International news of last week(先週の国際ニュース4月22日号)

 

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イスラエルがイランに攻撃、中東の緊張拡大(19日)

・イスラエルはイランの中部イスファハン地区にドローン攻撃を実施した。

・イランが13日に行ったイスラエルへの攻撃への報復とみられる。

・米国は報復を控えるよう求めていたがイスラエルは実施。ただし規模は限定的だった。

・イスラエル、イラン双方とも紛争拡大を望まない姿勢を示すが、先行きは不透明だ。

・中東では昨年10月のガザ戦争勃発の後、レバノンやシリアなどに戦火が飛び火。

・4月にはイスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃→両国間の報復応酬となった。

・20日にはイラクでイランが支援する治安部隊への攻撃があった。不透明要因が増す。

・国際金融市場では中東紛争拡大の懸念が増加。安全資産への逃避が進んだ。

米下院がウクライナ支援案可決、支援実施にメド(20日)☆

・米下院はウクライナへの600億ドルの支援案を可決した。

・上院も近く可決し、バイデン大統領の署名を経て成立の見通しだ。

・支援の一部は融資の形をとる。条件などは大統領が設定する。

・支援案は昨秋に政権が提案したが、議会の審議は野党共和党の反対で難航した。

・ウクライナは資金不足に陥り、米支援がなければ年末までに敗北の危機に直面した。

・米支援の決定でウクライナは財政面で一服。ロシアとの戦闘継続の条件が整う。

米がイスラエルへの軍事支援拡大、国内では反イスラエルの抗議活動も

・米下院は20日、イスラエルに対する263億ドルの支援法案を可決した。

・上院でも可決され、大統領の署名を経て実施される見通し。

・イスラエルの防空システムの強化や弾薬の製造などに使われる予定。

・バイデン米大統領はイスラエルのガザ攻撃に対し批判を強めている。

・しかし軍事支援は継続。同国支持の立場を改めて明確にした。

・米国内ではイスラエルの抗議活動が各地で拡大している。

・15日にはサンフランシスコの金門橋がデモによる封鎖された。

独首相が中国訪問・首脳会談(16日)

・ドイツのショルツ首相が中国を訪問。16日習近平国家主席と会談した。

・経済関係やウクライナ、中東情勢などを協議した模様。

・欧米と中国の経済関係は、米国の対中ハイテク規制の影響などで変化している。

・ドイツも対中関係の見直しを迫られており、新たな関係を模索している。

・中国としても欧州との経済関係再構築を目指しているところ。

・首相訪中にはBMW社長ら独企業トップが動向。様々な接触があった。

インドの総選挙開始(19日)

・インドで下院選挙(定数545、基本小選挙区)の投票が始まった。有権者9.7億人。

・全国の州などを7つに分けて順次実施。6月4日に一斉開票する。

・モディ首相の与党インド人民党が優勢で、首相の3期目入りが有力視される。

・選挙戦を通じ、インド社会の様々な面が現れる。

 

◎寸評:of the Week

 

【中東の懸念拡大】 

イスラエルがイランへの攻撃を19日実施した。13日に行われたイランからイスラエルへの攻撃の報復とみられる。今のところ両国とも、攻撃をエスカレートさせない姿勢を見せているが、今後ボタンの掛け違い→中東地域の紛争拡大の可能性は排除できない。国際金融市場はそうした懸念を嗅ぎ取り、安全資産への逃避などの動きが起きている。

最近のイスラエルとイランの報復合戦の発端は、4月初旬のイスラエルによるシリアのイラン大使館攻撃。その後、イランによるイスラエル攻撃(13-14日)、そして今回のイスラエルによるイラン攻撃をつながった。

今回の攻撃は、イラン中部のイスファハン地域。ここにはイランの核施設がある。攻撃の規模は限定的だったが、核施設への攻撃もできるというメッセージを送ったとの見方がある。

2023年10月のガザ戦争勃発以降、周辺のレバノン、シリア、イラク、イエメンなどに戦火が飛び火した。しかしイスラエル(および米軍基地)と戦火を交えたのは、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派などイランの支援を受けた武装組織だった。イスラエルとイランが直接戦火を交えるようになった今月以降以降は、これまでと違った局面になる。

イスラエルとイランもこれ以上の戦闘拡大は望んでいない姿勢を見せる。しかし、両国内には強硬派も存在するし、戦闘現場ではどんな不測の事態があってもおかしくない。中東はガザだけでなく、地域全体にきな臭さを増す。

【ウクライナ支援】 

米下院がウクライナへの600億ドル(9兆円)の支援法案を可決した。上院での可決を経て、大統領が署名。近く支援が実施される見通しだ。

ウクライナ支援案は昨年秋に政権が提出した。しかし議会では野党共和党が注文を付け(支援の使用のチェック、メキシコとの国境管理強化とのリンクなど)、当初2023年内を目指していた成立が大幅に遅れていた。このままではウクライナが財政不足になり、2024年末までに戦争に負けるという情報も流れた。

今回野党共和党は、支援の一部を贈与でなく融資にすることなどを条件に可決した。調整の過程ではトランプ前大統領の発言などが影響を与えた可能性がある。

米国の支援実現で、ウクライナは戦闘体制を継続する。しかし戦況は膠着し、前線はロシア軍優位の状況で動いている。戦争事態の行方は見えない。欧州には、ウクライナ支援疲れの反応も見られる。

EUやNATOは機があるごとにウクライナ支援強化を強調する。国際メディアは、仮にウクライナが敗北したらその影響は同国だけにとどまらず、欧州にとって深刻なものになると改めて報じる(Economist4月13日号など)。

米国の支援でウクライナは一服つけるかもしれない。しかし戦争をどう休止・決着させるかという問題の行方は全く見えてこない。

 

今週の注目(4月22-28日&当面の注目)

 

・中東情勢はガザ戦争、イスラエルとイランの対立など多岐の問題が流動的。

・ウクライナ戦争も引き続き注視。