氏の最後の頃の作が、

1979年頃と思われますので、その時新品だった楽器は

すでに40年も経ってしまった訳です。

 

実は私がクルスペを最初に入手したのが、このシュナイダー氏の作で、おそらく最晩年の作です。

 

オーバーホールされて、きれいに見えますが、

40歳を越えています。これだけ歳を取れば、さすがに

オールドと言っても間違いではないでしょう。

んな古い楽器を普通使ってはいませんよね?

 

さて、この楽器が作られた当時は、東ドイツの時代でしたので、彫ってあるのが、「Made in GDR」つまり、

ドイツ民主共和国(東ドイツ)

英語表記のGerman Democratic Republicの略ですね。

 

当時聞いた話ですが、国外向けに作られた楽器に、

この表記をした、と言われています。

Made in East Gemany」とか「Germany East」とか

German Democratic Republic

長々とフル表記の場合もあります。

  

国内向けには、単に「Made in Germany」だけの場合があり、多くは「Made in」そのものが彫られていません。

東ドイツのドイツ語表記は

Deutsche Demokratische Republik」で、

我々が学生時代、東ドイツを「DDR」と言っていたものですが、楽器に彫られることはありませんでした。

国内向けの楽器にドイツ語でそう表記する意味がなかったのか、当時の世相なのかは分かりません。