昼のチャートで、[セクトの]土星がまるでベネフィックな惑星のように振る舞うことを理解すると、どの惑星が最も私のことを助けてくれるのかが気になり始めます。セクトに力点を置きながら様々な基準と思われる視点を重ね合わせていくとそれが一目瞭然になります。セクトの惑星は基本的に、自分が前向きになりたい時や、何かに挑戦する場合に、資源(リソース)や友人を手配してくれ、良き風(運)を送ってくれる惑星になります。


それらは多様なテクニックの基礎として、この後のチャート解釈上で重要な役割を担っていきます。その入口に当たるのが、惑星が歓喜する(Rejoice)状態であるかどうかを観察する視点です。観察する視点とは、先のブログで少し述べられていますが、それらはまだ不完全です。修正したものが下記です。

(レトリウス、CompendiumのNo.44での記述です)
①「星々、土星・木星・火星は、マチュティーヌ(朝方の星として)で歓喜状態に配置され、月と金星はヴェスパティーヌ(夕方の星)で良い状態に置かれる」

①から、かなりややこしい区分です。
朝方の星とは、太陽に先駆けて進む星々のことで、どこに在っても構いません。太陽が5ハウスにあるときに、土星や火星が4ハウスにあれば「朝方の星」と呼ぶわけです。この状態が、土星と木星と火星にとって良いことなのです。理由は、男性格の惑星だからです。しかしです・・・ レトリウスは火星は男性格の惑星だから、暑い方が歓喜するとしていますが、これはレトリウスの実験だったのかもしれません。

 

ですから、少し問題を抱えています。火星は熱すぎるので涼しい夜の方が相応しいとしたはずなのです。

すると、夜の惑星 ⇔ 昼の惑星とした区分のままの方が分かり易くなります。つまり、
① の区分では、
①「星々、土星・木星は、マチュティーヌ(朝方の星として)で歓喜状態に配置され、火星と金星はヴェスパーティーヌ(夕方の星)で良い状態に置かれる」
とした方が良いと考えられます。

月は一旦この区分から消えますが、ヘレニスティック時代の占星術師のセラピオは
「昼のチャートでは月が満ちているときに喜び、しかし夜のチャートでは月が欠けているときに喜ぶ」(セラピオ、Definitions)
と述べています。これらをまとめると、土星と木星は朝方の星となっている時に歓喜状態を得、火星と金星は夕方の星となっているときに歓喜状態を得ることになります。

月は、

昼のセクト・チャートの時に上弦の月であれば歓喜状態を得、

夜のセクト・チャートのときには下弦の月であると歓喜状態を得ることになります。

水星もこの区分から消されていますが、太陽のフェーズによってどちらのセクトに属するかを判断され、この区分によってセクトを得ているか、アウト・オブ・セクトになっているかで既に「フェーズによる区分」を使ってしまっているからです。それほど、セクトを得るとか得ないとかが大きな違いになることにもなります。

②四分円での歓喜状態。これをしっかり読むと、あまりウェイトが高くないことに気付けます。
それよりも、アラビアの占星術たちに影響を与えた黄道帯サインでの歓喜状態の方がウェイトが高いと思われます。男性格の惑星であれば ー ここでも火星が問題になりますが ー 男性格の惑星は男性格のサインに入っていると歓喜状態を得、女性格の惑星は女性格のサインに入っていると歓喜状態を得ることになります。

男性格のサインは活動的なエネルギーに満ち溢れ、女性格のサインは落ち着きのある受動的な包容力を持つものです。両性の格付けで、それぞれ相応しい惑星が歓喜することになります。ここでも、昼と夜の惑星に分けてしまうと、火星は女性格のサインの方が相応しいことになってしまいます。どちらか、未だに確定されていません。取りあえず、昼 ⇔ 夜としておきます。したがって、火星は夜の惑星なので女性格のサインの方が涼しいので歓喜することにします。


昼のチャートであれば、昼の惑星たちは地平線よりも上にあるとき、夜行性の惑星たちは地平線下にあるときに歓喜します。
逆に、
夜のチャートであれば、夜の惑星たちは地平線よりも上にあるとき、昼行性の惑星たちは地平線下にあるときに歓喜します。
これは最も優しい区分です。アラビア占星術のハルブとよく似ています。

ヘレニズム占星術では、
これらを観察することで、惑星の初期の分析としています。