ケントは8ヶ月くらいでも10キロ近くあった。
平均よりかなり多め。
身長もあったせいか太っては見えなかったが‥
下痢もすっかり治り、お誕生前検診に行った。
いつも、お世話になっている先生に診て頂きたかったが、先生はお身体がご不自由なので、予防注射や検診はしておられなかった。
仕方なく、近所の小児科へ行った。
女性のドクターだった。
ケントの以前の体重と今の体重がほとんど変わらないのを見て、その理由を尋ねた。
わたしは、3ヶ月間ずっと下痢が続いて、体重が増えなかったのだと思うと答えた。
するとその女医は、笑いながら言った。
「それは丁度良かったわね。
下痢をしたおかげで、標準体重に収まっているわよ」
まだ1歳にもなっていない赤ん坊が3ヶ月も下痢をしていたと聞いて「丁度良かった」と笑った女医。
想像力というものがないのだろうか？
ここには二度とこないと決めた。
ケントは喘息もあったが、いつも行く小児科の先生は、発作が起きたら、夜中でも連れてきなさいとおっしゃった。
「苦しいのは辛いだろうから」と‥
夜中に連れて行くことはなかったが、そう言って頂いて、安心したのを覚えている。
大阪に引っ越すまで、この先生にはお世話になった。
その10年後、私たちは再び東京都町田市に戻ってきた。
ケントは小学校4年生になっていた。
大きくなったケントを見て、先生は喜んでくださるだろうと思っていた。
先生にお会いするのが楽しみだった。
しかし、その願いは叶えられなかった。
続く
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