大阪・枚方市の「ひらかたパーク」で

吉川氏の小説『新・平家物語』を題材とした

菊人形展が開催されたことがある。

それを、氏自身が見学した折のこと

菊人形のそばで、じっとたたずむ一人の老人がいる。

不思議に思い、係員に「あの方は、どういう人か」と尋ねた。

すると、「菊人形に仕立てるための菊を栽培した人です」との返答

この言葉を聞いた吉川氏は詠んだ。

「菊作り/咲き揃う日は/蔭の人」。

馥郁と咲き誇る菊が、皆に脚光を浴びる時

手塩にかけて育てた本人は

陰の人として見守っている――。

句に込めた文豪の思いが胸に響く

菊作りは、花が終わる初冬から始まる。

土壌作り、水やり、追肥、脇芽取り、害虫の駆除など

一年中、手を抜けない。

丹精込めた労作業の連続があって

大輪の花を咲かせる。

その労苦は人材育成にも通じる

一人の成長の陰には…

必ず育てる「側」の必死の祈り

粘り強い地道な積み重ねがある。

一朝一夕では実現しない。

徹して一人を大切にする行動が

人材城を築き上げることになる。

色とりどりの美しい菊花のごとく

自分の環境の中で、多彩な“人材の花”を

百花繚乱と咲き薫らせたい。