母と話していて,びっくりなことを聴いた。



「お父さん若いときに,特攻隊になりたくて志願したの。でも若いからたくさんの人が志願して,試験を受けて,たった2人しか合格しなくて,その1人がお父さんだった。すごく嬉しくて,戦争に行く前日にはお祝いしてもらって特攻隊になるのをそれはそれは楽しみにしていたんだって、

ところが,翌日に終戦になって,お父さんは特攻隊になれなくて,すごく残念だったって言っていた。

どうして,死にたかったのか不思議ね」



「確かに,戦争に行くことになっていたけど,寸前で終戦になって行けなかったって言ってたけど、出征する日に終戦だったんだね」



ちょっと,終戦が遅くなったら,父はこの世にいなかった。



そしたら,母と出会うこともなかったし,当然弟もわたしも生まれていない。



父の意に反して,戦争に行けず,父は91歳まで生きた。



そして,わたしはこの世に生まれ出ることができた。



生まれて、



育ててもらって、



やっぱり,感謝だなぁ。




さっき,以前父がお世話になった施設に父のことを電話で伝えた。



せん妄でぐちゃぐちゃだった父と、格闘しながらも,たくさん笑って,大切にしてもらっていた。



「お父さんに,たくさん教えられ学びました。

いつも,ありがとうと言ってくださっていました。

そして、奥様を大切にされていましたねぇ。

お父さんにも娘さんにも出会えて本当に良かったです‥」



そして、思い出話をしてくださって、「あの,良い香りのクリームもずっとぬらせて頂いていました」とおっしゃった。



クリームにフランキンセンスとラベンダーをたっぷり入れたものをお渡ししていたが,どの施設,どの病院でもほんとにしっかりぬってくださっていたので,クリームはどんどん減っていた。



施設を出るたび,退院するたびにたくさん減っているクリームを見て,わたしはいつも泣きそうになった。



心を込めて看護師さんや施設の方は毎日ぬってくださっていた。



きっと,看護師さんたちもフランキンセンスと,ラベンダーに癒されていたと思う。



色んな方の手に触れていた父。



きっと,すごく幸せだったと思う。




父は,特攻隊になりたかったけど,もっと生きて,役割りを果たす必要があった。



そして、91歳で任務は終了したのだろう。




お父さん、お疲れさまでした(o^^o)