寓話の真義

 


その日、イマヌエルは家を出て、海辺に座っていた。

ところが、多くの人々が彼の廻りに集まったので、

イマヌエルは船に乗って座り、人々は皆、岸辺に立っていた。

イマヌエルは寓話で、多くのことを語り、こう言った。

『見よ、種まきが種を蒔きに出て行った。
 蒔いている内に、道端に種が落ちた。


 すると鳥がやって来て、それを食べてしまった。

 他の種は、
土の多くない岩の多い地へ落ちた。
 すぐ芽を出したが、陽が昇るとしぼみ、
 
根が無いので枯れてしまった

 他の種は
イバラの地に落ちた。
 するとイバラが伸びて
塞いでしまった

 他の種は
良い地に落ち、実を結び、
 あるものは、
100倍に、
 あるものは、
60倍に、
 あるものは、
20倍になった。
 耳のある者は聞くがよい。』


それから弟子達がイマヌエルに近寄って来て云った。

 

「何故、あなた方の教えを理解出来ない者達に

 たとえ話をするのですか。」

イマヌエルは言った。

『あなた方は霊の神秘について知ることが許されているが、
 彼らはそれが
許されていないからだ。

彼らはよく私の話を盗み聞くが、

律法とパリサイ人の間違った教えに従って生きている

彼らの
は、無知空虚である。
彼らは先ず
考えることを学ばなければならない。

たとえ話がわからなくても、
彼らが
考え深くなるなら、その方がよい。

あなた方によく言っておく。
寓話と呼ばれるものの中に神秘を得るとしても、

真理の知識は貴重であり、素晴らしいものである。

人間は信仰も薄く、知識もない。
そして創造の掟と、霊の力を
自覚していない

 

 

 

良い実の間にある雑草

 

 

イマヌエルは別のたとえを示して言われた。

『霊の御国は、自分の畑に良い種を蒔いておいた人の様なものである。

 その人が眠っている間に、敵がやって来て、
 良い種の間に雑草を蒔いて立ち去った、
 種が芽を出して、実を結ぶを、同時に雑草も生えてきた。

 僕がやって来て、種を蒔いた人に言った。


「御主人様、畑に蒔かれたのは、良い種ではなかったのですか?
 雑草が生えてきたのですが。」


 主人は答えて言った。

「それは敵の仕業だ。」

 すると僕達が言った。

「では行ってそれを抜き集めましょうか?」

しかし、彼は云った。

「いや、雑草を抜こうとして、良い穀物を一緒に抜いてはいけない。
 収穫まで、両方共、育つままにしておけ。

 収穫の時になったら、刈るものに先ず雑草を集めて束にして焼き、
 灰を地にまき、良い穀物の方は、集めて倉に入れてくれ、

 と言い付けよう。」

イマヌエルは続けた。

雑草も、穀物も、両方共成長する。
 雑草は、良い実の成長を妨げるが、
 後にそれは
肥料となり、地を肥やす

 
雑草がなかったら、
 それから土壌が培われなかったり、
 
養分を必要とする良い実も、成長出来ない。』

 

 

 

からし種、パン種


イマヌエルは別のたとえ話をして言った。

霊の国は、人がそれを取って、自分の種に蒔いた、
   一粒の
からし種の様なものである。

  それはどんな種よりも
小さいが、
 
成長すると、野菜の種に中で一番大きくなり、
  空の鳥が来て、その枝に宿るほどの木になる。』


又、他のたとえを言われた。

霊の国パン種の様なものである。
  女がそれを取って、三斗の粉の中に
混ぜると、
 
全体が膨らんでくる。』

イマヌエルはこれらの事の全てを、たとえを使って、人々に語られた。

たとえ以外は語らなかった。

これは予言者によって次の様に言われたことが、成就する為である。

『彼は口を開いて、たとえによって語り、

   世の始めから隠されていることを語るだろう。
   それによって、人々は学び、真実を発見し、

   掟を知り、それに従うのであろう。』