伝統的な占星術は、コンビニエンスなものではありません。

 セクトやジェンダーから入り、そこでも既に分析が始まります。最初はチャートを読むための分析ではないかもしれません。それでも、このプロセスを行わないと最終的にチャートを読むためにどんどん曖昧になっていき、勘や雰囲気や直感に頼ることになってしまいます。

そうやって分析を進めていくと、太陽と月がことの他、重要な基準物差しになっていることが分かってきます。ロットが、太陽と月とアセンダントでできていることが段々理解され始めてきます。

私たちが最初に出会うロッツは、パート・オブ・フォーチュンと、パート・オブ・スピリッツです。この2つのロッツは、これまで異なる意味を持っていると考えられてきましたが、どうも、そうやって使うのではないということが分かりかけてきました。

また、太陽と個々の惑星との関係では、スピードの早くなるときと、スピードが遅くなるときの違いがあります。更に、最初の留と2回目の留にも意味の違いがあります。上位の惑星と呼ばれる火星、木星、土星の留と、下位の惑星と呼ばれる金星と水星の留は、太陽との関係から異なっています。誕生の後に留になるのか、留を終えてスピードを上げるのかも重要な指標です。

このような違いに気付いた古代の占星術師たちは、個々の惑星それぞれにどのような現象が起きるから、かくかくしかじかの意味であるといったものを見出していきました。それで、誕生日から前後数週間の惑星の動きやスピードを考慮する必要があると見出したのです。誕生から一週間以内に(前後です)、留であるとか留であったとか、太陽に隠れた、太陽に隠されたなどの観察もしています。

ご存知のように、誕生日の一週間以内に太陽に隠れていた惑星が見えるようになるときは、惑星が「私を見て」と出てくるように、とても喜ばしい状態だと観察していたのです。そのためにどうしてもエフェメリスが必要になります。

このような細かな観察は、チャートを読むうえでとても参考になります。

これらを1日で理解することはできません。したがって、コンビニエンスにはなれないのです。