★International news of last week(先週の国際ニュース2月5日号)
↓メルマガ「国際ニュース・カウントダウン 2024年1月29日-2月4日 by INCD-club」
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◆ヨルダンで米兵死去、米が親イラン勢力に報復攻撃 ☆
・ヨルダン北東部の米軍拠点に28日ドローン攻撃があり、米兵3人が死亡した。
・2023年10月にガザでの戦争が勃発して以来、米軍の死者は初めて。
・イラクに拠点のある親イラン組織が攻撃声明を出した。イランは直接関与を否定した。
・米国は2日シリアとイラクでイラン革命防衛隊や親イラン勢力への空爆を実施した。
・長距離爆撃機などで計7施設85カ所以上を攻撃した。報復と位置付ける。
・今後も攻撃を重ねる予定という。ただし、イラン国内への攻撃は避ける姿勢を示した。
・ガザでは戦闘が継続。パレスチナの死者は2万7000人を超えた。
・カタールなどが仲介役となって水面下の停戦協議を続けるが、見通しは不透明。
・昨年10月のハマスによる奇襲にUNRWA職員が関与した疑惑は、調査が続く。
・ヨルダン川西岸ではイスラエルによる入植拡大やパレスチナ住民への暴力が拡大する。
・中東情勢は不穏な動きが拡大し、紛争拡大の懸念が強まる。
◆EUがウクライナに500億ユーロ支援決定
・EUは臨時首脳会議を開き、ウクライナへの500億ユーロ(8兆円)の支援で合意した。
・ハンガリーが反対していたが、EU各国からの圧力や予算執行厳格化などで折り合った。
・対ウクライナ支援は2023年以降滞りが目立ち、戦況にも影響を与えかねない。
・米国では支援を巡り議会の与野党が対立し、執行の目途が立たない状況だ。
・こうした中で、EUとしてウクライナ支援の姿勢を改めて打ち出した形だ。
・ウクライナ戦争は前線の戦闘が膠着化した形で、間もなく開戦2年を迎える。
◆ウクライナ大統領が総司令官解任報道
・ザルジニー軍総司令官が解任されるという情報が流れている。
・米ワシントン・ポストは2日、ゼレンスキー大統領が解任を決め米に伝えた報道した。
・他のメディアも類似の情報を流した。ウクライナ政府は何も発表していない。
・大統領と総司令官は昨年後半あたりから確執が伝えられていた。
・ザルジニー氏は昨年11月英誌のインタビューで、戦線が膠着状態にあると発言。
・兵力の追加徴収が必要などとも発言した。大統領の見解と異なる点もある。
・総司令官は大統領以上に国民の人気が高く、将来の政治的ライバルとの指摘もある。
◆ミャンマー、クーデターから3年、内戦継続、避難民300万(1日)
・ミャンマー軍がクーデターで権力を再掌握してから3年が経過した。
・国際的な制裁で経済は低迷。国内では内戦が続く。
・少数民族の武装組織が優勢に立つ地域もあり、軍政は全土統治の展望を描けない。
・国内避難民は300万人に達した。ミャンマーの人口は5300万人程度。
・こうした中、同国は29日にラオスで開いたASEAN外相会議に政府高官を派遣した。
・ASEAN会議参加は3年ぶり。一段の孤立を避ける狙いと見られる。
◆恒大に法的措置命令、香港の高裁
・香港高裁は、中国大手不動産の恒大集団の法的整理手続き開始を決めた。
・香港取引所は恒大の株式売買を停止した。
・海外債権者が2022年6月に、恒大の清算を申し立てていた。
・ただし、恒大の資産の多くは中国本土にあり、処分には中国の裁判所の判断が必要。
・実際に清算の手続きが進むかは、中国当局の意向次第の面が大きい。
・とはいえ今回の判断は1つの節目。恒大問題は、中国不動産問題の象徴となっている。
◎寸評:of the Week
【世界的な地殻変動ーー各地で情勢不安】
ウクライナとガザの戦争に世界の目は向くが、世界各地で情勢が不安な地域は多い。
中東ではガザ戦争のあおりでレバノン、イエメン、イラク、シリアなどで攻撃やテロが勃発。2日には米軍がシリアやヨルダンの親イラン勢力の拠点を攻撃した。戦火が中東各地に飛び火する懸念が一増強まっている。
ミャンマーではクーデターから3年を経過したが、軍事政権と民主派、少数民族の争いが継続。避難民は300万人に達した。国際的な制裁もあり、経済は悪化している。
アフガニスタンはタリバンの統治下で経済悪化が深刻化し、テロも頻発する。アゼルバイジャンとアルメニアの紛争もくすぶる。
ニジェール、マリ、ブルキナファソの3国は西アフリカ諸国経済共同体から脱退を発表した。3カ国は2020年以降クーデターが起き、親ロシアの軍事政権が発足している。3国が位置するのはサハラ砂漠南のサヘル地域で、イスラム過激派の活動などで治安が悪化している。
東アフリカのソマリアでは、1990年代以来、北部のソマリランドの独立問題がくすぶる。今年になりエチオピアがソマリランドの港を使う覚書を交わし、ソマリアはもちろん、周辺のエジプトなどが批判を強める。
世界的なレベルで秩序が地殻変動を起こしている時代。歪みはウクライナ、中東だけでなく、世界各地で出ている。
【ゴーグル端末の時代】
米アップルが2日、ゴーグル型のディスプレーを米国で発売した。価格は3499ドルから。初年度の出荷は30-40万台に達するという業界予測もある。アップルは2007年のiPhone以来の大型商品と位置付ける。そうした位置づけが妥当かどうかはさておき、人々がゴーグル端末を利用する時代が近づいている感じはする。
◎今週の注目(2024年2月4-11日&当面の注目)
・ガザ戦争、中東情勢は緊張が続く。ガザの戦争を巡っては戦闘休止の調整が水面下で続くが、先行きは不透明。一方、米国によるイラクやシリアの親イラン組織などへの報復攻撃は、第2波、第3波の動きがありそうだ。
・ウクライナ戦争の前線は膠着状態。ロシア、ウクライナともに相手国のインフラや軍事施設などを狙ったミサイルやドローン攻撃を繰り返している。2月24日にはロシアの侵攻から2年を迎える。
・加えてウクライナの政治情勢にも関心が注がれる。ザルジニー総司令官の解任情報が流れている。
・エルサルバドルの大統領選が4日に実施される。
・パキスタンの総選挙が8日に実施される。裁判所はカーン前首相の議員への出馬を禁じた。