昨日、父の面会に行ってきた。
母は、「お父さんに会える」と楽しみにしていた。
残念ながらやって来た父は車椅子でうとうと眠っていた。
昨晩、あまり眠れなかったらしい。
「お母さんだよ」と言っても目をなかなか開けない。
少し、目を開けても直ぐに目を閉じてしまう。
持っていたエッセンシャルオイルを自分の手につけてから、それを父の手や頬のあたりにつけたら目をパチっと開けたのでびっくりした。
父の話したことをメモした。
「楽しい。
何もかもが楽しい。
嫌味のない優しさ。
若干の甘味がかかったパンがほしい。
少し塩味がきいたもの。
あんパン、良いねぇ(めちゃくちゃ微笑む)
夕べ同じ夢を3回見た。
あまり言いたくない夢。
なんであんな夢を見るんだろうなぁ。
うっすらと雲がかかった怖い夢。
自分でも気持ち悪い夢。
かわいい鳴き声で良いねぇ(ハチのこと)
犬を抱いて寝たいね(声を上げて笑ってた)
ほら、きれいなお姉ちゃんのところに行きなさい(そう言ってわたしにハチを差し出す。どうやらわたしのことが娘だと分かっていない、そして、あまりよく見えていない笑)
あー 気持ち良い、気持ち良い‥
夕べふかふかした犬がいた。
あーゆー犬を抱いて寝たいね。
お母さんがいるから眠いなぁ。
気持ちが良いなぁ。
ほんとに気持ちが良い‥」
まるで仏さまのような穏やかな顔で、あんな父を今まで見たことがない。
このところそんなふうに安定していることが多いらしい。
苗字で呼ばれると嫌がるらしく、職員さんからは「お父さん、お父さん」と慕われているとのことだった。
最初の頃は、せん妄でさんざんご迷惑をおかけしたようだが、段々に治まって来たら、職員さんとの会話を楽しみ、ニコニコして、まるで子どものように「おはようございます!!」「ありがとうございます!!」とハキハキとあいさつをするらしい。
父と会話していて、「慕われています」ということが、理解できた。
穏やかで、ふわっとしていて、なんだか楽しい。
これは、きっと本来の父なのだ。
邪気がすっかり取れている。
これが本当のお父さんだったのだ‥
つづく