ご存じのように、生命体の誕生は受胎の時に始まっています。

 西洋占星術は、既に出来上がった肉体や個性を、誕生時のホロスコープで観察しています。この時の視点は、明らかにお母さんのお腹のなかで体験して形成されてきた過去を参照しているわけです。

それと同時に、誕生時のホロスコープから、未来を紐解こうとしても観察するわけです。これからの経済的な状況、結婚や仕事、子供や老後のことなど、明らかに未来の視点をもって見ていくことになります。

それと同時に、アバウトではありながら、一瞬一瞬という意味ではなく、生れ出た当時の子供時代、自分の自由意志では何ともし難い「子供の今」も示しているはずです。つまり、誕生したネイタルの現在です。主にアラビアの占星術師は、無事に育てられるのか、ちゃんとした教育(礼儀や最低限の習俗ともいえる知識)を与えられるのか、という視点でチャートを見ていました。

このように、誕生したネイタルの過去・現在・未来の全てを、一枚のネイタル・チャートで観ようとすると、ある種の弊害が起きるはずです。

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数多くの弊害の中に、「それは何時[いつ]?」というのがあります。

更に、長い間生きてきて、性格を変えた人も大勢見てきました。それによって、西洋占星術のチャートから性格を見ても、あまり信用できないと考えるようにもなりました。また、このことから、人生には変えることのできる事柄と、変えることができない事柄があるとも考えるようになりました。

多くの人々は、変えることができる事柄も変えずに生きているので、それに気付き挑戦し、長く続けることも難しいので、西洋占星術が当たってしまうことにもなります。でも、変えられることもあるのです。

一方、変えることのできないこともあります。それに対しては、謙虚に受け入れるしかありません。これからの占星術は、その両方(変えることのできるもの、変えられないもの)を取り扱うようになっていくのだと思います。