俗にいう「ファースト・ガンダム」でキャラクターデザインと一部監督を務めた安彦良和。その“やっさん”が描いたコミック「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」が原作です。
ここで注意しておきたいのが、この「オリジン」は「ファースト・ガンダム」を下敷きとしながらも、かなり設定が変わっているということです。
で、この「青い瞳のキャスバル」は、ファーストガンダムの舞台である1年戦争よりはるか前、シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンがまだ少年だった頃のお話です。
ガンダムファンとしては、1年戦争に至る経緯、すなわちジオン公国のなりたちから開戦に至るまでのお話に興味があるところ。ジオン公国開国の父、ジオン・ズム・ダイクン(シャアのお父様ね)がザビ家により暗殺され乗っ取られ、ファシズムの風に乗って連邦に独立戦争を仕掛ける…。
そういった権力闘争に期待するところなんですが、「オリジン」では設定が違うんですよ。そもそもジオン公国という名前はこの時点では出てこなくて「ムンゾ自治共和国」となっていたりします。
さらに、ジオン・ダイクンの死がザビ家による謀殺とははっきり描かれていない。なもんで、権力闘争の描き方が中途半端なんですよねー。
そんな原作を、この映画では結構忠実になぞっています。だから1年戦争開始前のザビ家vsダイクン家の構図が中途半端なんですよね。そこでまず不満点が出てきます。
これってファーストファンが望んでいることなのか?と。
それならそれで、タイトルにもあるキャスバルがその青い瞳で何を見、何を感じたかを描いてくれればいいのですが、そこもどうにも納得いかない。
何せ序盤、キャスバル君はほとんどしゃべらない。父親ジオンとは一言も会話を交わさず(すぐ死んじゃったし)、母親アストライアも妹アルテイシアとは話すがキャスバルとはほとんど喋らない。親子の描写が非常に希薄です。
一事が万事この調子で、饒舌になったのはザビ家の長女キシリアとのやりとりと、エンディングでサイド3から脱出した際のみ。そんな状態だから感情移入することもできず、“あれ?いたっけ?”状態だったりします。
ジオンとザビの権力闘争も描かれず、キャスバルも描かれず。
ではこの作品のメインはなんだったのか?といいますと、ダイクン一家の生き残りを逃がそうとするランバ・ラルとその仲間たちがメインだったりします。
ランバ・ラルといえば「青い巨星」として知られ、ファースト・ガンダムではその悲しき中間管理職ぶりをいかんなく発揮したオッサンたちのヒーローではあります。
もちろん小生もランバ・ラルには夢中になったクチ。でもファーストの歴史“始まりの始まり”を描く作品では端役でなければいけないキャラ。実質主役になる場面ではないのですよ…。
そんな感じで観ている側の欲しているものと、作り手側のみせたいものがどうにも合致しない作品でした。
失笑必至のギャグ描写や、イメージと全然違う声優陣(キャスバルとキシリアがとくにひどい)もイライラに拍車をかけます。
同じく期間限定上映でブルーレイ同時発売した「ガンダムUC」が素晴らしかっただけに、今回は本当にガッカリさせられました。
だからといって、見捨てることができないのがガノタの性。
次の上映「悲しみのアルテイシア」は秋公開とのこと。
それまでに不満点を解消してもらえたらなぁ、と思います。
