“穴を掘って埋め戻してもいい”
景気のために政府が事業にお金を使う効用をケインズは例えた。
しかし実際に、その仕事を毎日させられたら……
賃金がはずんでも、とても耐えられまい。
ドストエフスキーは『死の家の記録』の中で、たとえ監獄の労働でも、意味のある仕事なら耐えられる。夢中にさえなる。
逆に、人間を台なしにするには、土の山を別の場所に運んで、また元の山に戻すような、無意味な仕事をさせればよいと書いた。
では、人は働く「意味」をどこに見いだすのか。。。
公立図書館における県民一人当たりの貸出冊数が、7年連続日本一を記録した滋賀県の取り組みを、各メディアでも紹介されているが、
成功の秘訣は、司書が「本」だけでなく「人」と触れ合う現場に出ること。
県立図書館から市町の図書館へ直接、本を届けに行く。
フロアに出て声をかけ、利用者の要望を聞き出した。
県立図書館の岸本岳文館長は語る。
「“現場”で汗をかけば、感謝の声をかけられる。自分の仕事の位置づけが分かる。そこからやりがいが生まれるのではないでしょうか」
「生きがい」も同じだろう。
人と触れ合い、語り合い、関わり合うなかに、幸福の手応えはある。
「人に会う」挑戦こそ、最高の価値創造である。