落語家の桂米丸さんは、師事した古今亭今輔師匠から「自分が話したのとそっくり同じように真似しなさい」と教えられたという。
入門2年ほどたったころ、ある人に「真似の芸は、影法師。芸の道としては、認められない」と言われた。
対して師匠は、「誰がそんなこと言うんです!」と怒った。
「自分のものができるのは、20年先です。もっともっと、私の真似をしなければいけない。息のつき方も、間の取り方も、全部ですよ」と。
米丸さんは、“やっぱり、真似でいいんだ”と、雲が晴れたような気持ちになった(『最高齢プロフェッショナルの教え』徳間書店)。
今輔師は、“自分のコピーになれ”と教えたのではない。師に全身全霊で学び、努力した蓄積の上に、その人なりの個性が花開くことを知ってほしかったに違いない。
「学ぶ」の語源は「まねぶ=真似る」との説があるように、一つの道を究めることは、手本を忠実に真似することから始まる。
すべての道、同じであろう。
そんな、良き師と出会えた人は強いと感じた話である。
良き友、良き師を、、、
今日も多くの出会いを期待し、頑張りたい。