ネイタル占星術の説明に入る前の2023年1月中に、サインの古典的な意味合いを書き留めました。そこで書き出した意味はとても広がりのあるものです。全てを書いていません[誰も書けないのです]が、サインは惑星よりも意味の広がりが大きなものです。何故なら、牡羊のサインは、サインのロードである火星と、イグザルテーションのロードである太陽と、時にはデトリメントである金星の弱くされた意味や、フォールになった土星を嫌う意味を組み合わせたものだからです。

明らかに、惑星単体の意味よりも、複数の惑星による意味で構築されていますから複雑な広がりがあります。

しかし、サインは世界中で普遍的な意味を与えるのみですから、惑星たちはあまりそれに意を介しません。意を介さないのですが、エッセンシャル・ディグニティーを考慮するように、私たちは捨て去ることのできない影響をサインが与えるものだと信じているのです。

思い出していただきたいのは、サインはそういった普遍的な効果を及ぼしていますが、個々のネイタルにとっては、別々の効果になってしまうことです。前回は電気製品に例えましたが、ある人には経済的効果を与え、ある人には人間関係に、ある人には健康へと波及していくといった具合です。そうではあっても、サインのルーラーシップによる天上での状態も考慮に入れなければ、どのネイタルの予測も間違えてしまうのも事実です。

同じ惑星の配置でも、私たちの住む世界では、大社長の娘と、サラリーマンの息子には、違う影響を与えてしまうのです。差別ではなく「層・界」が違うのです。

ですから、クライアントに寄り添って判断をしなくてはならないネイタル占星術の判断では、クライアントがどのような生活を送っているのかを聞き取る、簡単でもコンサルをする段階がどうしても必要になります。

これだけでも、ネイタルの判断が料金のかかるものだと思っていただいても構いません。

誕生日のデータだけを渡されて、「私の人生ってどんなの?」と問われても、ざっくりとした事柄は述べられますが、正確な判断はできないのです。

ざっくりとした判断は、古典的な占星術のテクストにはたくさん載っています。例えば下記のようなものです。

ドロセウスのCarmen 1-24-2 、当時ASCが上に書かれています。が、どこかで誰かが転記するさいに火星の位置を間違えたようです。

 


  「このネイティブは夜の生まれであり、そこで私は幸運の事柄についての惑星は、

   火星と金星であると考えた。なぜなら、これらは月の入っているサインのトリ

   プリシティーのロードだからである。両者ともケーダントにあったから、その

   人は困窮し、貧しく、日々の糧を得られず、労苦を抱えていた。このことは、

   わたしが述べたことよりも、彼の中に明らかであった。」

 (デイビッド・ピングリー訳)
終わり。

 

あまりにも簡単すぎる・・・ となります。火星の位置を現代のコンピューターで計算すると、下記のものに近くなりました。火星の位置が変わってもケーダントに違いありません。ASCのトリプリシティーが風のサインですから、死を迎えるころには精神性を水星が司ります。貧しくとも、心豊かに、貧しさを気にすることなく人生を終えたものと思います。