ビタミンDの欠乏とコロナ感染症等の疾患との関連性を示す研究結果が発表される
2021年10月05日(火) 記入者: ゾーイ・スカイ

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ビタミンDは、体の様々なシステムで多くの役割を果たす必須ミネラルです。

 

ビタミンDの欠乏がコロナウイルスと関連している可能性を示唆する研究もあります。

 


COVID-19の患者さんの少なくとも80%は、ビタミンDが不足しているとも言われています。

 

研究によると、ビタミンDのレベルが高ければ、コロナウイルスに関連した陽性反応、入院、死亡率を減らすことができます。

ビタミンDのレベルは、多くの疾患の発症や重症度に影響します。一部の健康専門家は、ビタミンDレベルを最適化することで、一般市民の感染症や死亡の発生率を減らすことができると考えています。

2020年の研究で、研究者達は、コロナウイルスに感染した入院患者の血清25OHDレベルを調べ、病気の重症度と関連があるかどうかを調べました。

 

その結果、コロナウイルス患者の82.2%が20ng/mL以下のビタミンD欠乏症であるという衝撃的な結果が得られました。

 

(関連記事:ビタミンD不足がコロナウイルス感染症のリスクを高める)

 


また、ビタミンDが不足している患者さんは、心臓病、高血圧、鉄分濃度が高く、入院期間が長いことも分かりました。

 

また、別の研究では、コロナウイルスに陽性反応が出た人にも同様の結果が出ています。

昨年8月に、米国生理・内分泌・代謝学会誌に掲載された研究では、ビタミンDの代謝物が、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の複製と拡大を抑制することがわかりました。

 

何故ビタミンDが重要なのか?


ビタミンDは、何百もの遺伝子の発現を制御しています。

 

また、体の全てのシステムに影響を与える生物学的機能にも重要な役割を果たしています。

 

ビタミンDが不足すると、多くの健康上の問題に繋がる症状が現れます。

 

(関連記事:ビタミンD欠乏症は多くの問題を引き起こす)

 


ビタミンDが必要なのは、正常な骨の形成に必要なカルシウムとリン酸を適切なレベルに保つ為です。

 

ビタミンDは、太陽からの紫外線を浴びると、皮膚でビタミンDが作られることから太陽ビタミンと呼ばれています。

  

また、ビタミンDは、細胞の成長や免疫機能の調節に不可欠な炎症を最小限に抑える働きがあります。

 

更に、ビタミンDは、細胞の分化やアポトーシス(プログラムされた細胞死)を制御する遺伝子に影響を与えます

 

ビタミンD欠乏症の兆候
 

適切なレベルのビタミンDを維持することは、風邪やインフルエンザの季節にウイルスや細菌による病気のリスクを下げるのに役立ちます。

 

また、免疫力が低下している場合は、他の感染症に対する自然な防御力を高める為にもビタミンDが必要です。

 

ビタミンDの不足が心配な方は、血液検査でビタミンD濃度を調べることができます。

ビタミンDが不足すると、次の様な症状が現れます。

 

脳の健康状態が悪い

ビタミンDは、脳の健康に重要です。

 

ビタミンDが不足すると、アルツハイマー病の原因である水溶性・不溶性のβアミロイドが増加し、認知症になることがあります。

 

また、うつ病との関連性を示唆するデータもあります。

 

これは、ビタミンDが脳内の高濃度のカルシウム緩衝する機能と関連している可能性があります。

線維筋痛症の患者を対象とした研究によると、ビタミンDの欠乏は、不安や抑うつのある人に多く見られます。

 

 

睡眠の質の低下

ビタミンDと睡眠の質の低下を結びつけるメカニズムはまだ解明されていませんが、幾つかの研究では、ビタミンDの濃度が低い人は睡眠の質が低く、睡眠障害を発するリスクが高いことが示唆されています。

 

認知機能の低下

ビタミンDが欠乏すると、認知症のリスクが2倍になるという研究結果もあります。

 

不足すると、認知機能の低下のリスクも高まります。

 

頭に汗をかく

特に頭に大量の汗をかいたり、汗のかき方が変わったりした場合も、ビタミンDの欠乏を示唆しています。

 

 

心臓疾患

ビタミンD3は血行を良くし、高血圧を改善することが臨床研究で報告されています。

ある研究では、ビタミンD3が循環器系を覆う内皮細胞に有効であることが報告されています。

 

その結果、ビタミンDは一酸化窒素ペルオキシナイトライト濃度バランス整え、内皮の機能を改善することが明らかになりました。

 

 

筋肉痛

成人の約50%が筋肉痛に悩まされていますが、その殆どがビタミンD不足であると科学者は考えています。

研究によると、神経にはビタミンDの受容体があり、これが痛みの知覚に影響を与えているそうです。

 

動物実験では、ビタミンDが不足した食事をすると、カルシウム不足ではない深部筋の過敏症になるという結果も出ています。

 

 

疲労

疲労感は、睡眠不足等の様々な健康状態に共通する症状です。

 

科学者達は、疲労を感じているがん患者にビタミンDを補給する事で、症状が改善することを発見しました。

 

 

筋力低下

ビタミンDは、筋肉の発達、強化、パフォーマンスの向上に不可欠な栄養素である為、スポーツ選手にも不足しがちです。

高齢者がビタミンDのサプリメントを摂取することで、筋肉のパフォーマンスが向上することが判っています。

 

また、ビタミンDの補給や日光浴は、ストレス骨折や筋骨格の痛み、頻繁に起こる病気などの症状を軽減する事が判っています。

「米国整形外科学会誌」に掲載されたある論文では、科学者たちが、ビタミンDの摂取量を増やすことで、怪我の発生率を減らし、スポーツのパフォーマンスを向上させることができると報告しています。

 

 

創傷治癒の遅延

米国では、人口の少なくとも2%が慢性的な傷に悩まされています。

イギリスの国民健康保険サービスでは、慢性的な傷が医療費の5.5%を占めると推定されています。

 

十分なビタミンを摂取する事で、傷の治癒が促進され、傷の感染症と戦うペプチドであるカテリシジンの生成が促進されます。

 

感染症の再発

複数の疫学研究によると、ビタミンDの欠乏は、特に呼吸器系の感染症のリスクと重症度を高める可能性があります。

また、ビタミンDが欠乏すると、特に重症の患者さんでは、重症化や死亡のリスクが高まるというデータもあります。

 

ビタミンDの食物摂取源
 

ビタミンDの摂取量を増やす為には、屋外で太陽の光を浴びるのは勿論の事、以下の様なスーパーフードを普段の食生活に取り入れるとよいでしょう。

 

 

  • アーモンドミルク(無糖)
  • チーズ
  • 乳製品
  • カレイ
  • ニシン
  • ケフィア
  • マッシュルーム
  • 有機豆乳
  • プレーンヨーグルト(無糖)
  • ニジマス(淡水)
  • イワシ
  • ツナ


バランスのとれた食生活と屋外での活動で、ビタミンDの摂取量を増やし、健康増進に努めましょう。