International news of last week(先週の国際ニュース5月6日号)

 

↓メルマガ「国際ニュース・カウントダウン 4月29日-5月5日 by INCD-club」

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米大統領選まで半年、世界は「もしトラ」対応(5日)☆

・11月5日の米大統領選まであと半年になった。

・世論調査では民主党のバイデン大統領、共和党のトランプ前大統領が拮抗する。

・経済、移民規制、ウクライナ戦争、パレスチナ問題、中絶などが争点になる。

・バイデン氏はウクライナ支援や中絶の権利、トランプ氏は現政権の失政などを主張する。

・ミシガンなど7州の結果が選挙結果を左右する見通し。

・トランプ氏当選の場合は、ウクライナや地球温暖化など政策変更も予想される。

・世界は「もしトラ」をにらんで対応策の検討を進める。

イスラエルとハマス、新たな協議も難航(4日から)☆

・ガザ戦争を巡るイスラエルとハマスの新たな協議を始めたが難航している

・ハマス代表は一端カイロに入ったが、その後帰国した。エジプト、カタール、米が仲介する。

・イスラエルは新提案を提示。ハマスは回答を約束した。

・ただハマスが永続的停戦を求めるのに対しイスラエルはハマス壊滅を主張。溝は深い。

・ガザでは2月以降、南部ラファへの攻撃が焦点。同地には約150万人が避難する。

・2023年11月に一時的な休戦(+人質の一部解放)が実現して以来、協議は進まない。

・ガザ戦争は約7カ月を経過。ガザでは死者が約3.5万人に達し、人道危機は深刻だ。

・混乱が中東各地に飛び火する懸念も拡大する。

・国際的にはイスラエルへの批判も強まる。トルコは2日、イスラエルとの貿易を停止した。

米大学の抗議活動、警察による排除も拡大

・全米各地の大学で反イスラエル抗議活動が激化。警察による排除も拡大する。

・NY市警は4月30日、コロンビア大に突入しデモ参加者の一部を強制排除した。

・学生の動きをベトナム戦争時の抗議活動に重ねてとらえる見方もでている。

・11月の大統領選で特にバイデン大統領への影響が指摘される。

・一方活動激化の背後に中ロの働きかけがあるとの指摘もある。米世論分断を狙うという。

・コロンビア大当局は警察導入要請の理由として、学生以外の活動家の存在を挙げた。

中国国家主席が仏訪問、欧州との関係再構築目指す(5日)

・習近平主席が5年ぶりに欧州を訪問。フランス、セルビア、ハンガリーを訪れる。

・フランスではマクロン大統領のほかEUのフォンデアライエン欧州委員長とも会談する。

・3月にはオランダのルッテ首相、4月にはドイツのショルツ首相が中国訪問した。

・米中対立の激化もあり、中国・欧州関係は2010年代より冷え込む。

・中国は欧州との関係再構築を模索していると見られる。

◆FRB金利据置き、利下げ先送り示唆(1日)

・米FRBは政策金利の据置きを決めた。FF金利誘導目標は5.25-5.5%

・FRBは2023年7月に利上げをしたのち、9月から6会合連続で据置いた。

・声明は2%の物価目標に向けた進展がなかったとし、利下げ時期が遠のいたと示唆した。

・世界経済は2022年のウクライナ戦争を契機にインフレが加速。欧米などは利上げした。

・2023年に入りインフレが減速。欧米は利上げを休止した。利下げへの転換時期が焦点。

・世界経済は上振れ、下振れ両方のリスクを抱えながら動いている。

 

◎寸評:of the Week

 

【ガザ戦争7カ月】 

ガザでの戦争開始から間もなく7カ月を経過する。イスラエルによりガザは徹底的に破壊され、深刻な人道危機が続く。目下の焦点は南部ラファへの侵攻と、新たな協議の行方。2月以降は状況の変化が少ない印象だ。その間に、中東各地に混乱が飛び火し、世界各地では反イスラエルの動きが人がる。(→国際ニュースを切る)

【米大学での抗議活動】 

米国各地の大学でガザ問題の解決を求め、イスラエルを批

判する抗議活動が広がっている。活動は4月ごろから目立ち始め、一部では学内にテントを設置したり、建物を占拠する動きも起きた。大学が警察を導入する例も広がり、逮捕者も数千人規模に達した。(→国際ニュースを切る)

 

国際ニュースを切る

 

◆ガザ戦争:7カ月の現状と米国大学での抗議活動

ガザでの戦争開始から間もなく7カ月を経過する。イスラエルによりガザは徹底的に破壊され、深刻な人道危機が続く。目下の焦点は南部ラファへの侵攻と、新たな協議の行方。2月以降は状況の変化が少ない印象だ。その間に、中東各地に混乱が飛び火し、世界各地では反イスラエルの動きが広がる。

▼徹底的破壊、深刻な人道危機、交渉は進まず

ガザでの戦争は5月7日で勃発から7カ月になる。この間イスラエルはガザへのほぼ一方的な攻撃を続け、インフラなどは徹底的に破壊された。総人口約200万人のガザの死者は3.5万人近くに達した。食料や医療品の不足は深刻で、重大な人道危機が起きている。ハマスにとらえられた人質のうち100人以上は依然拘束されたままだ。

この間、2023年11月末に1週間の休戦が合意され、人質の一部が解放された。しかしその後の休戦交渉は進んでいない。

2月からは南部ラファの攻撃が焦点になっている。同地には100-150万人のパレスチナ人が避難しており、攻撃となれば多大な被害は不可避だ。国際社会はイスラエルの後ろ盾である米国も含め攻撃に反対するが、イスラエルは強硬姿勢を崩さない。

▼新たな協議も先行き見えず

こうした中、イスラエルとハマスの新たな協議が行われている。仲介役のエジプトやカタール、米国が調整に走る。ただ、イスラエルとハマスの主張の隔たりは大きく、着地は全く見えない。その間にも、ガザ地区での被害は拡大している。ハマス代表は4日カイロに入ったが、その後帰国した。

これまでの協議でも、ハマス側は人質解放の条件として永続的な停戦を求めている。

一方イスラエルは、一時的な休戦は認めるもののハマス壊滅の姿勢を変えていない。落としどころは見えない。

▼中東各地に飛び火

2月以来、ガザ紛争に大きな状況変化はないように見える。そうした中で紛争が中東各地に飛び火している。レバノンのイスラム勢力ヒズボラはイスラエルと度々戦火を交え、イエメンでは反政府組織のフーシ派がイスラエルと関係する船舶などへの攻撃を繰り返す。レバノンやシリア、イラクでは、イスラエルと米国、イランの支援を受ける武装組織が相互に攻撃を繰り返す。

4月にはイスラエルとイランが互いに直接攻撃を行った。これまでの代理戦争から、一歩進んだ格好だ。

国際世論は、当初のハマスのテロへの批判→イスラエルへの批判の動きが広がる。ブラジルや南アフリカなどグローバルサウスの代表格の国々はイスラエル批判を強め、トルコは2日イスラエルとの貿易の停止に踏み切った。欧米でも反イスラエルの声が大きくなっている。

▼米大学での反イスラエル抗議活動

そうした中で注目されるのが、米国各地の大学でガザ問題の解決を求め、イスラエルを批判する抗議活動が広がっている動きだ。

活動は4月ごろから目立ち始め、一部では学内にテントを設置したり、建物を占拠する動きも起きた。大学が警察を導入する例も広がり、逮捕者も数千人規模に達した。

抗議活動が行われているのはコロンビア大、イエール大、UCLAなど。全米数十の州に広がっている模様だ(ただし全体像をまとめた報道は少なく、幅広い動きは分かりにくい)。

コロンビア大では4月18日に警官が突入。100人余りを逮捕した。その後も抗議活動と逮捕が繰り返され、4月30日には約300人を逮捕。NYの警察はそのうち半数が大学生以外の人物だったと説明した。各地の大学では、親イスラエルの活動も広がり、反イスラエルの抗議活動と衝突する例も少なくない。

バイデン大統領は秩序を乱す抗議活動を批判する。こうした反応も含め、バイデン政権のパレスチナ政策に対し若者の批判が拡大している。

▼ベトナム戦争の記憶

今回の抗議活動を、ベトナム戦争の抗議活動と重ねる見方も出ている。ベトナム戦争時、コロンビア大学は反戦活動の中心地だった。警察による排除のシーンが、半世紀前のイメージと重なるのか。

学生の抗議活動が全米の注目ニュースとなる例は最近あまりない。ガザ戦争を巡る抗議活動は、大学のあり方を問う事はもちろん、米国社会の分断や断面を映す良い事例にもなっている。

 

今週の注目(5月6-12日&当面の注目)

 

・ロシアのプーチン大統領の5期目の就任式が7日に行われる。9日には対独戦勝記念日を迎える。ウクライナ戦争について、どんなメッセージを発するか。

・ウクライナ戦争の行方も引き続き要注意。

・ガザ戦争を巡り、イスラエルとハマスの交渉が継続中。どんな動きが出てくるか。

・中国の習近平国家主席がフランスを訪問中。続いてセルビア、ハンガリーを訪問する。

・インドの総選挙が全土で実施中。最終開票は6月4日から。