「人は見たいところの1部分しか見てないんでしたよね?」

 

 

 

そうだね。

 

 

 

「ということはですよ、ほとんどの事は見えてないって言うことになりますよね?」

 

 

 

ほとんどのことどころか

 

すべてが見えてないね。

 

 

 

「全部ですか?」

 

 

 

何か見てることがある?

 

 

 

「こうやって師匠のことも見えてますよ?」

 

 

 

じゃぁさぁ例え話をするけど、

 

月を見たらウサギがいる?

 

 

 

「月の中にはウサギがいますよね」

 

 

 

他の国ではカニとか他のものに

 

見立ててるってことは知ってる?

 

 

 

「聞いたことありますね」

 

 

 

じゃぁウサギの話に戻します。

 

満月を見てほんとにウサギが見えますか?

 

 

 

「ほんとのウサギじゃないけど、ウサギの模様に見えますよね」

 

 

 

じゃあ模様が見えるということ?

 

 

 

「模様は見えていますよ?」

 

 

 

どんな模様?

 

 

 

「うさぎの模様ですけど?」

 

 

 

うさぎってどんな模様?

 

 

 

「ウサギはうさぎですけど、ウサギのように見える模様ってことですよ」

 

 

 

じゃあウサギだと思っていたものは、

 

あなたの頭の中で想像したものってこと?

 

 

 

「そうですよ」

 

 

 

じゃぁ話を少し戻すけど、

 

満月は見えていた?

 

 

 

「見えていましたよ?」

 

 

 

満月の何が見えた?

 

 

 

「満月は満月ですよ。 丸いお月さまですよ」

 

 

 

おかしなこと言うね。

 

今見たのは、あなたの頭の中の満月だよね?

 

 

 

「昼間なんですから、当たり前じゃないですか」

 

 

 

当たり前なのに、満月が見えたんだ?

 

 

 

「何が言いたいんですか?」

 

 

 

すべてはあなたの頭の中で

 

勝手に作り出したものだよ?

 

 

 

「全てじゃないでしょ?」

 

 

 

じゃあ、そうじゃないものは何がある?

 

 

 

「だから目の前にいる師匠は見えてますよ?」

 

 

 

どんなものが? 

 

イケメンで色白なカッコいい男性?

 

 

 

「そんなことないですよ。 見た通りだって言ってるんですよ」

 

 

 

だから見た通りってどんなことさ。

 

 

 

「良い年の人で、どこにでもいそうだけど、ちょっと変わった感じの人ってことですよ」

 

 

 

おかしなこと、いくらでも出てくるねぇ。笑

 

良い年ってどういう年?

 

どこにでもいそうって

 

そんなにたくさん同じものがいる?

 

そもそも、

 

他の人と変わりのない人って

 

世の中にいる?

 

 

 

「そういう意味じゃなくて、私にはそんなふうに見えるってことですよ」

 

 

 

そうでしょうね。

 

それってあなたの頭の中で作り上げた

 

イメージってことだよね。

 

 

 

「実際目に見えてるのに、これも私の中のイメージなんですか?」

 

 

 

そりゃそうでしょう。

 

うちで飼ってる金魚なんか

 

俺のこと神様だと思ってるぞ?

 

 

 

「どうしてですか?」

 

 

 

餌をあげようかなと思って、

 

水槽に近づいた途端に近寄ってきて

 

パクパクお願いしてくるからさ。

 

 

 

「それがどうして神様なんですか?」

 

 

 

今の話がおかしなことだってわかるんだ?

 

こういうことはおかしいってわかるのに、

 

自分の事はおかしいってわかんないんだな?

 

おかしな人。笑

 

 

 

「…??」