『不動産を活用すると、相続税の節税になる』

 

という話を聞いた人が多いと思うけど、

 

その考え方は、基本的には間違ってないけど、

 

やり方を間違えると、かえって大きな負担が生じる。

 

 

 

不動産を、現金で購入した場合、

 

相続税評価額は、一般的には

7=8割に圧縮されてしまう。

 

 

土地や 建物は、

実際の取引価格より低い額で評価される。

 

所有する不動産が“賃貸用”だと

さらに評価額が引き下げられる。

 

 

アパート・店舗・事務所 など、

『土地』や『建物』を 他人に貸す使い方

〈 = 借家事業〉にすると、

 

計算ルールによって

その不動産の 相続税評価額が下がってしまう。

 

 

不動産の借り主を、好き勝手に退去させられない。

 

利用に制限が掛かって、

自分のために使う不動産(自宅など)に比べて

 

勝ちが劣る、という考え方。

 

 

その結果、

“アパート経営をすると、相続税対策になる”

という話につながってくる。

 

 

遊休地を持つよりも、

その場所にアパートとか建てて貸しに出すほうが

不動産の評価額は下がるし、

 

家賃収入も得られるから『二重の得』になる。

 

 

・“遊休地”とは;

土地取得後2年以上利用されてない土地

 

 

 

たいていの場合は、

アパートを建てる際には、

銀行から借り入れをする。

 

その場合、相続発生時には、

 

『プラスの財産総額』から、

『(借入金など)マイナスの財産』を差し引いた額

相続税の課税対象となる。

 

 

借入金があることで、

さらに相続税の圧縮につながる。

 

 

 

【節税の例】

 

自宅用に比べて、賃貸用の物件だと

土地の評価格が、2~3割下がって、

建物も3割程度下げられる。

 

 

ただ、

節税効果ばかりを重視するあまり、

 

賃貸用不動産での運用に問題ある事例も

散見されるという。

 

 

《こんな失敗例》

 

・築年数が軽消したことで、

賃料収入が思ったように伸びなかった

 

 

《その内容》

 

マンション業者の勧誘によって

新築ワンルームマンションの

店舗を購入して、

 

マンション業者が提携する金融機関で

ローンを組んだ。

 

 

その借入金によって、

相続税算定時の資産が圧縮されて

節税になるとの話で、

 

 

加えて、

30年間にわたって、マンション業者が

一括借り上げ〈 = サブリース〉するために

 

安定した収入が見込める予定となった。


 

しかし、

 

契約から10年後にマンション業者から

一括借り上げの家賃減額を通知されて、

 

減額後の家賃収入が

ローンの支払額より少なくなってしまった。

 

 

つまり、

 

相続税が減っても、

『空室だらけで、赤字を垂れ流す不動産に

なっては意味がない』

 

ということ。

 

 

 

相続税対策を考える以前に、

立地条件の不便な場所でアパート経営をしても

ムダということ。

 

 

サブリース会社の賃料減額請求権も

正当な権利として認められる。

 

契約する人が、

きちんとリスクを理解しなければならない。

 

 

 

【ほかの注意点】

 

・アパートを建てることで、

遺産に占める現金が減ってしまわないか

 

 

《その内容》

 

相続税は、現金納付が原則。

 

 

現金を相続した場合、

 

相続税は割高になるけど、

 

“子”にあたる者は、受け取った現金から

相続税を払えばいいだけ。

 

 

一方で、

 

“親”にあたる者が、

相続税対策で不動産を購入した結果、

 

“子”の相続分がアパートだけになると、

 

『現金がたりなくて相続税が増えない』

といった事態が懸念される。

 

 

 

相続税節税のために

『不動産の利用』を考えるとき

 

そんな本末転倒の事態を

避けなくてはならない。