モリエール『人間ぎらい』 | ホーストダンスのブログ

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モリエールの『人間ぎらい』を読みました。

バルザックの『谷間の百合』の中でも引用されていた作品で、以前から題名は知っていたので、この機会に読んでおこうと考えた次第です。


宅配便で届いて意外だったのが、非常に短い作品で、かつ、戯曲であったことです。てっきりフランスの古典小説だと思い込んでいました。

分量的には文庫本で150ページ余りで、戯曲で口語となっていて読みやすい部分が多いので、一日で読み終えられます。


主人公は純粋な青年貴族アルセストで、彼が想いを寄せる恋多き未亡人(といっても年齢は二十歳くらいで、少女といってもいい女性)セリメーヌと彼女に翻弄される男たちが主な登場人物です。

アルセストは女性に対する考え方だけでなく、あらゆる人間関係において正直であろうとするため、阿諛追従を使えないため周囲と衝突し、訴訟に巻き込まれるなど、散々な人生を送っています。そんな実直な青年でありながら身持ちの悪い美貌の未亡人に恋してしまうというのが人間の面白いところです。


最終的に、アルセストは、セリメーヌが誰にでもいい顔をする一方で人の陰口を叩いていることを知り、訴訟にも負け、人生に絶望してパリを離れようとします。そんな状況でも、最後にセリメーヌに対し、一緒にパリを離れて隠遁生活を送ろうと言い寄るなど、男の愚かさを遺憾なく発揮しているのですが、そこがこの作品がフランス有数の一流喜劇とされる所以でしょう。


出張の際の車中での読書などにちょうどよい分量で、手軽にフランス文学的世界に触れられる作品としておすすめします。