私がバナーを振る理由 ~ さいたまワールドあれこれ | ほりきりのブログ

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 もう5月だ。ゴールデンウイークも終わった。時代は令和になった。なんだけど、まださいたまの話してもいいかなあ?
 ワールドのあと羽生さんのブログがあったり、国別があったり、仙台に帰ってきたり、いろいろ記事が出たりしてあっちこっちいってたのでほったらかしていたが、まだ書ききれてないことがたくさんあるの。別に心をさいたまに置き去りにしたまんななわけではない。仙台の超かわいい羽生さんのおかげで戻ってきた。でもまだまだあるんだ。

 今回は応援の仕方、主にバナーについて。

 たまアリの声援ではやっていたのが「ダバイ」である。ロシア、およびロシア系の選手が出てくるとやたらあちこちから声が飛ぶ。今までこんなことなかったぞ。なんか流行ってるのか?娘はユーリオンアイスのせいじゃないかって言ってた。そういや相方はロシア人。その辺は定かではないけど、ようは何かのきっかけでせっかく覚えたロシア語を使ってみたかったのだとしか思えないほどの量だった。
 なんでそんなにロシア人応援してんだよ。ボーヤンには「加油」って言ってる?(道民は陽さんのおかげで加油を覚えた)日本人なら「がんば」だろ、ってんで日本代表が出てきたときには声を張りあげていた。
 もちろん羽生のときにも、名前を呼んで叫ぶぞ「ゆづるさーん、がんばー!」
 応援をするのに、拍手と歓声は基本である。どの選手にも分け隔てない声援と拍手を。そして贔屓の選手にはギアをあげて、より一層の力強い応援を。

 耳に訴える応援をがんばる一方で、目に訴える応援もしたいと思った。それが応援バナーである。

 このバナーって欧米の応援文化ですかね?北米は本人の写真を大きく使ったバナーとか、ヨーロッパはおしゃれで芸術的なバナーとかいろいろある。日本のはもう少し慎ましい感じがするな。イラストを印刷したものとか、手作りのものとか。お国柄も個性もでておもしろい。(お揃いのタオルってのもあるけどね)
 これ野球ではボードになるの。バナーみたいな旗状の布じゃなくて、スケッチブックとか、ポスターみたいのをパネルに貼るとか本当に板。名前やメッセージを書いて掲げるのは同じだ。サッカーはわからないや。アイドルのコンサートになるとうちわになるんでしょう。同じように応援の気持ちを視覚に訴えるのにいろんな形式があるものだなあ。

 私は今まで自分でバナーを持って応援したことはない。そこでバナー作ってみたいと娘に相談したらびっくりされた。そういうキャラとは思われてなかったのかな(SPのときがんばって叫んだら驚いてたし)
 過去私がぼっちで観戦に行くと、周りの人が国旗を次々にくりだしていることがままある。中にはむやみに大きいのもあって、隣で縮こまって出していると、私の方から「こっち持つからガバッといきましょ」と声かけて端っこ持たせてもらった。中には羽生バナーもあった。ずっとうらやましいと思っていたんだよ。まあやたらめったらライバルの分まで国旗掲げる趣味はないけど(おかげでいろんな国の旗覚えたわ。ラトビア国旗知ってる日本人なんてスケートファンだけだよね)
 それで今回、世界選手権。こんな大きな大会を見られることは私きっと最後だろうと思って、ここだと思ったんだ。娘は理解して協力してくれた。

 材料を選んで買い集めて、広告デザインの仕事をしている娘が文字のフォントをだして拡大コピーしてくれて、フェルトで文字くり抜いて張り付けて、スパンのモールと一緒に縫い付ける。普段縫物をしない私もがんばった。

 ベースの布は水色の斑入り。明るい水色と濃い藍色の色違いがあったけど、明るい方が映えそうだったので水色にした。実はこの布のふの中に目立たないように星型の地模様がはいっていて、色にさらに深みを増している。今回はプログラムが違うけど、なんか星だと晴明さまが守ってくれるような気がする。一目見てこの布だと思った。
 名前は黒のフェルト。漢字表記とローマ字表記どっちにする?となったけど、羽生結弦、という字面が美しいと常々思っているので、ちょっと複雑で大変そうだけど漢字にしよう。
 大きさは座席の幅と決まっているそうなので2人で持つように2枚作る。並ぶと「羽生」と「結弦」でフルネームになるのだ。
 金色のスパンコールを糸でつなげたモールを見つけたので、これを名前のフェルトにからめながら縫い付けると、ボンドで貼った上を補強できた。
 百均で造花の桜のフレークがあったので、デザイナーの娘のセンスで散りばめて張り付ける。
 2人で手分けしてなんとか完成させた。

 ここまで色の説明をすればおわかりだろうが、今シーズンのプログラム全部もりだ。
 水色の布ーーオトナル
 黒のフェルトに金モールの名前ーーオリジン
 桜の装飾ーー春よ、来い
 ばっちりだ。ていうか桜を付けちゃった時点でさいたまワールド限定じゃん。それはそれで、一期一会ということで。スペシャル感があっていいかな。

 国旗は自分で作るもんじゃないよね。あんなにたくさん、みんなどこで買ってるの?女子の応援で使えるかなとは思ったけど、日の丸はまあいいや。羽生の応援をすることが大事。

 そして、バナーを作ろうと思ったのにはもう一つ理由もある。オリンピックシーズンから、いろいろと動きが変だったのは羽生ファンはみんな気にしているだろう。名古屋のファイナル、調布の全日本、次々に壁面の掲出バナーが禁止されたのだ。
 会場の構造上の都合… 5年前のさいたまでは張ってたよ。私の座ったスタンドの下のとこギャラクシーな幕はってるとこに張れたでしょ。海外の試合で盛んにおこなわれているフィギュアの文化をせっかく日本でも取り入れたはずなのに、シーズンで一番大きな国際試合なのにそれができない。寂しいなあ。
 ついでにいうと全日本、あれは部活レベルの選手たちの一大目標で、学校やクラブごとにたくさんのバナーがでてくる。仲間や身内が用意してくれたバナーに見守られながら演技するのは楽しみだったろうに。それをなくしてしまうのは悲しいなあと思った。

 なんでこんな変なことをするのか、理由はわかってるんだよ。そんなことしたって無駄なのに。何を隠そうとしてももうどうにもならない規模なのに。
 でもそういうことをされると、こっちも対応するじゃない。張るのがダメなら持つしかないよね。みんなそう思ったと思う。だから私もその中に加わって一緒に精一杯応援したかった。
 タオルという便利なものを使っている人もいる。それ自体は別にいいと思う。サッカーとかは揃いのタオルだすよね。でもあれって2チームの対戦で応援席がはっきり分かれているからな。フィギュアとはだいぶ試合形式が違うから、あまりなじむものではないという感覚だ。
 私もコンティニューのタオルをパレードの時に持って行った。(あの時は日の丸も持ってカメラも構えてるのにこれ以上何も持てずTシャツの襟に折り込んで胸の上に広げるという荒業をしていた。そしたらTシャツが見えないよ~)でも揃いのタオルというのに、ちょっとだけ(いやだいぶ?)抵抗があったので、旗状のオリジナルのバナーを用意しようと思った。ほら調布の全日本でのオリンピック代表発表のとき、本人がいないのに一斉に羽生バナーがあがったじゃないか。あれにすごく感動したので、自分の気持ちを込めたバナーを振りたいなと思ったのだ。

 壁にはギャラクシーの幕しかないけど、スタンドを埋め尽くす日の丸とバナー。デザインを凝らして印刷したものも、手間暇かけて手作りしたものも、コンティニューのタオルも、日の丸も、いろんなものがあった。スタンドいっぱいを彩っていた。この多様性がいいと思う。
 他の選手も応援する。ライバル、ネイサンにだって拍手もスタオベもする。でも羽生は特別に一生懸命。日本中、世界中からやってきた羽生ファンたちが、それぞれのスタンスで、祈りを込めて応援している。
 私と娘も羽生バナーと結弦バナーを持って、6練の選手紹介のときと演技前にコールされたときに思いきり振った。そしてオリジンのフィニッシュを待ちきれないように飛び上がって、謎の奇声を上げながら泣きながら跳ねるようにバナーを振った。
 あの日の羽生は神々しくもすばらしかった。そしてさいたまに集った羽生ファンをも私は誇りに思っている。

 バナーや声援は応援している自分を主張するものではない。広いリンクにたった一人で戦う選手に応援を届けるためだ。みんなついてる、一緒に戦ってる、がんばれって気持ちを、目から耳から直接感じてもらえるために届けるんだ。会場にいるものは、そこに来られずにテレビで見ているものたちの代表である。みんなの想いを全部ひっくるめて届けて、力の源にしてもらうのだ。
 羽生はまだ現役を続けてくれる。まだ引き続きこうして応援することができる。もうそれだけでありがたい。これからもまた、現地であってもテレビやパソコンの前でも、誇りを持って応援していきたいと思っている。