「僕って弱い人間なんですよね」

 

 

 

そう?

 

 

 

「昨日も、職場の先輩に誘われて飲みに行ったんですよ。 本当は断りたかったんですけど断れなかったんですよね」

 

 

 

ふ~ん。

 

 

 

「夜中近くまで飲んでたんです」

 

 

 

楽しくなかったの?

 

 

 

「楽しかったんだけど、やっぱきついから本当は断りたかったんですよね」

 

 

それで、どこが弱い人間なの?

 

 

 

「意思が弱いっていうか」

 

 

 

なるほど。

 

弱いのは意思っていうか

 

決断するところだけ?

 

 

 

「まぁ、そうですね」

 

 

 

全体としては強いよね。

 

 

 

「どこがですか?」

 

 

 

嫌な状態にさらされても

 

相手に愚痴をこぼさないとか、

 

自分の弱さをこうやって

 

さらけ出せるとか。

 

 

 

「弱いからですよね?」

 

 

 

弱いって事は強いってことさ。

 

 

 

「弱いは弱いでしょう?」

 

 

 

そう言ってのけられる強さがあるの。

 

人の本当の強さって、

 

良いことにも悪いことにも

 

流されずにただそこにあること。

 

揺らがない芯のある存在ってことなの。

 

 

 

「僕の場合は、揺らいでばっかりで芯もないすよね…」

 

 

 

それは外側の出来事に対してでしょ?

 

自分自身の内側に向けては

 

揺らいでないじゃん。

 

 

 

「どんなふうにですか?」

 

 

 

僕は弱い人間だ、

 

困ったときには人に話そうって。

 

 

 

「そんなのは強いってことになるんですか?」

 

 

 

弱い人はそれができずに

 

考えや決断を

 

ああでもないこうでもないって

 

ころころ変えたり

 

決断できないままなんです。

 

そうやっていつまでも弱いままなの。

 

君の場合は、こうやって

 

少しずつ強くなっていくでしょ?

 

何よりも、弱いままでいたくない

 

自分に安心したいって言う

 

強い意志があるじゃんね。