「ロックの向こう側2012 vol7.5」@新宿MARBLE
出演:アサトアキラ、河内賢悟(ircle)、保刈あかね、リトルキヨシ
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久し振りの新宿マーブル。一昨年の年末以来かな?などと考えてたら、保刈あかねは3年ぶりぐらいのマーブルだとか。歌舞伎町の一角、このいかがわしさを僕は愛する(笑)昔からよくこの辺りでは飲んでいた。よく通ったカリビアンバーはもう無いけど。
今夜は出演4組中、紅一点。しかも4月15日のワンマン@横浜HALLOWEEN(soldout)と4月24日の盟友・星子健太郎とのツーマン@北参道ストロボカフェをプッシュしていたこともあり、「今夜は誰も来てくれないかも」と出番前に心細げな顔をみせている。僕もたまたま仕事が7時過ぎに終わり、ちょうど良いタイミングだったので直前に行くことを決めたが、そんな彼女の言葉を聞くと来てよかったなと男心に思ったりして。
そしてライブ後には、そんな愚にもつかない下心抜きにしてw、心から今夜のステージを見れて良かったと思った。40分と長めの出番で、とにかく、最初から最後まで圧巻のパフォーマンスだった。
彼女の出番は3番手。今夜は全員がソロでギター弾き語りだったが、面白いことに手にしていたのは、アコギ→エレキ→アコギ→エレキと交互に違い、アコースティックな弾き語りイベントにしては音楽の種類が思いのほか幅広く楽しめた。
まず、アサトアキラが彼の小さな日常を歌にぶつけるような、未熟で粗いが熱のあるフォークなステージで突っ走る。
続いて2番手に登場した河内賢悟は、クールな雰囲気。ircleというロックバンドのボーカルとのことで、どんなバンドか彼を見て何となく分かる。しかしええ格好しいかと思いきや、かなりいい奴だった。いきなり1曲目に彼が「この曲大好きなんで、この機会にぜひやりたかった」と歌い始めたのが、なーんと、中島みゆきの「ファイト!」だし(笑)
ロッカーらしい発声で、尾崎豊と福山雅治を意識したような歌いっぷり。格好つけてるのだが、いつも4人で爆音を背に歌っていると、こうして一人でエフェクターも使わない生音だけだと心細い、とか、かわいいことをMCで話す。そして、忘れてはいけないことってあると思うんです、と「東京タワーが昨日、日本一の高さじゃ無くなりました」なんて歌詞のフォークを、エレキギターで歌うもんだから何か気に入った。今夜のために作ったフォーキーな新曲「高円寺の夜明け?」も味があったし。
ただ、慣れぬ弾き語り。一人のステージなら百選練磨の保刈あかねが3番手で登場し歌いだすと、河内くんが引き立て役だったのかとさえ思えてしまったのは、かわいそうだったか(笑)若者よ、精進せよ。
保刈あかねは男にまじると、小さくてスリムで頼りなげ。なのだが、ステージ上での落ち着き、見せ方・聞かせ方、ブルージーなグルーヴ、迫力のソウルフルボイス……エッジの利いたアコギをかき鳴らし、力強く歌いだし途端に、ライブハウスの空気を完全に支配する女王になった。その圧倒的なステージパフォーマンスには、やはり今夜も心をぶち抜かれた~

【セットリスト】
1)若者の理由
2)ウソツキと言った相手は自分だった
3)いつでも君と
4)am3:00
5)迷子の犬
6)朝焼けセンチメンタル
7)つないだ手の先に
もう、どの曲をとっても格好良いのだが、やはり図抜けて圧巻なのは「つないだ手の先に」。ぐいぐいとボリュームを上げてゆき、広い広い荒野の隅々まで響き渡らせるような、太く魂の底から揺さぶる声でサビのフレーズを繰り返す。もはや抗うこともできず、彼女の歌の世界にどっぷりと浸かってしまう。ああ、なんて素晴らしい唄うたいなんだ。
個人的には、軽やかに体を揺らしたくなる「am3:00」のグルーヴも大好き。ブルーズ感たっぷりな「ウソツキと言った相手は自分だった」のダークで切ない主人公にも、思わず共感してしまう。
まったく、素晴らしいシンガー。
本当に彼女のライブはおすすめですよ
