婚姻、離婚、独身
イマヌエルは、これらのことを語り終えると、
ガレリアを去ってヨルダンの向う側のユダヤの地方に行った。
すると大勢の人々がついて来たので、彼らをそこで癒した。
さて、パリサイ人がやって来て、彼を試そうとして、云った。
「何かの理由で、夫が妻を離婚するのは、差支えないでしょうか。」
イマヌエルは答えて言った。
『よくよく言っておく。
離婚が許されるより、
天から星が落ちてくる方がましだろう。
婚姻の為に、人は、父と母を離れ、
自分の妻と結ばれ、二人は肉となり血となるだろう。
彼らはもはや二人ではなく、
一つの肉と血であり、一体である。
彼らは、その血と肉から子孫を生む。
子孫達は、再び、父と母から血と肉を引き継ぐ。
この様に、二人は合体しているから人は離婚してはならない。
つまり自然の掟だからである。』
そこで彼らは言った。
「それでは、何故モーゼは妻を離縁する時には、
離縁状を渡せと定めたのですか。」
イマヌエルは、彼らに言った。
『モーゼは、あなた方の心の頑なさと、
あなた方を支配する為に、離縁する事を許したのだ。
人類の最初からそうだった訳ではない。
モーゼが掟を破ったのである。
私はよく言っておく。
姦淫や、他のはっきりした欠点の為、
妻を離縁して、他の人に求婚する者は、
結婚を破壊する者である。』
そこで弟子達が云った。
「それが妻に対する夫の立場であるとしたら、
結婚しない方がましです。」
イマヌエルは彼らに言った。
『この言葉を理解出来るのは、全ての人ではなく、
ただそれを授けられている人である。
生れた時から、結婚する資格が無い為に、結婚を断念する者があり、他人によって、それに不適とされて、結婚を断念する者があり、
又、霊の能力の為に、結婚を諦める者もある。
この言葉を受け入れることが出来る者は、受け入れるが良い。』