惑星の評価にはルールがあります。『古典占星術』には詳しく載せられていませんが、伝統的占星術では惑星の評価を、非常に低レベルから始めます。低レベルというか、入口に当たるところから始めます。それは、レトリウスの書くCompendiumの手順にかなり沿っていて、ジェンダーの区分、そして、セクトへと入って行きます。

 

レトリウスが生きていた当時、エッセンシャル・ディグニティーやアクシデンタル・ディグニティーというベースは存在していましたが、階層的な概念そのものはなく、その時代に惑星を評価するためには、サインの詳細を知らないと、惑星の良さ悪さを知る術がありませんでした。ベースとなるエッセンシャル・ディグニティーを見てみると、サイン、イグザルテーション(キングダム)、トリプリシティー、ターム(バウンド)、フェイス、デトリメント、フォールなど、全ては揃っていたのです。でも、先人たちは並べなかったのです。その後、中世ヨーロッパで占星術が盛んになった頃に整えられていきました。並べ方としては、トリプリシティーが都合3点を得ることになっていますが、タームの方が高い点数だったこともあります。でも、明らかにトリプリシティーの方が大事だと思えるので、現在のシステムの方が私は好きです。

 

アルムーテンの考え方も、様々なものがありました。太陽や月とアスペクトしたものを高い点数と捉えたり、アセンダントのカスプや、アセンダントのロードとアスペクトしているものをアルムーテンになり易いと考える手法も存在していました。アルムーテンそのものは、サインのルーラーと役割が異なるので、サインのルーラーの代替として使うことは、歴史的に見ても妥当性がありません。何しろ、アルムーテンの意味は「勝利者」という意味ですけれども、この「勝利者」というのは、何に対しての勝利するのかというと、サインのルーラーに勝るというわけではなく、何かに打ち勝つ、何かに勝利するという意味です。

 

また、恋愛の質問などでは、アルムーテンを得ている惑星が、アセンダントのロードの代わりをする恋愛の敵対者として登場することもよくあります。私の代わりをしている = ライバルですね。これを自分の表示星とするには無理があります。どう考えても、アルムーテンをアセンダントのロードの代わりの1つとして使うには、無理が生じてしまうのです。

 

じゃあ、どんな時に使えるのかというと、明らかに勝ち取る、勝利する場合の質問には使えるのです。仕事、コンペティッション、入札、等々、恋愛とは異なるライバルが登場するホラリー占星術の質問は多いので、直ぐに使えることが理解できると思います。

 

そう考えていくと、恋愛は勝負ではないのですね。

ハートとハートの関係なのだと、思いたいです。