報告書:中国の銀行は、熱帯雨林の森林破壊に関連する製品の2番目に大きな融資先である
2021年12月04日(土) 記入者:Nolan Barton

Tags: 

 

中国の金融機関は、熱帯雨林の森林破壊に関わる商品を世界で2番目に多く供給している事が、新しい研究で明らかになりました。

 

この調査は、気候変動との戦いにおいて世界のリーダーとなるという中国の野心に疑問を投げかけています。

 

中国の銀行が世界各地の森林破壊に資金を提供していると非難される


世界最大の大豆生産国であり、世界第2位の牛肉生産国であるブラジルは、森林リスクのある商品最大の資金を提供しています。

非政府組織の世界的な連合体であるForests & Financeが分析したデータによると、2016年1月から2020年4月までの間に、中国の金融機関は、東南アジア、ブラジル、アフリカの森林破壊につながる商品を取引している企業に対して、150億ドルの融資と引受サービスを提供していました。

 

 


この調査に含まれる300社以上の企業は、熱帯林、湿地帯、コミュニティに影響を与えている、或いは潜在的な被害をもたらしている企業の代表的なサンプルです。

 

パルプ・紙、パーム油、大豆、ゴム、木材などの取引を行う中国企業は、主に海外で事業を展開しており、その資金源は中国の銀行であることが多く、中国の金融セクターの国際的な広がりを浮き彫りにしています。


 

 

 

 



中国の金融機関のクレジットフローの地理的・部門的内訳を詳しく見てみると、102億ドルが東南アジアの森林リスクのある商品に起因していることがわかります。

 

 

 

この内、約半分は紙・パルプに起因するものです。

 



中国の金融機関による中央・西アフリカ向けの森林リスク関連融資・引受サービスは28億ドルで、その内79%がゴム21%が木材に起因するものでした。

 

 

ブラジルにおける中国の森林リスク融資の大部分は大豆に起因するものでした。



中国の銀行は「知らず知らずの内に」大豆による森林破壊を支援している

 

中国は世界の大豆の60%以上を輸入しています。

 

詰り、企業銀行大豆栽培する為に森林破壊止める事に注力すれば、中国は森林破壊を止め、気候変動を遅らせる為に大きな役割を果たすことができるのです。

 

 


2017年に中国に向かう大豆の為に、ブラジルでは約490平方キロメートル(189平方マイル)の土地が伐採されましたが、これは同年のブラジルにおける「転換」された土地の約40%に当ります。

 

中国の銀行が大豆による森林破壊を支援するリスクがあることが報告書で判明

 

非営利の情報開示プラットフォームであるCDPが2019年に発表した別のレポートによると、中国の金融機関は、大豆のサプライチェーンにおける森林破壊のリスクについて殆ど認識していないという。

 

CDPは、環境リスクを開示する為の国際的なプラットフォームです。

CDPの森林担当ディレクターであるモーガン・ギレスピーは当時、

 

 

大豆セクターで活動する」

中国の企業や金融機関は」

森林に重大な影響を及ぼす可能性のある」

「森林関連のリスクを軽減する為の意識や行動が」

「極めて限定的であることを示している」

 

と、述べています。

CDPは、輸入業者、動物飼料メーカー、畜産業者など、中国の大豆関連企業約30社の資金提供を追跡しました。

 

(関連記事:バーガーキングは、熱帯雨林を焼き尽くした大豆プランテーションから動物飼料を購入している)

 


同団体が中国へのサプライチェーンを分析した結果、これらの企業への21億ドル相当の融資は、森林破壊に資金を提供した可能性があるというリスクを抱えている事が判りました。

 

また、これらの企業を引き受けるための70億ドル以上の債券や株式も同様のリスクを抱えています。

中国は、世界の商品市場において」

重要な役割を果たしています」

 

と、ギレスピーは言います。

 

 

中国企業や金融機関は」

「森林破壊の無い商品を要求する事で」

「森林関連のリスクを効果的に軽減しながら」

「商品による森林破壊に対処する上で」

大きな役割を果たすことができます」

 

と、述べています。



グローバルな銀行は近年、森林破壊に関連する悪評を回避する為に、持続可能性に関する誓約を強化しています。

HSBCは、森林破壊や人権侵害を行っている企業とHSBCの資金の流れが関連しているとの報道が相次いだ為、大豆部門の顧客に『責任ある大豆に関する円卓会議』の認証を受けるよう求めました。

東南アジアのパーム油生産に多くの資金を提供しているロンドンのHSBCは、持続可能なパーム油に関する円卓会議のメンバー要件を遵守するよう顧客に要求しました。

中国の海外投資は、習近平の「カーボンニュートラル」公約に反している

 

習近平国家主席は昨年、中国が2060年までに「カーボンニュートラル」に到達することを約束した。

 

しかし、環境リスクの高いインフラや貿易のための海外投資や融資は、習近平の大胆な目標に逆行しています。

国有企業である中国工商銀行は、Forests & Financeのデータベースにおいて、融資や引受サービスを提供している最大の企業であり、その額は22億ドルにのぼります。

 

また、中国の国有化学品グループであるシノケムは最大の受取人であり、46億ドルを集めており、その殆どがゴム事業のためのものであった。

このデータベースに掲載されている商品の取引は、世界の森林破壊の約5分の2を占めています。

 

また、森林破壊への影響だけで、年間の温室効果ガス排出量の約5%を占めているという調査結果も出ています。

森林金融連合のトム・ピッケンは、

 

 

「世界の経済大国は」

気候変動対策について」

大口を叩いているにも関らず

自国の銀行熱帯林伐採に」

資金を提供している事を」

見て見ぬ振りをしています」

 

と、述べています。

ピッケン氏は、このデータベースの目的は、中国の銀行が「グリーンファイナンス」の基準に満たない膨大な資金を提供していることを示し、中国の銀行に森林破壊への資金提供を避ける為のより厳格なセーフガードを採用するよう働きかけることだと説明しています。

「現在の処、海外違法森林伐採に」

故意に資金提供している事さえ」

「判明した銀行への影響は殆どありません」

 

と述べています。

 

2017年、中国の銀行システムは、ユーロ圏の銀行システムを抜いて、資産規模で世界最大となりました。また、他の発展途上国でもその影響力が増している兆しがあります。

国際決済銀行が昨年発表した研究論文によると、中国の銀行は世界の新興国および発展途上国の約半数にとって最大の国境を越えた債権者となっている。

 

この論文では、中国の銀行の融資活動は「貿易と強い相関関係がある」と指摘しています。