その池ができてから,わたしは突然ちゃんと歩けなくなった。
びっこを引くようになったのだ。
色々お医者に診せたが,原因も分からないし治らない。
見かねた母方のおばあちゃん、千代ばあちゃんがわたしを拝み屋さんに連れて行った。
拝み屋さんは言った。
「庭の池を埋めなさい。
そうすれば歩けるようになる」
さっそく,庭の池は埋められた。
すると、なんと、
わたしは,以前のように歩けるようになった。
「拝み屋さんって何?」ってことだが、昔はどうにもならないと,拝み屋さんなるものに行ったようで、母も結核を患ったとき,拝み屋さんに行ったと言っていた。
イメージとしては,シャーマンとか,沖縄のユタみたいな感じだろうか?
少なくとも,わたしは元のように歩けるようになったし、母も結核は治り,元気になった。
もちろん,母の場合は薬や療養のおかげなのだが,人は目に見えない力に頼ることがあり、その当時は今よりもっと当たり前にそういう人たちの助けを借りていたように思う。
ところで、
わたしは周りからはおバカな子と思われていても,家では母が言うには「良い子」だったらしい。
つまり,あまり手のかからない子だった。
わたしは毎日、機嫌良くおままごとをしながらひとりごとを言っていた。
家ではしゃべっていたと母は言っていたが、どうやらひとりごとだったようで、母の質問には答えたらしいが,母ともあまりしゃべらなかったようだ。
そして、
「手のかからない良い子」と母は言っていたが、たまにとんでもなく,がんこと言うか,わたしの気の強さを表すようなできごとが起こった。
続く‥