International news of last week(先週の国際ニュース4月1日号)

 

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◆国連安保理がガザ停戦要求決議、米は棄権、イスラエル反発(25日)☆

・安保理はガザでの停戦要求決議を採択した。ラマダン期間中(4月9日まで)が対象。

・日韓など非常任理事国10か国が共同提案。中ロ英独が賛成した。

・米国は拒否権行使を控えて棄権。従来の親イスラエルの立場を弱めた。

・ガザの人道危機が深まり、イスラエルへの国際世論は厳しさを増す。その状況を映す。

・イスラエルのネタニヤフ首相は決議に反発。米国への不満を表した。

・ハマス殲滅のために南部ラファへの侵攻が不可欠との立場を変えない。

・米イスラエルはラファ侵攻などを巡り調整を続けるが、隔たりは大きい。

◆EUが米IT大手3社の調査開始(25日)☆

・欧州委員会は大手IT企業を規制するデジタル市場法に基づき、米3社への調査を始めた。

・アルファベット(グーグル)、アップル、メタの3社。

・デジタル市場法は巨大IT企業に自社サービスの優遇や個人情報囲い込みなどを禁じる。

・2022年11月に発効し、2024年3月7日に運用が始まった。

・調査の結果違反が認められれば、巨額な罰金などの措置を命じる。

・ただし3社側が欧州委の主張に異議を唱える可能性も高く、行方は不透明だ。

・巨大IT企業の規制はEUが先行。同法のほか、デジタルサービス法を制定した。

・米国でも3月、司法省がアップルを提訴するなど、規制強化の動きもある。

◆米ボルティモアで橋破壊、貨物船が衝突(26日)☆

・ボルティモアを横断する高速道路の橋脚に貨物船が衝突。橋が崩落した。

・この事故で港への船舶の出入りが停止された。

・当局は橋の残骸や船舶の除去を進めるが、かなりの時間がかかる見通し。

・同港の国際貨物取扱は2023年で全米9位。

・国際貨物の供給網に影響が出る可能性がある。

・事故の様子は映像で世界に流れ、衝撃を与えた。

ミャンマー国軍記念日、混乱の印象強める(27日)

・軍事政権は軍事記念日のパレードを行った。規模は前年より縮小した。

・同国では2021年2月に軍がクーデターで権力を奪取。3年が経過した。

・民主派を弾圧し、指導者のアウン・サン・スー・チー氏らを拘束した。

・しかし一部民主派や少数民族武力勢力らの抵抗が続き、全土を把握し切れない。

・昨年秋には民主派や少数派の反撃で一部領土を失い、軍から逃亡者も出た。

・国際的な制裁もあり経済は悪化。軍事政権が劣勢を強いられる面も多い。

・同国ではクーデター以降、約300万人が難民・避難民になった模様。

・軍事政権は当初、強圧による安定を目論んだが、実際には混乱が拡大する。

◆ウクライナ司令官、弾薬はロシアの6分の1(29日)

・シルスキー総司令官は同国の弾薬数がロシアの6分の1に留まっていると語った。

・前線の状況は厳しいとし、当面は防衛強化に注力するとした。

・ウクライナ苦戦は様々な形で伝わるが、司令官の発言は状況を総括した。

・兵士の追加動員は必要だが、その数はかなり減ったと言う。具体数は示さなかった。

・欧米に対し支援の強化を改めて要求した形だ。

・ロシアは断続的にミサイルやドローン攻撃を実施。ウクライナもドローンなどで反撃。

 

◎寸評:of the Week

 

安保理の決議】 

国連安保理がガザ問題で停戦を求める決議を採択した。日韓など非常任理事国10か国が提案し、常任理事国も中ロ英仏の4か国が賛成した。米国はパレスチナ問題では常にイスラエル寄りの立場をとり、イスラエルに不利な決議案には拒否権を行使し続けてきたが、今回は棄権に回った。

ガザ戦争が始まってから間もなく半年。これまで何度も安保理に決議案が審議されたが、米ロなどの拒否権でその都度否決されてきた。今回は新しい動き。

欧州では当初ハマスのテロ攻撃への批判が強く、イスラエル支持が多かった。しかしガザの人道危機が深刻になってくるとパレスチナ支援が強まった。米国では中東系だけでなく若者にもパレスチナ支持が拡大、バイデン政権も大統領選にらみでイスラエル一辺倒を軌道修正した。

むろん決議の力は限られる。イスラエルはガザ南部ラファ攻撃の姿勢を変えない(しかも武力の差を考えれば実行可能だ)。しかし世界の世論が米国まで含めて停戦要求で固まった事実も重い。

安保理や国連の限界と可能性について、改めて考えたくなる。

 

今週の注目(4月1-7日&当面の注目)

 

・ウクライナ戦争、ガザ戦争は引き続き世界の注目事項。

・インドの総選挙が4-5月にかけて行われる。