竹富島は遠浅なので泳げないと分かっていた。
なので、その後行く湯河原のホテルはプールつきにしたていた。
昼間は母とゆっくり温泉に入り、
母はプールには行かないので、夜,一人でプールに行った。
もちろん,母には話していた。
月を観ながら,ひぐらしの声を聞いてのんびり平泳ぎ。
その後、隣りの露天風呂に入り、すごく楽しかった。
母が待っているので2時間足らずで帰ってきた。
母はテレビを観ていたが、開口一番。
「すごく心配していた。
ちっとも帰ってこないから‥」
聞き流せばいいのだが、聞き流せなかった。
楽しかった気持ちがその一言で吹っ飛んだ。
「心配するの,やめて」
「お母さんが心配してるんだから,お母さんの勝手でしょ」
開き直ったと思ったが,すかさず言った。
「心の中で心配するのはどうぞ、
だけどそれを口に出すのはやめてください」
母は、それには何も言わず「おやすみなさい」と言って布団に入った。
以前もこれに近いやり取りをしている。
「心配」は、母の趣味みたいなものだ。
何度言ってもやめられない。
わたしが,すごく楽しく過ごしている間,母は、心配で暗い気持ちで過ごしていた。
そう思うと,やたら腹が立つ。
普通は,すまない気持ちになるんだろうけど‥
心配してくれる人がいるのはありがたいことなんだろうが、わたしは不快になった。
それが正直な気持ちだった。
認知症だから,一人でいるだけで不安になるのだろう。
分かっていても、嫌なものは嫌。
まぁ 母の前ではわたしは子どもになる。
子どもの気持ちで答える。
ところで、
以前,講演で金沢に行ったとき,兼六園の隣りを通り、いつか行ってみたいと思っていたら、兼六園の動画が送られてきた。
そして、こんな文章が添えられていた。
「‥‥ 正直、真夏の兼六園は暑いだけという印象が強かったのですが、あえて水の流れをテーマに撮影しましたら、今までで一番いい絵が撮れたように思います。エデンの園のような印象がありました。
固定概念を捨てて、新たな見方をすると、全く新しい世界が見えてくるということを今回学びました。撮影という意味ではもっともこだわって撮影を致しました。
ご覧頂けましたら幸いです。」
なんだか、心がシーンとしたd( ̄  ̄)