P.o.FやP.o.Sに、いつ惑星たちがコンジャンクションをするのか。その話をするには、プライマリー・ディレクションの話を避けて通れません。全ては理解できなくても、プライマリー・ディレクションとは何かを、ぜひこの機会に把握してください。

プライマリー・ディレクションとは、主たるディレクションという意味です。過去の大勢の占星術師が使ってきました。多少数学的な素養が要りましたが、近年では優秀なソフトがそれを簡単にしてくれています。それでも、概要が呑み込めていないと使えないので、いったい何を計算しているのかを例を挙げて説明してみます。

例えば、下記が誰かのネイティビティー(誕生チャート)だとします。

 

 

2024年 8月25日(日曜)[緯度経度はチャートの真ん中に記されています]4:10am JST(ジャパン・スタンダート・タイム)生まれの、架空のチャートです。Ascは獅子の17.23です。ここへ、金星が何歳後に到達するのかを観察できれば、この人に10ハウスの事柄で、何か起きる可能性があります。金星はフォールですが、夜のチャートのベネフィックなので、仕事上の何か良いことが予測されます。

黄道度数では41度あるので、41歳と何か月後かなと思われますが、プライマリー・ディレクションでは、これを正確に計算しようとします。つまり、赤道軸が動いてきて金星がちょうどAscに到達する時間を割り出し、それを1年4分ということにして計算するわけです。

4分というのは、赤道軸の角度にして1度動く時間です。時間はコンスタントに進むので、黄道の角度ではなく時間を基準に計算するわけです。毎日23時間56分ほどで、地球は1回転します。残りの4分で、黄道全体が1度ほど右回りに進みます。そのため太陽は黄道(太陽の通り道)を1度ほど進むわけです。360度を365日かけて進むので、1日1度は、本当は正確な度数ではありません。でも、昔の人たちは、そんな面倒な計算をしていなかったと思います。1日1度進む。1度は4分で、それは人生の1年に相当する。だったら1年は4分なのだ、と見立てたわけです。

すると、上記の金星がAscに行くには、時間にして2時間59分ほどかかります。下記のチャートです。4:10amに生まれた人の金星が、7:09:43amにAscに到達しているのが分かります。物事は多くの場合、幅を持つ時期(その頃)に起きます。

 

金星がAscに乗っています。その時の時間を確かめると約3時間(180分 ÷ 4)です。計算するのが面倒ですが、占星術ソフト「モリナス」はこれをボタンを数回押すことでやってくれます。下記です。

 

 

約180分を4で割って44.869(44年と0.869年)を得ています。日付けまで出してくれて、それは2069年 7月 8日前後のことだよと示してくれます。

 

つまり、プライマリー・ディレクションとは、惑星と何かが重なる時間を割り出すことなのですが、Ascを通過するバウンドなど、幅を持ったものも通過するので、一定の幅のある時間を割り出すこともできます。そして、この幅を持った時間を把握することが「いつ頃のことなのか」を見極めるために重要な要素になるわけです。

 

今回は金星を動かしましたが、次回は、同じチャートでAscが火星に到達するならどう計算するのかを行ってみたいと思います。考え方は、Ascが火星に行くと考えるのはとても難しいので、火星が何分前にAscにあったのかを計算する方が簡単になることが分かります。同じプライマリー・ディレクションですが、Ascを火星に向かって動かすために、火星が何分前にAscにあったのかを、後ろ向きに計算します。これをコンバースと呼びます。後ろ向きに計算していますが、Ascがいつ火星に到達するのかを計算することですから、やはりプライマリー・ディレクションになります。