International news of last week(先週の国際ニュース1月29日号)

 

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ハマスの奇襲に国連機関職員関与の疑い、国際司法裁は虐殺防止命令(26日)☆

・昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲に、国連職員が関与していた疑いが浮上した。

・米国務省が発表した。UNRWAの職員12人が関与したという。詳細は不明。

・国連は調査を開始。米国などはUNRWAへの資金拠出を停止した。

・同機関は職員約3万人。ガザのほか、ヨルダンやシリアなどで援助活動を続ける。

・国際司法裁(ハーグ)は、イスラエルに対しガザでの虐殺防止にあらゆる措置を求めた。

・南アが昨年12月、イスラエルの攻撃はジェノサイドに当たるとして提訴していた。

・ガザではイスラエルによる攻撃が続き、連日100人を超す死者が出ている。

◆スウェーデン、近くNATO加盟☆

・スウェーデンのNATO加盟が近く実現する。

・トルコの議会は23日加盟を承認。ハンガリー首相も24日加盟を認めると表明した。

・スウェーデンはロシアのウクライナ侵攻を受けて2022年5月にNATO加盟を申請した。

・人権問題などを巡りトルコ、ハンガリーが承認を見送っていたが、調整が進んだ。

・NATO加盟国は32カ国になる。

ナウルが中国と国交、ツバル選挙では親台湾の首相落選 ☆

・南太平洋のナウルは24日中国と国交を回復した。台湾とは15日断交した。

・ミクロネシア系住民1.1万人。リン鉱石の再開発に取り組む。安保・通貨は豪州に依存。

・2002年に中国と国交樹立後、2005年に台湾と国交再樹立・中国と断交していた。

・ツバルでは26日総選挙が行われ、台湾や豪州との関係重視のナタノ首相が落選した。

・後任は中国との関係を重視するソポアンガ前首相らが有力とみられる。

・同国はポリネシア系住民1.2万。英国王を元首とし、通貨は豪ドル。

・首相交代で、対中国・台湾関係が変わる可能性がある。

・中国は南太平洋や中南米で台湾承認国の切り崩しを進める。

・台湾承認国は蔡英文・台湾総統就任の2016年の22カ国→12カ国に減少している。

米共和党予備選、ニューハンプシャーもトランプ氏(23日)

・米大統領選の予備選がニューハンプシャー州で行われ、トランプ前大統領が勝利した。

・トランプ氏が約55%を獲得。2位のヘイリー元国連大使氏に11ポイントの差をつけた。

・アイオワ党員集会に続く勝利で、共和党予備選はトランプ氏圧勝の流れが強まった。

・民主党はバイデン大統領が確実。全米自動車労組は24日、同氏支持を表明した。

◆イラン大統領がトルコ訪問(24日)

・イランのライシ大統領はトルコを訪問。エルドアン大統領と会談した。

・ガザ情勢を巡り協議した。会談後、イスラエルを非難する発言をした。

・両国は中東の大国。トルコはイスラエルと国交を持つが、ガザ情勢では同国を批判。

・イランはパレスチナのハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派を支援する。

・サウジはイランと対立→昨年春イランと国交回復した。

・一方イスラエルとは関係改善模索→ガザ戦争で批判を強めている。

・ガザ戦争により中東の情勢も揺れ動く。従来の延長戦では語れない変化が出ている。

 

寸評:of the Week

 

【ガザ戦争:新たな問題を投げかけ】 

ガザでの戦争は3カ月半を経過。イスラエルによる攻撃が続く。連日100人を超える犠牲者が出て、人道危機は深刻だ。

戦火は周辺にも飛び火。レバノンやシリア、イラクなどでも戦闘が生じている。イエメンのフーシ派は、イスラエルに関係する船舶を攻撃。米英はこれに対抗し、フーシ派拠点に攻撃を仕掛けている。

戦いや対立は武器によるものだけではない。南アは昨年12月国際司法裁(ICJ)に対し、イスラエルの行為がジェノサイド(民族大量虐殺)にあたるとして提訴した。

ICJの判決は1月26日に下り、ジェノサイド防止のためあらゆる措置を講じるように命じた。ただ、南アの求める即時停戦には触れなかった。

グローバルサウスなどの国が南アの主張を支持。一方、ドイツなどがジェノサイドには当たらないと表明した。ジェノサイドという正義の核心に触れるような問題で、国による考えの違いが鮮明になった。

一方、昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲に、国連職員が関与していた疑いが浮上した。国連パレスチナ難民救済事業寄稿(UNRWA)の職員12人が関与したというもので、国連は調査を開始した。米国などはUNRWAへの資金拠出を停止した。

同機関はガザのほかヨルダンやシリアでも援助活動を続け、職員は約3万人。多くのパレスチナ人が現地職員として働いている。

ガザ戦争を巡っては、古くから続くイスラエルとパレスチナの対立の歴史、人権や人道主義への根本的な問いかけ、米国の2重基準ともいえる中東政策への批判など、多くの問題を投げかけた。今週の動きは、「正義とは何か」に関わる問いかけや、国連機関の評価・信頼なども投げかける。

ガザ戦争が世界に問いかけた問題の広さ・深さを改めて認識する。

 

今週の注目(1月29日-2月4日&当面の注目)

 

・ガザ戦争はイスラエルによる攻撃が続く中、国連UNRWA職員がハマスによる昨年10月7日のテロ攻撃に関与したとの疑惑が浮上した。行方に注目。

・戦闘や混乱の中東各地への拡散も要注意。このところ、イエメンのフーシ派による船舶への攻撃、レバノンのヒズボラとイスラエルの戦闘、レバノンやシリア、イラクにいるイランの軍事顧問などに対するイスラエルの攻撃などが起きている。

米FRBが公開市場委員会を30-31日開催する。米金融政策の行方には世界の関心が集まる。

・EU首脳会議が2月1日。

・ウクライナ戦争の前線は膠着状態。ロシア、ウクライナともに相手国のインフラや軍事施設などを狙ったミサイルやドローン攻撃を繰り返している。2月24日にはロシアの侵攻から2年を迎える。