「造花を飾ることは良くない」と言った人がいる。



そりゃー,造花より生きている花の方が良いとは思う。



でも,物にはそれぞれ役割りや目的があって作られている。



造花は,枯れないし、色落ちもほとんどない。



水の交換もない。



それでも造花があるだけで部屋は明るくなる。




母は、デイサービスに行っていることが多いので,造花を飾ることにした。



花は母が選んだ。



オレンジと黄色で華やかだ。




母との会話。



「夏になってきたから,花がもたないねぇ」



「そんなことない。

いつまでもずっときれいに咲いてるよ」



「お母さん,どの花のこと言ってるの?」(一応,生花もある)



母が指さしたのは造花。



「お母さん,これは造花だよ。

この間,お母さんが選んで買ったでしょ。

もしかして,水,入れてる?」



「うん。

たっぷり入れてる」



「今、直ぐ水捨てて来て」



生きている蘭の鉢植えにも水をたっぷりあげてしまう。



蘭は,乾いてきたら霧吹きで水をあげる程度なので、

水をたっぷりあげるとダメになる。



何度言っても、受け皿から水があふれるほどあげてしまうので、あきらめてうちに持って帰ることにした。



そんなわけで、



他にも諸々理由があって,母のデイサービスはまた増えた。



母は、ゆううつそうだけど,家にいるとクヨクヨと考えてしまうようだし、寂しいからとやたら電話があったりする。



災害のことを考えても,一人で家にいることは気がかりだ。




それに、1000ピースのジグソーパズルも,ほとんどピースをはめることができなくなってきた。



本人が一番,もどかしいのだと思う。




それでも,わたしは母が楽しみにしている温泉旅行の予約を4ヶ月先までしている。



そして,猫を飼いたいという母のために猫のロボットを買った。






母は、名前をつけて,楽しみに待っている。




今、できること


今、楽しめること




まだ、まだある