福島第一原発の処理水放出に、なぜ中国は過剰に反応するのか 背景に…積もり積もった「日本への強い政治的不満」
★【中国】日本旅行熱が下火に、処理水放出が影響[観光]
・中国が常軌逸した「反日」暴挙 東電の処理水放出 日本人学校に石や卵を投げつける暴力行為が続発、嫌がらせの電話も
・マレーシアで1万人規模の集会 日本の放射能汚染水放出に抗議
★原発処理水をめぐる日本政府の「意図的な誤訳」...G7首脳陣は「放出」が「不可欠」とは言っていない
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★中国の反日感情の間歇的爆発は政権への不満のガス抜き 「処理水」よりギャンブル禁止が最大の原因ではないか
↓メルマガ「宮崎正弘の国際情勢解題」8月28日より
中国には公設のギャンブルがない。パチンコも競馬も競輪も競艇もオートレースもない。博打大好きな庶民はどうしているか?
闇博打が盛んであり麻雀はホテルの一室を借り切って「会議中」。あるいは舟を借り切る。庶民は朝から何処でもトランプ、もしくは賭け将棋。これらは賭け金が500円とか千円などで警察も見てみないふりをする。
富裕階級はマカオへ行ってギャンブル三昧となる。
マカオにはラスベガス御三家に加えて、地つきのリスボアホテルとスタンレー・ホーの娘らが創業のギャラクシーなど高層豪華なギャンブルホテルが林立している。ラスベガスと異なるのは家族連れが少なく、オトナの雰囲気に決定的に欠けていて、総てが即物的なのだ。
夫人子供用の娯楽設備が貧弱。しかしロビーではロシア美人にフィリピン楽団の妖艶な踊り。レストラン街はまだまだ貧弱で娯楽インフラが乏しい。
このマカオに大陸から押し寄せるギャンブラーたちは蝗の大群、年間参千万人。サンズ、ベネチア、MGMなどのホテルに散って24時間賭け事、VIP部屋では億単位のギャンブルが展開される。低所得層はスロットマシンだ。
負けると身につけていたローレックスやルイビュトンの鞄を質屋に売って、また続けるか、借金を支払う。広東語で質屋は「押」である。ホテルの周りにたくさんある。
さて世界のギャンブル王国は一位がマカオ(利益が4兆円)、二位がラスベガスで(1・4兆円)。三位は意外にもシンガポールで5000億円。日本人ツアーに大人気のマリ-ナベイホテル、トランプと会談した金正恩が突如、このホテルのバアに出没したが、じつは公認ギャンブル場である。
かくして日本と賭け事の文化、風習が異なるのは国家が違うから当然だが、中国共産党が公営ギャンブルに踏み切ると、マカオが衰退するばかりか反日運動も消滅するのではないか。
▼日本のパチンコはなぜ廃れたか
ついでだから日本のギャンブル事情をまとめておくと、競馬、競艇、競輪、オートレースの四つが「公営」である。一番人気は競馬だが、新興のオートレースも人気拡大中である。
他方、庶民の最大の遊びだったパチンコが廃れた。往時の四分の一、30兆円産業がいまでは14兆円に縮み、あちこちのパチンコ店が倒産、廃業している。廃業ラッシュは書店の廃業ペースに似ているかもしれない。
パチンコ人口は3000万人から710万人に激減しているのだ。原因は当局の出玉制限だが、おそらく最大の原因は賭場がスマホのゲームに移行したからだろう。
通勤電車をみるとわかる。日本経済新聞や文庫を読んでいる人って、百人に一人くらい。乗客の90%は携帯電話を見ているが、ときおり若者の画面をみると、漫画かギャンブルである。
競馬は中央競馬会公認の馬場が全国に10ヶ所、地方競馬が15ヶ所で、3兆円産業だ。コロナ禍で一時は競馬人口が減ったものの、盛り返した。場外馬券売り場にひところは集まっていたが、携帯電話でも馬券が買える上、闇では電話による馬券屋アルバイト相場もある。
競艇は90年代に2兆円規模だった。それが、2018年には1・4兆円規模に激減した。このため地方自治体は負担が増えて悲鳴をあげているところもある。売り上げの2・6%が船舶振興会へ上納される仕組みになっている。
競輪はなぜか博徒が増えた。
2019年に6600億円規模だったが、22年には1兆円を突破した。23年予測は1
・25兆円。人気の原因はガールズ競輪という。
新興のオートレースは現在五ケ所にあって600CCバイクのレースだが。22年には1075億円と「順調」な増加をしている。
中国人に限らず日本人も賭け事が大好きなようだ。
▼外国ファンドは中国から全速で逃げた
さてもっと大規模な賭場、むろん合法の賭場と言えるのが株式市場である。
投資家、とくに禿鷹ファンドという、法律的には合法の投機集団は、換言すれば稀代のばくち打ちと言えないこともないだろう。
同時にかれらは情報通だ。原点はロスチャイルドの投資方法にある。早耳で仕入れた情報を市場操作に活用する。
1815年のワーテルロー戦役で、ナポレオンが負けたことを、特別に雇用した情報員から誰よりも早く入手したロスチャイルドは、逆に英国公債(戦争費用をまかなった)を売り始めた。
コバンザメのようにロスチャイルドの投資を真似てきた周囲の投資家たちはそれを見て狼狽、投げ売りにはしった。
底値になったとき、総てを買い上げる。直後に公式ニュースが入って英国軍が勝ったことがわかり、今度は暴騰、ロスチャイルドは一夜にして大金持ちとなった。
2015年以来、ファンドの中国株買いが続いていた。八年間、ずっと買い越しだったのである。2021年に外国ファンドの中国株保有は1・1兆ドルに達していた。この他に香港のオフショアとNYのナスダック市場では「ドラゴン某某」と名がつく「中国株インデックス」も取引されている。
中国バブルが表面化し、繁栄は終わったとウォールストリートジャーナルがだめ押しする前から、禿鷹ファンドは売り越しに転じた。かれらは中国株を売り続けている。
中国の成長とは借金の肥大化で成り立っていたトリックに気がつくと、外国ファンドは「全速力」で中国株の売りに走った。売って売って売りまくった。その一部が「安全」な日本株へ群がったのである。
「13セッション連続で107億ドルを売却した。売られた銘柄にはアリババ、テンセント、八月には貴州省マオタイ、招商銀行。ブームがとまった太陽光パネル企業(ロンジ・グリーン)株まで売られ、まさに一斉撤退の様相となった」(サウスチャイナモーニングポスト、8月24日)。
売越額は9000億ドルと推計されている。