ウクライナ危機はグローバリゼーションの終焉を意味する - BlackRock
2022年3月27日


先週、ロシアのプーチン大統領は、対モスクワ制裁は時代の終わりを告げるものだと述べ、欧米の世界支配が終焉を迎えつつあることを示唆しました。ブラックロックは、この紛争について、ウクライナ危機は我々が知っているグローバリゼーションの終わりを示すものであると述べています。

 

 

米国のGDPの約半分に相当する資産を運用するブラックロックのCEO、ラリー・フィンク氏は、ウクライナへの侵略を行ったロシアへの罰則措置により、意思決定者が国際負債を再評価し、グローバリズムは崩壊すると予測している。

ロシアのウクライナ侵攻は」

過去30年間に経験した」

グローバリゼーション終止符を打った

 

「私達は既に、2年に渡るパンデミックによって」

国家間、企業間、更には」

人間同士の繋がりが緊張しているのを」

目にしていたのです」

 

多くのコミュニティ人々が孤立感を感じ

内向きになりました

 

「この事が、今日の社会全体に見られる

二極化過激派の行動を悪化させたと思います」

 

と、フィンク氏は20日、投資家に宛てた書簡で述べた。

 

株主の皆様へ

 

フィンク氏によれば、ウクライナ危機の結果、欧米諸国はモスクワに対し「経済戦争」を仕掛け、ロシア中央銀行の外貨準備の使用を禁止するという異例の措置もとった。

 

  

 

資本市場や金融機関等の企業は、自国政府の規制を越えて、ロシアとの関係や活動を断絶させた。

ロシアのウクライナへの攻撃と」

「それに続く世界経済からの切り離しは」

世界中の企業や政府に対して」

依存関係を再評価し」

製造や組み立ての足跡を」

再分析するよう促すもので」

コロナが既に多くの人に

開始を促していたことです」

 

と、フィンクは述べています。

 

  

 

「その結果、企業はより多くの活動を」

自国や近隣諸国に移し

コストと価格を引き上げる事になるだろう」

 

と、フィンクは警告しています。

 

 

ロシア・ウクライナ危機は、冷戦終結後の世界秩序を「根底から覆す」ものであり、ブラックロックは脱グローバル化やインフレの拡大等「長期的な構造変化」に適応しなければならないとフィンクは指摘する。

 

  

 

更に、中央銀行は、先月米国で40年振りのピークに達したインフレ率の上昇か、経済活動や雇用の低下のどちらかを容認しなければならないかも知れない、と述べた。

NYに本社を置くブラックロックは、10兆ドルもの資産を管理する世界最大のマネーマネージャーである為、フィンクの意見は投資家から鋭く観察されている。

 

  

 

実際、この大富豪は大きな影響力を持っている為、彼の考えはある程度、自己実現的なものになり得る。

 

彼は、ウクライナ情勢を始めとして、デジタル通貨の普及や化石燃料からの脱却を早めるものと見ている。

 

米国の対ロシア制裁で脱ドル、人民元高が進むか?
 

「この戦争の影響は、東欧に留まらず

政治、経済、社会の動向に」

大きな影響を及ぼしている」

パンデミックに重なっている

「その影響は、今後数十年に渡り

「我々が未だ予測できない形で波及するだろう」

 

と、フィンクは言う。

 

  


フィンク氏とロシア当局はウクライナ紛争について意見が一致しないかも知れないが(マネーマネージャーは危機の原因をロシアに求めている)、世界秩序が変化して居る事は理解している筈だ。

 

先週、ロシアのプーチン大統領は、対モスクワ制裁は時代の終わりを告げるものだと述べ、政治的にも経済的にも欧米の「世界支配」が終わりつつある事を暗に示していた。

 

ドミトリー・メドベージェフ元大統領は先週「一極集中の世界は終焉を迎えた」と発言し、この発言に同調した。