「世の中には正しいこと間違っていることってあるじゃないですか。 でも人によって微妙に価値観が違ったりするから、なかなかうまくいかないですよね?」

 

 

 

どういうこと?

 

 

 

「正しいことに反対する人とか、間違ったことなのに、やってしまう人とかがいるってことですよ」

 

 

 

そういうものだろうね。

 

 

 

「みんなが正しいことをやって、間違うことがなければ平和なんでしょうけどね」

 

 

 

そういうものは存在しないよね?

 

 

 

「存在しないけど、みんな求めてるんじゃないですか?」

 

 

 

正しいこととか

 

間違ったことっていうものは

 

存在しないってこと。

 

 

 

「どういうことですか? 正しいことも間違ったこともありますよ?」

 

 

 

その人にとっての

 

正しいこととか正義っていうのは

 

その人にとってだけの

 

価値や意味しか持たないの。

 

同じように、

 

間違ったことや不正も

 

その人にとってだけの意味しか持たないの。

 

 

 

「何を言いたいのか全然わかりませんけど?」

 

 

 

あなたが正義だと信じているものは

 

後から植え付けられた価値観なの。

 

例えば今戦争している国があるでしょ?

 

それぞれは自分が正しい

 

って思っているからやってるわけ。

 

日本は政治的には

 

西側諸国に属するから

 

西側諸国の価値観で動いているの。

 

同じように宗教的なものとか

 

文化的な価値観の違いで

 

それぞれの正しささは

 

異なってくるものなの。

 

 

 

「…なるほどですね。でも個人的にはルールを守るべきだし、人に迷惑をかけたらダメでしょ?」

 

 

 

それはあなたが人間だし、

 

日本に住んでいるからさ。

 

それぞれの属性で、

 

価値観や考え方は強く影響されるものなの。

 

 

 

「正しいことが良いっていうのは間違いだっていうことですか?」

 

 

 

それは集団の規範に合わせるべきとか

 

沿っているべきって言う

 

価値観が前提にあっての考え方でしょ?

 

 

 

「じゃぁ正しいことって存在しないことになってしまいませんか?」

 

 

 

そういう事はないよ。

 

構成する集団の6割から8割が

 

正しいと思ってたら、

 

それがその集団の正義さ。

 

個人の場合でも

 

同じ割合で正しいと思うことがあったら、

 

それが個人の正義なの。

 

 

 

「6割から8割ってどこから出てくる数字ですか?」

 

 

 

人が物事を理解するために

 

利用している正規分布の

 

一般の人にもわかる考え方。

 

 

 

「それが正しいってことですね?」

 

 

 

正規分布だからといって

 

正しくはないよ。

 

1つの考え方とか捉え方として

 

こういう捉え方や表現ができますよ

 

って言うだけのものなの。

 

 

 

「正規分布とかも正しくないということですか?」

 

 

 

そういうわけじゃなくって、

 

物事全てや全体の

 

真実を表してはいないってこと。

 

統計や確率手法の限界なんだよ。

 

 

 

「…なんだか意味がわかりませんけど」

 

 

 

意味はわからなくても

 

感覚的にはわかるでしょ?

 

 

 

「そんなものなのかなぁ…」

 

 

 

それで、どうして正しいこととか

 

間違ってることについて話をしたかったの?

 

 

 

「世の中の人、みんなが正しいことを求めたら平和になるんじゃないかなって考えたんですよ」

 

 

 

それで?

 

 

 

「でも、正しいこととか正義がすべての人に共通することじゃないっていうことがわかってきたから…」

 

 

 

人はそういう感覚や考え方を

 

持つ仕組みがあるっていうところじゃ

 

共通してるんだけどね。

 

 

 

「…そういうことですよね」