セクトの惑星は、その場所(サインやハウス)を良い場所だと感じたり、セクトを得ていながらも、それほど良い場所ではないと感じたりします。ジョイとか、リジョイスと呼ばれる概念に当たります。これが、後のアラビアの占星術で、ハルブとかヘイズに変わっていった可能性があります。つまり、ハルブとか、ヘイズに匹敵する概念が、初期ヘレニスティック占星術に、よく似た形でしか存在していないのです。

 

どこかで、変化した方だけを採用し、変化していない「セクト」という概念が忘れ去られるほどの…、変化した方だけを採用したわけです。

 

だから、謎だったし、アラビア占星術以降の占星術をどれだけ勉強してみても、西洋占星術の中の「ネイタル占星術」が誰にとっても分かりにくく、新たな発案が次々と、多々なされてきたということになります。ウィリアム・リリーのネイタル占星術も、ご多分にもれず、ボナタスのものを参照しながらも、歯切れの悪いものになっているわけです。

 

ボナタスは、自分には伝えられていないものがあると気付いていました。文中にそう書いています。おそらく、悶々としていたに違いありません。どうも筋道立ててネイタル占星術が読めない読めないと憤りを感じていたのでしょう。それで、論文の一番最後に持ってきています[一応、その理由として、ネイタル占星術は一番難しいので、よほど理解力のある人間にしか理解できないので、普通の人は最後に学ばないと理解できないんだ~ みたいなことを書いていますが、本当の理由は分かりません] 。今となっては、歴史上で整えられた形で初期に行われてきた占星術は、ネイタル占星術だと分かってきていますから、ボナタスはそれを感覚的に掴んでいたのかもしれません。

 

その、セクトでの最初のジョイとか、リジョイスという概念ですが、やはり、昼セクトに属する惑星たちは、地平線よりも上にあった方が力を発揮し易く、夜には地平線下に在った方が良いと捉えています。

 

逆に、夜のセクトに属する惑星たちは、夜に地平線の上にあった方が良く、昼には地平線下に在った方が良いと捉えています。

 

この状況は、セクトそのものの捉え方と矛盾していそうですが、ほんの少しの効果しか持っていません。けれども、惑星の中でどの惑星が最良の状態を持っているのかを決定する場合の判断材料になり得るわけです。

 

それも、これも、この後の判断の緻密化を進めるための初期の取り組みに過ぎません。しかし、後に多大な効果を持ってくることに頷けるはずです。

 

例えば、レトリウスの Compendium の23に出てくるドリフォリーの探索などに役に立つわけです。ドリフォリーに付いては、かなり以前のブログに書いています