サウロの間違った教え


イマヌエルは話し終えると、サウロという名の男がやって来て云った。

「貴方は、新しい教えを説いているが、

 それは私には初めから奇異なものだ。

 私には愚かに思えるし、貴方の霊は錯乱している様だ。」

イマヌエルは言った。

『私の霊が錯乱していると、貴方は私に云ったが、
 貴方の心が錯乱しているのだ。

よく私は
サウロに言っておく。
サウロよ。
私の教えの為に、私と私の弟子を迫害しているが、
あなたは自分の考えを改めるであろう。

今から貴方は
パウラスと名乗るべきである。
そして至る所に行って、
私の教えを間違ったものだとか、
私の霊が錯乱しているなどと
云ったことに対して償うべきである。

しかし、その事によって
あなたは
大きな罪を犯すことになるだろう。
何故なら、
あなたは私の教えを理解出来ず
誤って理解し、
その様に説教するであろうから。

あなたの教えが間違っているのであり、

世界は至る所その下僕になり、
間違った教えの奴隷となるだろう。

あなたは、古代ギリシャ人の地
へレナにある、
他の間違った教えで、
邪悪な礼拝儀式を産み、
私をその言葉で、
油を塗られた者とする。

人が私を
イエス・キリストと呼ぶのは、
貴方の
無理解による。
イエス・キリストとは
油を塗られた者のことである。

この名前の為に
人々の血が、貴方の無理解の罪故に、
全ての入れものの中に最早収容しきれぬ程、

大量の血が流されるのである。

あなたは、私と弟子達を、私の教えの故に迫害するが、
間もなく貴方が改心する時がやって来るだろう。

その時、あなたは私の方に向かって来て、
あなたの目前に霊がいると妄想するでしょう。

貴方によく言っておく。
貴方は、私の教えが誤たれ、

人類が間違った礼拝宗教を造り出すことに、
何と
大きな責任を持つであろうか。

あなたは非理性の礎石となるであろう。

 

即ち、人々は私をイエス・キリストと呼び、
間違った礼拝の為の、救世主と呼ぶであろう。』

イマヌエルは怒り、杖を掴むとそれでサウロを追い払った。

サウロは、パリサイ人の息子ユダ・イハリオテと一緒になって、どうやってイマヌエルを捕え、捕吏に引き渡す事が出来るかを考えていた。

何故なら、彼の心は復讐に満ちていたからだ。