セクトの点で忘れていたことがあります。それは、ドメインのことです。

ドメインという「単語」の使い方は、9世紀から10世紀にかけて活躍したアラビアの占星術師による “セクト” 関連の「ある状態」の解釈を、アラビア語からラテン語に訳すときに役立った単語です。

ドメインにある惑星は、昼の惑星であれば、セクトを得ていて、昼に地平線上にあり、同じジェンダーのサインに入っているか、夜であれば、セクトの惑星ではなくなりますが、地平線下にあり、同じジェンダーのサインにある惑星になります。アラビアの占星術師は、これを指して「ヘイズ」にあるとも述べます。後の翻訳の過程で、このドメインの状態の惑星を「セクト」を得ているとしたものがあることから、誤解が生じることになりました。

 

昼のチャートで、全ての惑星がドメインにある

 

つまり、これまで語ってきたことを総合すると、ドメイン セクト なのです。

明らかに、個別の概念です。上記の図は確かに全ての惑星が昼にドメインを得た状態ですが、セクトを得ているのは、あくまでも木星・土星・水星・太陽のみです。

 

夜のチャートで、全ての惑星がドメインにある

 

 2010年に出版されたベン・ダイクス氏の Introductions to Traditional Astrology でのBook III.2 の説明(コメント)では、この点がまだハッキリしていない部分がありました。その後、ベン・ダイクス氏、クリス・ブレナン氏、デメトラ・ジョージ女史らとのディスカッションで次第に明らかになってきた点です。そういう点を踏まえてセクト関連の基礎の基礎の部分が、ここ10年ほどでようやく甦ってきていると述べています。

 

ですから、伝統的な占星術を学んでいる人たちの間にも、まだまだ混乱が続いている事柄がこれ以外にも多々あります。ともすれば自分自身の解釈が最も正しいと言わんばかりの解釈の押し付けも有り得ますが、理論的にも、実占的にも正しいものをいぶり出していく必要性があります。