「昨日ネットでミーティングがあったんですけど、初対面の人から先輩のことを知ってるって言われたんですよ。先輩って有名なんですね」




有名じゃないだろうけど?


その人が俺のことを知ってただけでしょ?




「すごい人なんだって言ってましたよ。こういう先輩の話って別な所でも聞いたことあるんですよね」

「先輩、人から褒められて嬉しいでしょ。笑」




褒められて怒る奴はいないだろうけど、


多分君が思うほど嬉しくはないぞ。笑




「もっと素直になりましょうよ。普通、褒められたら嬉しいもんでしょ?」




俺のことを普通だと思ってんだ。笑




「良い意味で、変わってる人だなとは思いますよ」




まぁその話はいいや。


有名な人を知っているとか、


偉い人と知り合いだとか、


すごい人と同じグループだったとか、


そういうのって


自己顕示みたいなものだよね。笑




「相手の彼は、そういう意味で言ったわけじゃないと思いますよ?」




そう言う意味で言ったわけじゃないだろうけど、


背景にある仕組みはおんなじなの。




「心理的っていうか、いつものエゴって奴ですか?」




そうだね。


みんなが知ってる有名な人とか、


あなたが好意を持ってる人のこと


私も知っているんですよっていうスタンスだ。


そういうのって、


軽いものは会話の潤滑油になったり


お互いの距離感を縮める働きがあるよね。



ところが自分を誇示するためとか


不安から言ってるんだったら、


そう言う話の相手になるのは御免被りたいよね。笑




「なるほど、そぅすね」

「今になって考えてみると、あの人も何だか自慢したい感じでした」




まぁそういうことですよ。




「先輩が偉いとか凄い人だってわけじゃないんですね」




そんなことまでは誰も言ってないけど?笑笑




庭にぺんぺん草が咲いてた。




「なんでぺんぺん草っていうんですかねえ?」




三味とかビワのバチとかに


似てたりすっからじゃない?


ビェンビェン♪って。




「シャミ?」




三味線のこと。




「あ〜ぁ。なんとなくわかりますね」




春の七草。




「ぺんぺん草がですか?」




ぺんぺん草はなずなとか三味線草って言われるの。


こんなこと知ってても、


君の知識とリンクしないから


別段賢くなったり偉くなった気にはならないだろ?


でもさぁ春の七草ぐらいは聞いたことあるだろ?


せりなずなごぎょうハコベラホトケノザ


すずなすずしろ。




「あー。あのナズナなんですね?」




そういうことです。


と言うことで、


君もぺんぺん草のことを知ったから、


今度から他人に自己顕示しなさい。笑笑