少し誤解のある部分。星座サインの違い

 

 西洋占星術では天文学とは違って、サインは固定されていて星座が動いていると考えます。神は不動であるという考え方からです。

 

ヘレニズム占星術を構築する以前の星占い師たちは、黄道帯十二サインの意味をその部分を構築していた星座の意味をあてはめその基礎としていました。例えば、当時牡羊のサインおひつじ座とされる星座の位置に一致していたので、おひつじ座にある恒星の意味を、牡羊のサインに与えた時期がありました。春分点を見つけた時(約2500年前)にサインを構築したとするならば、少し遅れたとしても今から約2400年ほど前になります。確かに、その頃までにサインを戻すと、牡羊のサインは星座のおひつじ座に収まります。下図

 

約2000年前の星座とサインの位置

 

 それが2000年間ちょっとずつ動きます。星座が動いてきて下図のようになっています。

やがて、みずがめ座の時代(アクェリアスの時代)が春分点にやってくる

2050年ごろの星座とサイン

 

 プトレマイオス(トレミー)は論理的な考察により、春分点が歳差運動によって移動しているなら、春分点を定点としないとサインの意味が構築できなくなるとします。すると、サインが星座とずれていくので、その意味が、恒星の意味からは導き出せなくなります。

 

何か変でしょうか? プトレマイオスが歳差運動(約2万7千年で1回転)によって春分点が動く(見つけたのはヒッパルコスです)と『テトラビブロス』で述べてから、多くの占星術師がカーディナル・サイン(活動宮)は春・夏・秋・冬の始まりに同期していないとおかしいと考えました。でも、それが広まるのに300年~400年かかっています。

 

現在、古典占星術の研究家たちは恒星とサインが移動して離れてしまったために、古代の意味そのものを使えないと考えています。使えるのは、サインのエレメントに関わるもの、そのルーラーやイグザルテーションのルーラーのエレメント、あるいはその組み合わせから考察できる事柄。ときには、デトリメントやフォールになる惑星との関係等にもなります。考察する基礎になるのはテーマ・ムンディと呼ばれる宇宙の誕生のチャートです。テーマ・ムンディを構築した初期の占星術師たちは、ここからサインのルーラーを導き出しています。

 

とにかく、星座サインの違いを分かって頂きたいのです。