「生きる伝説」といわれるロシアの格闘技サンボの元選手・ビクトル古賀氏の特集番組が、NHKで放映された。
76歳。現役時代、41連戦をすべて一本勝ちという未到の大記録を打ち立てた。
しかし母は、いつも語っていた。“格闘技で強くなっても偉くはない。人のために泣いたり笑ったりできる人間こそ偉いんだ”と、、、
だから氏は、勝ってもガッツポーズをしない。
破った相手にも“ありがとう”と手を差し出した(石村博子著『たった独りの引き揚げ隊』角川書店)。
はるか年下の記者との握手に、両手を差し出す。
その自然な振る舞いに、本当の人間の強さを見る。
誠実に接すれば、誠実が返ってくる。
この道理を知る人こそ、人格者である。
誠実の積み重ねこそ、人生を美しく豊かに彩る力となる。