★International news of last week(先週の国際ニュース4月8日号)

 

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ガザ戦争半年、休戦見えず、人道危機深刻、紛争飛び火も(7日)

・ガザ戦争は勃発から半年を経過した。

・イスラエルはガザ攻撃を緩めず被害が拡大。住民の死者は3.3万人を超えた。

・支援物資の搬入は停滞、人口の半分の110万人が飢餓に直面する。

・ハマス殲滅は実現せず、人質解放も進まない。休戦のメドは立たない。

・イスラエルは南部ラファ攻撃の姿勢を崩さず、当面の焦点の1つだ。

・休戦交渉は進まず人道危機は深化。国際社会はイスラエル批判を強める。

・イスラエル各地では6日、反政府のデモが繰り広げられた。

・こうした中イスラエルは1日、シリアにあるイラン大使館の領事部などを空爆した。

・革命防衛隊幹部など13人が死亡。最高指導者ハネメイ師は報復を宣言した。

・戦闘が国外に飛び火するリスクも高まっている。

米国がイスラエル支援の変更を警告、武器供与は継続(4日)☆

・バイデン米大統領はイスラエル支援の政策変更の可能性を示唆し、警告した。

・ネタニヤフ首相との電話会談で伝えた。

・イスラエルがガザでの休戦に応じず、現地で被害が拡大している点を憂慮。

・イスラエルが1日ガザ支援団体の車両を攻撃。7人が死亡したことも考慮した。

・ただし米国は戦闘機F35など同国への武器売却は継続。政策の矛盾も抱える。

台湾で地震、半導体などに影響(3日)☆

・台湾東部沖を震源とするM7.2の地震があった。

・東部花蓮を中心に被害があり、多くの建物が倒壊した。

・ただし死者の確認は7日までに10数人程度で、防災対策が効果を見せた。

・半導体のTSMCなど各地の上場が一時操業を停止。経済的な影響が出た。

・トルコなどから早速救援隊が入った。昨年のトルコ地震支援の礼の意味がある。

・政府間やNGOなどの支援ネットワークも世界的に発展している。

NATOがウクライナ支援基金検討(3日)

・NATOはウクライナ支援の新たな枠組みの協議を始めると表明した。

・外相会合で決定した。

・複数年にわたり安定的に支援する仕組みを目指す。

・1000億ドル規模の基金を設立する構想などが出ている。

・ウクライナへの支援疲れが表面化。米ではトランプ大統領復帰の可能性がある。

・NATOは4日、設立75年の記念式典を開いた。

ハイチの治安悪化が深刻化

・ハイチでギャングの暴力による治安悪化が深刻化している。

・国連は3月末に報告書を公表。2023年に4400人、1-3月に1500人が死亡した。

・首都ポルトープランスは8割をギャング団が支配している。

・2021年にモイーズ大統領が暗殺され、大統領は不在が続く。

・3月11日にはアンリ首相が辞任を発表した。

・海外から武器が流入し抗争が拡大。情勢改善の兆しは見えない。

・同国は政治の混乱が続き、カリブ海でも貧しい国の1つ。

 

◎寸評:of the Week

 

【ガザ戦争半年】 

2023年10月にハマスの奇襲で始まったガザ戦争が半年を経過した。イスラエルはガザに激しい攻撃を重ねるが、収束のメドは全く見えない。戦闘が周辺に飛び火する危機など、世界にも影響を与える。(→国際ニュースを切る)

 

国際ニュースを切る

 

◆ガザ戦争半年と世界

2023年10月にハマスの奇襲で始まったガザ戦争が半年を経過した。イスラエルは圧倒的な火力でガザに激しい攻撃を重ねるが、事態収拾のメドは見えない。人道危機は深刻だ。戦争は中東周辺に飛び火する兆しも見せるなど、世界を揺るがし続ける。

死者3万3000人

戦争開始から半年を経過し、ガザの死者は3万3000人を超えた。イスラエルとハマス(ガザ)の火力には圧倒的な差があり、戦争と言ってもイスラエルがほぼ一方的に攻撃している状態。ガザの道路や住宅などインフラはほとんどが破壊され(7-9割超などの推測がある)、ガザ住民の大多数は家を追われて南部などへの非難を余儀なくされた。

そんな一方的攻撃にも関わらず、イスラエルは目標とするハマス殲滅を果たせず、人質解放の目途も立たない。

開戦当初から数カ月かかるとの観測もあったが、より短期戦で終わるとの見方もあった。現実は半年を過ぎても休戦の交渉は進まず、事態収拾の展望は描けない。ガザのパレスチナ人が大量に殺戮される懸念も払しょくできない。

▼人道危機

ガザへの支援物資搬入は厳しき制限され、人々への食糧が届かない状況が続く。ガザの200万住民の半分の100万人以上が飢餓に直面している。餓死する子供が増えている。手足が枯れ木のように細った子供の映像は痛々しい。

病院の多くが破壊され、医療品は絶対的に不足する。人道危機は深刻だ。

高まるイスラエル批判

欧米では当初はハマスの奇襲を受けたイスラエルへの理解も多かった。しかし人道危機の深まりを受けてイスラエル批判が強まってきた。

第2次大戦イスラエル支持を基本にしている米国も、イスラエルの強硬策に苦言を呈し、バイデン大統領はイスラエス支持政策に変更もあり得ると警告した。外交的にはイスラエルの孤立が進む(ただし、米国はイスラエルに対する武器輸出を継続しており、話はそれほど単純ではない)。

▼反ネタニヤフ政権の動き

ガザの非人道的な状況への認識も広がっているためだ。6日には各地で反政権デモが繰り広げられた。ただし、ハマス殲滅を主張する強硬派(極右)も存在し、その声も根強い。こちらも事情は単純でない。

▼周辺国への飛び火

イスラエルはレバノンのヒズボラなどへの攻撃も続けてきたが、4月1日にはレバノンのイラン大使館への攻撃も実施した。追い込まれたネタニヤフ政権が、戦闘拡大に走ったとの見方もある。

イエメンのフーシ派は、反イスラエルを名目に周辺海域で船舶に対する攻撃を繰り替える。紛争がガザから中東全体に広がるリスクは否定できない。

世界への問い

ガザ戦争はパレスチナ問題が中東情勢の根っこにあることを改めて印象付けた。背後にある宗教や民族などの対立は根深い。問題が容易に解けるものでないことを改めて認識する。

ガザ戦争は、人権や人道主義に根本的な問いを突き付けた。米国のリーダーシップの後退や、中東におけるダブルスタンダードなども映す。パレスチナでの戦争が、ウクライナでの戦争と同時に進展している点も重要だ。2つの戦争で既存の国際秩序は揺らぎ、世界の分断と対立は進む。

ガザ戦争から半年。惨劇と憎悪ばかりを見てきた感じがする。事態が収拾した後の、次の発展に向けた新しい材料がほの見えてきたとも言い難い。世界秩序という点では、先の見えない読みがたい時代に入った印象も受ける。

 

◎今週の注目(4月8-14日&当面の注目)

 

・ウクライナ戦争、ガザ戦争は引き続き世界の注目事項。

・韓国の総選挙が4月10日に行われる。

・日本の岸田首相が訪米し、日米首脳会談が10日に行われる。

・欧州中銀の理事会が11日。

・インドの総選挙が4-5月にかけて行われる。